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6. 【新人】通訳ガイド:FITのオペレーション【1】

オペレーション

1. FITの予想行程をシミュレーション

このブログでは、訪日団体旅行に関するオペレーションについてお話しますが、
その前に、FIT業務について軽く触れます。

FITとは、団体旅行やパッケージツアーを利用しない個人単位の旅行のことで、
Foreign Independent Tour、略してFITと言います。
お1人様、夫婦やカップル、家族、友人同士などで、2~4人程度がほとんど。

FITの特徴

FITのオペレーションと動線は、基本的には団体旅行と同じですが、
少人数であるゆえに、オーダーメイド対応になることです。

新人ガイドが、初仕事としてアサインされる可能性が高いのは、FITです
初来日ゲストで、行程が決定済、専用車も手配済のような、
難易度の低い行程の業務が典型的な新人ガイドのデビュー業務です。

ゲストが、いつ、どのようなリクエストをしてきても、
たいていのことに対応できるよう、
普段から様々なケースを想定しておくクセを付けること。
それは、もちろん団体旅行をする上でも役立ちます。

FIT業務のなかでも、日本通のゲストやリピーター、
お金持ちの気分屋、気まぐれ、困ったちゃん、
リクエストが難しそうなゲストのFIT業務は、
膨大な知識と幾多の経験が必要なため、
ベテランでなければ務まりません。

これら難関ゲストは、ちょっと見ただけでは分かりませんが、
高級ホテルのコンシエルジュから来る業務は、すべて要注意と心得ましょう。
ホテルのランクに拘わらず、ほとんどは善良で普通の人達なのですが、
高級ホテルに宿泊している成金系は、問題ありがちです。

あくまでも、ひとつの目安ですが、
超高級ホテルに宿泊しているのに、穴のあいたジーンズにヨレヨレのTシャツ、
汚れたスニーカー、ベトベトの髪の毛と、不潔感満載だけどお金は持ってる、
そういう人達が、困ったちゃん傾向が強い印象です。
その恰好で、いきなり、一流の会席料理店へ案内せよと言われ困ってしまい、
「その服装のままでですか?」と言っても
「そうだよ、何で?」と答えられると、ほんと、困ってしまいますね。
まさか「その汚い恰好で一流店へ行くつもり?」とも言えないし、
これだからFITは困っちゃう・・・と思ったこともあります。
それでも、ゲストの希望に応えてあげられなかったとの注意を受けました。
⇒やってられませんね~~~。
一緒にいる私のほうが恥かしくなるような人達でしたから。
ホテルも一定のドレスコードを設定して、
宿泊客には協力を呼びかけるべきだと思います。

日本を代表する老舗ホテルのロビーの床にあぐらをかいて座り込み、
スーツケースを広げて荷物整理をしているのも、汚い服装の人達。
ある程度のランクのホテルなら、ホテル側が注意してほしいものです。
高価な服を着るべきだと言っているのではありません、
人を不愉快にするような服装でいるべきではないでしょう。

某一流ホテルに宿泊しながら、ホントは、アマンに泊まりたかったといい、
専用車と専属ガイドをつけて終日観光をする親子が、
ミネラルウオーターが、1本100円くらいなのを見て「安い!」と言いつつ、
各々に1本づつ、合計2本買うべきか、さんざん悩んで、
1本だけ買って親子で回し飲みするという人達もいました。
格安ツアーでも、見ない光景で驚きました。

そうかと思えば、特に良いホテルに泊まってるわけでないのに、
必ずドライバー様とガイドの分まで、ご用意くださる方もいます。
すべては、お育ちとしかいいようがありません。

移動手段

専用車

オペレーションや動線の基本知識は、FITも団体も同じですが、
FITで専用車が付く場合は小回りがききますので、かなりラクですし、
歩く距離も少なくて済みます。

FITで手配される専用車はハイヤーが多く、最低でもクラウンやフーガ、
普通にメルセデス・センチュリー・レクサスが手配されますので、
乗り心地が良いため疲れも少なく、団体ツアーに慣れた今でも、
たまに、専用車付きFIT業務をすると、楽でイイわ~♬♫としみじみ思います。
最近は、ハイエースも増えました。使い勝手はイイですよ。

高級車に乗り、団体バスを横目に歩く距離も少なく、
富裕層のおおらかなゲストに付き添って、大名旅行気分を味わい、
なんて素敵なお仕事かしらと勘違いするのがこの段階です
ロールスロイスやキャデラックには、普段なかなか乗れませんから、
駆け出しのうちは、こうして、ちょっと魔法をかけられるのです;
たとえ、勘違いの一環であっても、悪くありませんよ。

