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8. 【新人】通訳ガイド:団体旅行のオペレーション【プロローグ】

オペレーション

団体旅行の オペレーション開始

今回から、団体旅行についてお話します。
団体とは、概ね、10名以上のグループを指します。
旅行会社によって定義が違いますが、多くの場合、
ヒトケタ:9名まではFIT、
フタケタ:10名以上は団体扱いとなり、
ガイド報酬にも数千円の差が出ます。

本ブログでお話する団体旅行は、
一般募集タイプと、企業委員会のツアーに限定。
インセンティブツアー(報奨旅行)は、
変則的で負荷も大きく、業務時間も異常に長く、
難しい対応も多いため、
普通は、ベテラン・ガイドが担当します。
ベテランガイドの都合がつかない時、
中1日だけとか、途中で2班に
分かれるから半日だけとか、
新人にお呼びがかかることもありますよ。
その際は、ツアー担当者と担当ガイドさんから、
注意点など、最大限の情報を得てください。

繁忙期になると、多くのガイドさんは、
超多忙なので、質問事項は事前にまとめて、
効率よくお尋ねしましょう。
あまりにも初歩的なことを質問して、
呆れられないためにも、
本ブログのオペレーション編を、
一通り目を通され、
ツアーの構成と実践を理解いただき、
不足事項はどんどん追加して、
ご自身のものにしてください。

お願い

各訪問地の地図や見取図等は、
ご自身でご用意ください。

著作権関係のリサーチや許諾・許可の
手間を省かせていただきます。
訪問地の地図や見取り図程度を用意するのも、
ガイド業務準備のうちです。
今は、どの施設様もサイトがありますし、
便利なアプリも沢山ありますし、
Google Mapもお薦めです。

通訳案内士が正式な名称ですが、この後は、
“通訳ガイド”または単に“ガイド”と言います。

団体旅行の概要

団体旅行は、行程が決められています。
行程表は絶対に厳守すべき契約書です。
例外は、不可抗力程度と考えましょう。

通訳ガイドの任務

【通訳ガイドの業務全般】
・10~40名程度の大人数ゲストを引率。
・行程表に従い時間管理を行う添乗業務と各訪問地でガイディングを行う。
・宿泊施設では様々なお手伝いとご案内。
・旅館では、施設の案内をはじめ、大浴場や温泉の入り方を説明。
・食事の際は、食材、料理、食べ方の説明、アレルギー対応。
・自由時間やお買物などについて、リクエストに応じて情報提供。
・毎日、ゲストの健康状態を観察確認。
・病人、怪我人の対応。
・総合的に無事にツアーを催行し、
何事もなくゲスト全員をお見送りする。
最終日の朝、ゲストが空港から
出発するだけの場合、
通訳ガイドの業務はその前夜迄で、
実際の空港送り業務だけは、
別な方が担当することあります。

その場合、通訳ガイドの業務は、
もちろん契約終了までです。

むかしむかしは、添乗員、バスガイド、
通訳の3名が1台のバスに乗務し、
添乗業務は添乗員が行い、
バスガイドさんの説明を、
通訳者が各国語に訳していたそうです。
それが、バスガイドがいなくなり、
添乗員もいなくなり、ついに、
通訳ガイドが1人3役をこなす;
そのような経過があったようです。

【ツアー前の準備、ツアー後の業務】
・ツアー前には、ホテル・レストラン・バスの予約確認。
・訪問場所の休日や営業時間の確認、現金、クーポン券、JR乗車券の事前確認。
・ツアー開始後も、日々、ホテルやレストランと連携と連絡。
・バスの配車確認等のオペレーションはツアー最後まで続きます。
・ツアー終了後は、精算業務と報告書を作成、速やかに提出。

体力勝負、むしろ持久力勝負

団体ツアーは、専用車、いわゆる
貸切バスで動くのが一般的ですが、
毎日、最低でも1万歩程度は歩きます。
京都観光の日や、東京でも
公共交通機関利用日の歩行歩数は、
2万歩以上歩くこともあり、
確かに体力がないと務まりません。

とはいえ、基本は歩くだけです。
ゲストがあちこち見ながら、
写真を撮れるペースで歩かないと、
文句を言われますから、
いっぱい歩きますが、ゆっくり歩きです。
但し、迷子を捜す時は走り回ります(汗;;;)。


体を鍛えた人は、もちろん有利と思いますが、
私のように体を動かすのが嫌いなグータラでも、
歩くことさえ苦にならなければ、大丈夫!
持久力があればよいのです。

健康維持のため、食べ過ぎないことはとても重要で、
腹八合医者いらずどころか、
本当は、腹七分はなお良し、
さらには、空腹は最大の薬という諺もありますが、
ガイドはエネルギー大量消費型労働なので、
よく食べ、よく眠る、これに尽きると思います;
<旅をするとお腹がすく>というのは本当です !!!

