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11. 【新人】通訳ガイド:行程の確認 【1】

オペレーション

行程の確認 【その1】

アサイン

お仕事をオファーいただいたら、
行程表と業務料金を確認します。
オファー時に提示される行程表には、
具体的な時間配分は示されていません。
訪問場所はすべて示されていますので、
行程表を見て、
出発時間から訪問地までの移動時間、
各訪問地での見学時間などを計算し、
大丈夫と判断したうえで、
そのお仕事をお引き受けするかどうかを決めます。

*行程は変更になることもあります。

業務をお引き受けできるかどうかを
判断するためには、
各訪問地で必要となる時間、
訪問地間の移動時間などが分からないと、
見当を付けることができません。

たとえば金閣寺なら、駐車場に到着してから、
見学を終えて発車するまで約1時間が目安、
そこから次の訪問地までどの所要時間が分かれば、
行程を具体的にイメージできます。

大手旅行社の業務なら、
時間的がギリギリであっても、
頑張れば何とか催行可能な時間配分で
行程が組まれていますが、
実現不可能な行程を組む旅行社もあります:
要注意。

パンフレットに、いかにも沢山の場所へ
行くように記載すればツアーが売れやすいので、
団体旅行はどれも詰め込み行程になりますが、
行程表は契約ですから、
非現実的な行程でも、引き受けてしまえば、
その行程を実行しなければならず、
後から「無理な行程だった」と氣付いても、
時すでに遅し、クレームになります。
所謂、ブラック案件に注意!

報酬の確認

業務料金も確認しましょう。
新人だから安い料金でも仕方ないなどと
考えてはいけません。
たしかに、ライセンス取得直後の駆出し時は、
トアイアル的に低額報酬を提示されますが、
せいぜい数回程度で、問題ないと判断されれば、
各旅行社が定める報酬金額になります。

旅行社によっては、30日間は新人料金、
それ以降、標準報酬に昇格となる場合もあります。
その場合は、修行と思ってやり遂げるのみ。
8日のツアーなら4本、
10日のツアーなら3本で30日になります。
最初の30日間の業務で、
驚くほど多くのことが身に付きます。

通訳案内士の業務は、一部の例外を除き、
同一労働同一賃金ですから、
同業者に迷惑をかけないよう、
良い仕事をするよう全力で取り組むのです。

確認内容
【通訳案内料の詳細】
業務は何時から何時までか、超過料金の規定。
【食事補助とその条件】
旅行会社によって異なるので、個別に確認。
【交通費】
旅行会社によって異なるので、個別に確認。
ガイド自宅から業務開始地点までと、
業務中の交通費は別扱いです。
【電話代(通信費)】
旅行会社によって異なるので、個別に確認。
*スマホは、カケ放題を入れている人が
多いと思いますが、
1日あたり決められている分は、
請求していただきましょう。

かけ放題契約は、ガイド業務用に契約
している場合が多いからです。
大手旅行社は、ガイド報酬表を用意しており、
それに、食事、交通費、超過料金など、
詳細が記載されています。

職業倫理上の注意

あるお仕事をアサインいただいたあとに、
更に条件の良いお仕事のオファーが来ることは、
珍しくありません。
後からきたオイシイお仕事のために、
先に受けたお仕事をキャンセルすることは、

職業職種に拘わらず、職業倫理違反です。

万が一、そのようなことをして、
それが明るみになれば、
その瞬間に、あなたは信用を失います。
キャリアや能力もさることながら、私達は、
「信用」のもとにアサインをいただくのです。
信用を失うことは職業人として、
人としての終わりを告げます

また、通訳案内士の中に職業倫理に
欠ける人がいるとなると、
業界全体の倫理感が疑われ、
同業者全体に多大な迷惑がかかります。

2つの行程の一致確認

行程表には2つのversionがあります。
各国の旅行社が計画した行程を基に、
日本側旅行社が作成した行程が最終版です。
この最終版が通訳ガイドに渡され、
それを基にすべてが手配されます。

現地旅行社がゲストに配布する行程と、
ランドオペレーターとなる日本側旅行社が
作成した最終版を照らし合わせ、
双方が同じ内容となっているか確認します。
ゲストに配布される行程表がなければ、
早急にツアー担当者にリクエストします。
ネットサイトが分かる場合は、
そちらの内容もチェックします。

ガイドに渡された行程と、
ゲストが持ってくる行程が一致しているか、
確認すること。

一致していない箇所を見つけたら、
ただちにツアー担当者に確認します。
(あるんですよ、これが)

ゲスト配布行程と最終行程が違う場合

ゲストに行程変更情報が書面で
伝わっているかどうか確認
します。
それができていれば問題ありません。
口頭伝達の場合、「言った・言わない」
「聞いた・聞いてない」と揉める原因
になりますので、
書面で情報伝達されているかどうかも確認します。

行程変更がゲストに 知らされていない場合

行程変更を、いつ、どのようにゲストに
お伝えするか、ツアー担当者に確認します。
行程は契約書と見做されますので、
ゲストには担当者から聞いた内容だけをお伝えし、
ガイドが勝手にあれこれ話してはいけません。

