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27. 【新人】通訳ガイド:旅の情報と注意事項(1)

オペレーション

旅の情報(1)

団体旅行の参加者の多くは、初来日の方がほとんどです。
始めに、日本を旅する上で必要な情報と注意事項をお伝えします。

注意事項は沢山ありますのが、
一度にすべてお伝えすると退屈になってしまいます。
空港から出発直後は、行程や状況に応じて必要な情報からご案内。
ホテル関係については、ホテル到着が近づいた頃、
社寺仏閣の服装は見学前日に、
写真撮影については、見学直前と現場でお伝えします。
関係記事:17. 服装と荷物〔ゲストの服装〕

1. 不参加・食事関係の返金は無し

団体旅行の場合、
不参加、食事の好き嫌いに関する返金は一切ありません
疲労、体調不良などで見学に参加しなかった場合も、
食事内容が気に入らず何も食べなかったとしても、
返金は一切ありません。

2.食事制限

アレルギー、宗教上の理由、菜食主義を理由とする
食事制限には対応しますが、好き嫌いには、応じられません。
旅行会社から伝わっている情報が合っていれば、問題ありません。
日本到着後に食事制限がわかった場合は、
できるだけ早く食事店様に連絡します。
関連記事:25. 食事制限・好き嫌い問題【切実】

3.水道水・ミネラルウオーター

日本の水道水は飲めます。
お部屋で普通に飲む分には全く問題ありませんが、
空いたペットボトルなどに生水を入れて持ち出すのはやめてもらいます。
特に、夏場はダメ。
水道水は飲めると言うと、このようなことをする人が出ますので要注意。
ミネラルウオーターを買う時には、「水のような商品」に注意。
ミネラルウオーターと横文字で明確な表示があればいいのですが、
ミネラルウオーターを思わせるようなスポーツドリンクを
間違えて買ってしまう人が出ます。
見た目には分かりにくいので、分からない場合は、
近くにいる人に、それがミネラルウオーターであるかどうか、
聞くようオススメしています。

ビュッフェ・レストランでのマナー違反注意

ビュッフェのドリンクコーナーで、自分のペットボトルに、
ミネラルウオーターを充填する人が現れました。
格安ツアーの参加者に多い傾向がありますが、
富裕層向けツアーの参加者にも、このようなゲストがいたりします。
入店前に、ビュッフェに用意されているものは、
その場での飲食のみOKで、持ち帰りは違反になると、
ご案内しておきましょう。
このような注意事項は、ゲスト層を見極めないと、
失礼な発言になってしまいますので、
「最近、そのような人が増えたので、念のためです」
などとご案内することもあります。
以前は、そんなことまで言わなくてもよかったのです
不毛に疲れますね。

4. 団体行動と時間厳守

団体には契約上の制約があり、決められた行程で催行されるので、
常に、グループから離れていないか気を付け、時間を守ること
もし、団体から離れる場合は、必ず事前にガイドに知らせること。
団体と別行動をして事故などが怒った場合、
ふつう、保険の対象にはなりません。

団体行動では、ガイドと同じペースで歩いてもらうようご案内します。
そうしないと、行程をこなすことができないからです。
ガイドは、ゲストが写真を撮ったり、景色を楽しめるペースで進みますが、
完全にゲストに合わせると、時間が足りなくなりますから、
状況に合わせて、適宜調整しながら進みます。

もう本当に「時間ギリギリ」というタイミングで、
ゲストが景色を満喫している場合でも、
原則として、「急いでください」は禁句 !!! 
筆者は、「大丈夫ですよ~」と言いつつ、
頻繁に腕時計を見て、無言の圧力をかけたりします。
急いで来たゲストには「大丈夫ですか?」と声かけもする。

団体行動には制限があるとお伝えしても、
多くのゲストは、自分中心に行動していまいがちです。
また、せっかく長期休暇で来ているのだから、
ゆっくりできて当たり前だと思っています。
そのあたりのバランスを上手に塩梅するのはガイドの腕次第。

また、急がせて怪我でもされたら、ガイドの責任になります。
急がせたという印象を与えずに、存分に楽しんでいただき、
予定時間通りに行程を進めることことが、
最も大事なガイド・オペレーションの真髄です。