ハイヤーのドライバー様方は、ベテラン揃いで礼儀正しく、
中には、英語の通訳案内士の資格を持っている方もいます。
資格を持っていなくても、そこそこ英語ができて、
一通りの案内ができるドライバー様は、沢山います。
世界中のVIPを、色々なところへお連れしていますから、
新人のうちは、ドライバー様から多くを学ばせていただくことになります。

公共交通機関

公共交通利用による都内1日観光も増えています。
歩くのが大好きすぎで、どれほど歩いても疲れないゲストだと、辟易します。
公共交通機関を利用するということは、
ほとんど1日中、立ちっぱなしになるということです。

団体旅行なら普通は貸切バスが付き、1か所の見学が終わって、
自分達のバスに戻れば、絶対に全員が座れます、当たり前です。
ところが、公共交通機関だと、日中の乗客が少ない時間帯をのぞけば、
まぁ座れないわけですから、ほんとうに、くたびれはてます。

移動は効率的に行うべきですが、時間の早さだけを優先して、
地下鉄にばかり乗ると外の景色が全く見えません。
東京なら一度は山手線に乗せるべきですね
できるだけ同じところを通らないように、違う景色が見えるよう工夫します。

GPSで地図を追う人が増えてきましたので、効率的に動かないと、
同じ所を2回通ったなどと、不審な目で見られています。
”このガイド、道をちゃんと知っているのだろうか?”との疑いがかかるので、
その場合は、そのような道順になった理由を説明すればOK。
要は、自分達のガイドが新人で、地理に疎いのではないかと心配なので、
そうではないことが分れば問題ありません。

私は、できる限り、一度は路線バス(都バス)乗るようにしています。
ラッシュアワーを避け、日中の空いている時間帯を選べば、
座れる確率も高く、ゲストはとても喜びます。

路線バスに乗る人達は、本当にそこの地元の住民がほとんどですから、
ローカルな経験ができたと感じるようです。
ガイディングは最低限、ささやき声でしかできませんが、
お客様は景色と雰囲気に夢中になるので、問題ありません。

東京駅~銀座~築地の路線は、本数も多くオススメ

FITの場合は、ゲストが納得して支払いするといえば、タクシー利用もOKですが、
必ず、事前に料金の目安をお伝えして、了解を得るべきです。
渋滞にかかる時間帯だと、必ずしもタクシーが正解とも限りません。

公共交通機関:FIT特有のケース

公共交通機関利用と指示されていても、ゲストの希望で、
ほぼ全部タクシー利用になることもあります。
タクシーも公共交通機関ですから、何の不思議もありません。

その場合でも、ゲストに聞いてみて希望されたら、
1度は、山手線に短区間乗ってみるとか、
ゆりかもめの最前列の座席に乗せると、とても喜ばれます。
ゆりかもめは、たとえ2本待っても、最前列に乗せると大喜び !!!

行程フリーでガイドお任せの場合

FIT業務で行程フリーの場合、旅行会社様から、
「お任せする」と言われることがよくあります。

ガイド当日、ゲストに希望をお尋ねしますが、多くの場合は、
「ガイドに任せる」と言われることがほとんどです。
それは、適当に好きなところを連れ回しても良い、という意味ではありません !!! 

旅行会社もお客様も、プロのガイドに任せれば、
最も有名な観光地を効率よく案内するはずと信頼しているからです。
ランチやお買物については、ゲストの具体的なご希望を優先します。

行程フリーの場合の訪問地選び

ゲストが初来日で都内1日観光ならば、必須訪問地は、
浅草、秋葉原、東京駅、皇居、銀座、築地、明治神宮、渋谷、など。

京都1日観光なら、大原や宇治へ行くのではなく、
清水寺、二条城、龍安寺、金閣寺、などへご案内するのが当然です。
稀に、お考え違いをする人がいるので念のため注意喚起しました。

契約時間内に回れなくても、夜の祇園散策をお薦めしたりします。
ゲストのホテルが京都駅近くなら、京都駅の大階段や空中通路もご案内。
大階段は迷わず行けますが、空中通路はガイドがご案内しないと難しいでしょう。

京都2日目観光なら、平安神宮、銀閣寺、永観堂、南禅寺、
伏見稲荷大社、嵐山なども視野に入ってきます。

行程フリーの場合は、お天気によって行先が変わることも視野に入れます。
FITの場合、行程が決まっていても、ゲストのリクエスト次第で、
適宜変更してきますので、いつ何時でも臨機応変な対応が求められます。