細かいことまで、いちいち言い出すと、
煩いと思われるでしょうが、

ツアーの途中で、ゲストの行程表と、
最終行程表との違いが発覚すると
揉め事になり、
ツアーの雰囲気が盛り下がりまくり、
胃が痛くなります。

ゲストに渡された行程と、
最終行程が一致しているかどうかを、

必ず、業務前に確認しておきましょう。

定休日、臨時休業、営業時間など

行程は、見学場所の営業時間や定休日なども
考慮して組まれていますが、
稀に、実際の訪問日が、
実は休業日あたっているということもあります。
すべての見学場所についてサイトを確認し、
休業日と営業時間を確認します。
営業時間は、夏と冬で異なる場所もありますので、
行程表と照らし合わせて確認。
状況次第で、訪問順番の変更が必要になる場合は、
ツアー前に担当者と打合せ・確認をすること。
訪問日が休みに当たっていれば、
行程変更が必要になります;その場合は、
直ちにツアー担当者に連絡して指示を仰ぎます。

見学場所の修復や工事

ゲストが楽しみにしていた場所が
工事中で見られないとクレーム
になります。
「工事中で見られないなら来なかったのに」
などと言う人は、必ずいるものです。
そうなると、ツアーの雰囲気は下がりまくり、
返金要求の騒ぎになることもあるそうです。

工事中の箇所が含まれていないか、
あるとすればどの部分で、
影響が大きいか小さいか、

影響が大きい工事の場合、
その情報がゲストに伝わっているかどうか、

また、伝わっていない、いつ、
どのようにお知らせするか、

クレームを言われたら
どう対応するかも併せて確認します。
工事中で見られないところはどこか、
代わりにご提案できるものはあるか、
足元の状態はどうか、

特別なイベントやお祭とぶつからないか
などを確認します。

行程に含まれている見学場所の
すべてのサイトをチェックします。

旅行社任せではなく、
ガイドもこれらの確認をするのです。

事例:清水寺

清水寺の駐車場に到着したのに、
バスから降りないゲストがいました。
「清水寺のサイトを見たら、
屋根が工事中と出ていた。
屋根が工事中なら見る価値がないから
行かないでバスで待っている」と言うわけです。
この方は、全ての見学場所を詳細に調査しており、
自分の情報に絶対の自信を持っていました。
屋根は葺替え工事中でも殆ど氣にならないし、
有名な舞台から綺麗な景色が
見えるから行きましょうと誘っても、
「見えるはずがない」と言い張るのでした。
帰りはフリータイムでお買物も
楽しめるから行きましょうとお誘いして、
結局は、皆と一緒に来たところ、
屋根の葺き替えなど全く問題なく、
お寺の建築は素晴らしく、
舞台からの景色も素晴らしく、
実に感動的だと言い、
「ガイドの言うことは聞くものね」と
言われて安堵したことがありました。

事例:宮島の大鳥居の工事

2019年初夏から、宮島の象徴である
朱の大鳥居が修理中で、
これが見られないのは、相当残念でした。
新型コロナ騒ぎの3年間、
インバウンドが消滅していた間に、
宮島の大鳥居の工事は着々と進み、
3年ぶりにインバウンド開始と同時に、
ほとんど足場も氣にならないほどになり、
新しく美しい大鳥居が姿を見せました。
このように、有名な観光地で工事予定があるのに、
ゲストにその情報が知らされておらず、
楽しみにしていた景色が見られない、
写真も撮れないとなると、
間違いなく大クレームになります。

これも、2種類の行程を照らし合わせて
確認するのと同じ要領で、
ツアー前の打合せの際に、
念のためすべてのサイトを確認し、
工事予定が告知されている場合は、
ゲストにその情報が伝わっているかどうか
確認します。

ゲスト向けのパンフレットに
その旨が記載されていれば問題ありません。
⇒それでも、内容をよく読まずに、
文句を付ける人がいますが、
ツアー前に書面でその内容が
伝達されていれば問題ありません。
しかし、ゲストが工事情報を知らず、
見学を楽しみにされている場合は、

どのタイミングで知らせるかも相談します。
あまりにも見学直前では誠意に欠けますし、
日本到着直後は、せっかくの旅行気分が
到着早々に台無しになりますし、
なかなか難しい問題です。

ゲストが工事情報を 知らなかった場合

「どうして教えてもらえなかったのか」
「誰が悪いのか」と大騒ぎになったり、
「そんなことなら、日本には来なかったのに」と
大袈裟に騒ぎ立てる人も出てきます。
なぜそうなったのか、誰が悪いのか等について、
ツアー担当者から言われた以外のことを
勝手に話してはいけません

もちろん、勝手に謝罪してもいけません。
日本人はすぐに謝る習慣がありますが、
外国人に対しては簡単に謝罪してはいけません。

自分が悪いと認めたから謝罪したと受け止められ、
責任を取ってもらうということに繋がります。
最悪、その分の返金を要求する人が出ても、
まことに残念ながら」程度の表現にとどめます。

ガイドのせいだと思う人もいますので、
「行程を決めるのは、皆様の旅行社様で、
それを元に、日本側のランドオペレーターが
最終行程を作成しますが、ガイドは、
行程作成には、一切関わることはできません。」
このように、ガイドに行程決定権はないことは
言っても構いません。
行程についても、ホテルや食事店についても、
ガイドは関与しないということは、
明言したほうが納得してもらえるようです。

通訳ガイドの役割のひとつ

ロングツアーをすれば、1度や2度は
不都合な事態が発生するものです。
その残念感を補い、満足度を高める
対策を講じる
のもガイドの業務です。
楽しみにしていたものが工事中で
見られないのは残念ではあるが、
そこに来られたことの素晴らしさや、
来られたメリットを語って、
盛り下がり感を吹き飛ばすのです。

ツアー行程には、世界遺産、国宝、
文化財指定施設が多く含まれておりますので、
工事は、いつもどこかで行われている
前提で事前準備をします。

次回は、行程管理の続きです。
12. 【新人】通訳ガイド:行程の確認 【2】

 

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