5.迷子対策

私は、自分の携帯電話の番号をお伝えしています。嫌ですが、仕方ありません。
お客様の電話からかけると国際通話になり、費用が高額になることは早めにお伝えする。

迷子対策の例

私は、迷子カードを使っています。SOSカードとも言います。
ガイドのフルネームを横文字で書き、電話番号は、カッコ付きで日本の国番号、
携帯電話からかける場合の + などの番号なども書きます。
カードには、日本語で以下のように記載し、この内容をゲストにお伝えします。

迷子カード / SOS カードの例

私は全国通訳案内士の西園寺公望と申します。
このカードをお持ちのお客様は、迷子になっているか、
何か問題が発生しいています。
誠に恐れ入りますが、上の電話番号にご一報いただけないでしょうか。
すぐに私から折り返します。
どうぞよろしくお願いいたします。

迷子になったゲストは、
自分がいまどこにいるのかを説明できません!!

日本人から説明してもらうほうが、圧倒的に効率的です。

迷子カード(SOSカード)を配布し、必ず1人1枚保管してもらうこと。
カップルの片方がまとめて持っては、全く意味がありません。
「自分達はいつも一緒だから」と言う人達だって、
離れてしまうから迷子になるのです。
複数人で迷子になることもあります。

最近は、スマホでガイドに電話をしてくる人も増えました。
その場合は、近くになる目立つ建物などを、
商店街などであれば、どんなお店があるか聞き、
場所を特定したら、そこから動かないように言い、
探しに行きますよ。

ゲストへの注意事項

ガイドの携帯電話番号は個人情報なので厳重管理
通りすがりの人に見せないようにお願いすること。
私は、SOSカードに通し番号を付けて、
ツアーの終わりに空港で回収すると言い、
最後行程が終わって空港へ行く途中で回収します。
失くしてしまった人に対しては、
電話番号は、ガイドの大事な個人情報なので、
見つけ次第、必ず破毀してもらうようお願いします。

SOSカードは、普通のコピー用紙に印刷するとシワシワになるので、
名刺用紙を使ったこともありますが、
毎度使い捨てるので、コストをかけることはありません。

実際に、迷子になったお客様がお店屋さんに頼んで、
電話をしていただいたことがあります。
お店の方と上手く連携できて、とても助かりました。
そのような場合、100円~200円を置くよう、ご案内しています。
ふつう、要らないといって受け取りませんが、
置いてくるのが常識ですと説明。
黙っていると何もしない人も多いので、
ガイドは、最低限の常識は教える必要がありますが、
中には、とにかくお金を使うのが嫌でたまらない人もいます。
ガイドに余計なお金を使わされたなどと言われかねませんから。。。
そのような場合は、素早く見極めて、私は、
自分のポケットマネーで対応しています。
嫌なお話ですが、そのような場合は、
「これは、ツアー料金には含まれていません」と言わないと、
そのようなゲストは、当然だと思ってしまいます。
あんまり、自分からそんなことを言いたくありませんが、
そこまでしないと、あらぬ勘違いをされかねないのです。

6.ホテルカード

ホテルのルームキーは、ホテル名、住所と電話が
書かれた封筒に入っていることが多いので、
それごとキープすれば大丈夫。
万が一、迷子になった場合の対策にもなりますが、
落とさないよう十分注意してもらいます。

7. ホテルのルームキィ

紛失すると、1000円~2000円取られる場合があります。
カード式のルームキーには、安全上の対策として、
お部屋番号の記載がないものが増えてきました。
ルーム番号は封筒に記載されています。
封筒ごと落としてしまうと困りますので、要注意。

お部屋の入口近くに、ルームキーを差し込むと、
電気系統が作動する方式の部屋が増えました。
いずれにしても、部屋を出るときは必ず鍵を持つこと。
地方ではオートロックではない鍵があります。
⇒事前に、ガイドが各施設様に確認して注意喚起

8.ホテルの部屋の備品

冷蔵庫内の飲物や食品は有料。
冷蔵庫内のものを利用したら伝票に記入して、チェックアウト時にお支払いをする。
電気ポットとお茶のセットがあり、その近くにある日本茶のティーバックは無料。

【旅館の場合】
サービスのお茶とお菓子が、テーブルに用意されていることが多いのですが、
冷蔵庫に入っていることもあります。
それが、冷蔵庫にあることが分からないこともあります(汗)…
また、お茶菓子が用意されていない場合もありますので、
事前に、施設様に確認してゲストにご案内しましょう。