大雨や暴風雨の場合

お天気がよければ、どのような場合でも何の問題もありません。
雨も少しくらいならば、ゲストと相談しながら催行します。

大雨や暴風雨の場合は、美術館や博物館などを積極的にお薦めします。
注意点としては、大雨だから、1日のほとんどをテパートで過ごした、
ということにならないよう、氣をつけてください。
もちろん、ゲストの希望がそうならばいいのですが、
それでも念のため、濡れにくい訪問地の見学を、お薦めするべきです。
このあたりは、上手くやらないと、雨が降ったからといって、
ただお買物だけで1日過ごしたと言われるとクレームになりかねません。

厄介なのは、ゲストの希望でそうなったとしても、
後になってから、クレームにされることもあり得ることです。
ガイドがどこも提案しなかったと言われると、クレームになります。
そのようなことにならないよう、たとえお買物で1日を過ごしても、
あちらも、こちらも、提案したがゲストが行かないといい、
ゲストの強い希望でそのようになったと説明できることが大事です。

上野の国立博物館は、ゲストだけでも見て回れますが、
ガイドが付けば、効率的で充実した見学になります。
大雨ならば上野駅から東博へ行くまでにずぶ濡れになりますので、
行きはタクシーを使えても、帰りはタクシーがつかまるかどうか微妙です。

その点、江戸東京博物館は、地下鉄からほぼ直結ですし、
JR両国駅からでも、外はあまり歩かずにアクセスできます。
かなりユニークな展示ですから、訪日客に人気です。
ゆっくり回れば、2時間ほどかかります。
休憩用の椅子も適宜置かれているので、使い勝手もよいですね。
江戸博の売店は、ゲストに人気です。
JR両国駅には、お相撲さんの絵や手形、改札を出ると像もあり、
両国国技館もありますので、お相撲の話題も充分に提供できます。
両国国技館内の、お相撲博物館は、たいした展示はありませんが、
無料ですから、上手く活用させていただきましょう。

子供連れの家族なら、科学未来館へ行くこともあるようです。
お台場なら、トヨタのメガウエブなどもありますが、
ゲストのリクエスト内容に、どこまで対応できるかがカギです。

フリー行程のまとめ

行程フリーでも、お客様のご希望がない限り、穴場を優先するのは論外です。
「フリー」といっても、有名な訪問地や観光地へのご案内が大前提であり、
その選択や順番などは、ゲスト次第でお任せするという意味です。
クレームになる歩き方をしないよう、注意しましょう。

行程フリーの場合は、ゲストから任されると仮定して、
ゲストのホテルの場所を基準にした仮プランを考えておきます。
ランチも、そのプランにしたがって複数のリスト候補を用意します。
途中で、お買物をしたいと言い出してお店に行くなど、各種変更は1日中あります。
FITは、いかようにも対応できなければいけません。

食事、お買物

FITのゲストが必ずしも富裕層とは限りませんので、
予算も、松竹梅からB級まで、沢山の可能性を用意しましょう。

せっかく日本に来たのだから、日本の料理を食べたい人、
和食は苦手でそもそも問題外な人、
敢えてスタバに行きたい人、
富裕層でもラーメンを食べたい人など色々ですが、
上品な雰囲気で和食をいただけるレストランは、
松竹梅ランク別に普段から、調べておきましょう。
FIT業務におけるレストラン・リスト作りは、永遠のテーマです。

食事の好みは、当日ゲストとお話しないと全く分かりませんし、
ゲストも、その時々で気分も変わるので、レストラン・リストは重要です。

将来の業務のために食べ歩いて太ってしまっても、自己責任です。
多くの場合、その費用を全部経費には、できないと心得ましょう。
ゲストと一緒に業務をして、自己負担で食事をした場合ならば、
「適正な料金の範囲で」経費として計上できるようです。
どうせ経費にできるからと、高級料理店をハシゴすると大変ですよ~。

お買物も、ゲストの予算に対応できるよう、色々なお店を知っておくと便利です。
宿泊ホテルのランクが目安になります。

訪日観光客が行きそうなお店、人気のお土産などは、
常日頃から情報を仕入れておきます。

団体旅行なら、原宿のオリエンタルバザーや、浅草の仲見世が定番です。
仲見世は、富裕層でも面白がって覗き込みます。

次回は、FITのオペレーション【その2】です。
7. 【新人】通訳ガイド:FITのオペレーション【2】

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