【スリッパ】
使い捨てで【フリー】と書かれてあれば無料、
そうでない場合は持ち出し禁止。

【ミネラルウオーター】
部屋代に含まれている場合と、有料の場合とがありますので、
事前に確認のうえ、お部屋でガイドが確認したあと、
ゲストにご案内します。

【レター用紙と封筒】ふつうは、無料。
【メモ】室内で必要な分を使うには問題ないが、
ブロックごともらったらダメ。
【ボールペン】部屋の備品なので、勝手にもらってはダメ。
【タオル】【ナイトウエア・浴衣など】もちろん、持ち出し禁止。
旅館では、お持ち帰りしてもよいタオルがあるかどうか、要確認。
多くの旅館では、旅館の名入りのフェイスタオルを、
お持ち帰りできますが、そうでない施設様もありますし、
ツアーのランクで、差別化されていることもあります。
浴衣は、ホテルによっては販売しているところもあります。

【ネタバレ】
駆け出しの頃は、こんな細かいことまではご案内していませんでした。
多くのお客様から、
「実際にタオルを持ち出そうとしてる人がいるから、
ハッキリ注意喚起しないとダメよ」とご指摘をいただき、
氣が進まないながらも言うことにしました。
「こんなことを言う必要はないと思いますが、念のため・・・」
のようにお話しています。

9. 非常口確認

部屋のドア内側で、非常の場合の出口を確認。
非常時にはエレベーター使用禁止。

10. 設備や備品のリクエスト

エアコンなど、不明点はフロントへ。
寒ければ、追加の毛布をリクエストできる。

11.チェックアウト

とにかく、忘れ物がないよう氣をつけてもらいます。
朝は、エレベーターとフロントが混雑して時間がかかるので、
チェックアウトは時間に余裕をもって早めに行動すること、
朝食時も混みあうので、少し早めに行くようオススメします。

12. ごみ

電車やバスの中にごみを残さない。
関連記事:14. 道徳観念の違い
【補足】道路の自動販売機近くのゴミ箱は、
その自販機で買った飲物のカラを入れるためのもの。
他で買った飲物のカラを捨てないこと。
⇒これをする人が、けっこういます。

飲物専用のゴミ箱に、その他のゴミを捨ててはいけない。
ゴミ問題については、めんどくさいと文句を言う人がいますが、
日本は、昔からゴミは自宅まで持ち帰る文化の国で、
それを皆が守っているから清潔が保たれているのです。
郷に入っては郷に従っていただきましょう;
そもそも、当たり前のことです。

13. 健康管理

団体ツアーの行程は、めいっぱい詰め込まれています。
絶対に発生する渋滞も一切考慮されず、
時間はいつもギリギリ、毎日歩く距離も多い。
京都観光では、1日に10キロ歩くのは普通。
体調が悪いとき、ケガをしたときは、すぐにガイドに知らせること。
無理しないこと;健康管理がいちばん大事です。
お城など、急な階段が多い場所へ行く場合や、
平地でも歩行距離がかなり長い場合は、
事前に具体的な情報をゲストにお伝えしておくこと。

14. 靴を脱ぐ習慣

外の汚れを家の中に入れないよう、日本家屋では玄関で靴を脱ぎます。
宗教的行為ではなく、清潔に暮らすための習慣ですね。
三和土までを道とみなすので、三和土に足を付けるととても不潔。
とはいえ、大多数の外国人は、それができないし理解もできない、
そもそも、靴を脱ぐのが大嫌い、でもシツコク説明する。
靴を脱ぐ施設の見学がある場合、少なくとも前日には、
「明日は、〇回、靴を脱ぎます」とご案内し、
ソックスを履いてくること、
ない人は、コンビニなどで買っておくことをオススメします。
素足のまま非礼であり、足の裏には脂がついており、
その状態で畳を歩くのは汚いと言いたいけれど、
感覚が分からないだろうし、言っても無駄なことも多いので微妙。

15. 信号厳守

信号は法律。歩行者が信号無視して交通事故になっても、
保険は適用されない(と言っておく)。
緑色が点滅をはじめたら、もう残り時間はないので、
渡らないこと。とにかく、安全が最優先。
【踏切】 警告音が鳴りはじめたら、
遮断機が降りかかったら、絶対に止まる !!!!! 
当たり前ですが、くれぐれも危険を回避できるよう、常に事前にご案内します。
関連記事:14. 道徳観念の違い

次回も、旅の情報の続きです。

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