初めのうちは、業務に慣れない不安と緊張で、
かなり疲れを感じるても、徐々に慣れます!
体を動かすのが大嫌いな私でも、できます。
閑散期は、冬眠のクマのように
大量に睡眠をとっています。

体力的に不安があるなら、
日々ゆっくりと長い距離を歩くために、
お散歩時間を長していけばいいのです。

通訳ガイドができるということは、
心身共に健康である証拠。

疲労のもうひとつの原因は、荷物です。
何があっても死守すべき、現金、JR券、
クーポン、自分のお財布などは、

体から絶対に離さないこと、
ひったくられたりされないこと!

例えば、ビュッフェなどでは、
バッグを座席に置いたまま席を離れて、
盗難被害に遭うなど、論外。
JR団体券だけでも
100万円相当を超える場合はザラです。
ゆえに、バックの斜め掛けを
義務付けている旅行社もあります。

はじめは、重さを感じなくても、
夕方になると、またツアー日程とともに、
肩にバックのベルトが食い込んで、
荷物がどんどん重く感じられてきます。
ツアーが終われば、肩はバリバリ!!!
私は、バックの下に手を添えて重さを軽減したり、
重さを感じにくい太いベルトのバックを
選んでいます。

いま持っているバックに必要なもの、
ペットボトル、ノート1冊とスマホを
入れて肩からかけ、3~4時間歩いて、
様子・具合を試してみてください。
リュックは、多少は楽かもしれませんが、
後ろから何か取られても氣付きにくく、
毎回、受付などで荷物を、
降ろしたり背負ったりするのも面倒です。
全部の荷物を、A4が入る鞄にまとめて
肩からかけている人もいます。
筆者は、絶対守るべきものは、
ショルダーバッグに入れて斜めかけし、
それ以外は、2つ目の鞄に入れる
2個持対応しています。
今のうちに試行錯誤してみましょう。

トラブルメーカー

「こまったちゃん」は、
富裕層・格安ツアーに拘わらず、

どの団体にも漏れなくオマケに付いてきます。
いなかったら儲けもの!大いに感謝しましょう。

このタイプの人は、我儘で自分の主張は通し、
色々な場面で問題を起こして皆に迷惑をかけ、
何があっても自分は悪くなく、
すべて他人のせいにする傾向があります。
さすがにヤバイと感じると、
ガイドに謝ってきますが、
謝る対象はガイドではなく、
グループの皆様なのですが。
どんなに理不尽なことをしても、
「お客様」という立場にあるため、
「ふざけるんじゃんねぇ~!」
などと言ってはいけません。

そういう輩には、本当に手を焼きますが、
多くの場合、団体のメンバーが徐々に呆れて、
お客様達が、直接その人に文句を
言うようになります:これが、大正解。
迷惑を被るのは、団体の皆様ですからね。

「こまったちゃん」は、最初から最後まで
ずっと、活躍する傾向があります

最初に「おや?」と違和感を感じたら、
「こまったちゃん」である確率が強いので、
早々にマークし、トラブル回避、
あるいは軽減につながる対策
を講じます。
危険予知センサーの感度を高めておく
業務に大いに役立ちます。

一応まぁ「お客様は神様」的な信仰が
根強いため、始めは、
やんわりとお願いベースで指摘しますが、
徐々にレベルをあげます。
なんせ、相手は<お客様>ですから、
我慢を重ねつつ、やんわりと対応しますが、
甘やかしてはいけません。

優しくするのと、甘やかすことは、
似て非なること、全く違います

注意喚起する場合は、
「あなたは、おかしい/間違っている/
悪いことをした」などとは言わず
状況を理路整然と、筋道に沿って説明する;
これに尽きます。
道理を説明をすると、ブッちぎれる人もいます;
自分が悪いと分かるからですよね、忍の一字。
この時点で、他のお客様達が
応援をしてくれることが多いものです。

トラブルメーカー・ゲストの態度が
改善されない場合は、
早めに、ツアー担当者に連絡を入れます。
今は、SNSで勝手に話をでっちあげて
拡散してしまう輩もいるため、
先にこちらから問題を報告して、
先手を打たないと不利になります

問題になりそうな出来事は、
日時と行動・言動を記録しておき、

具体的な内容を、いつでも
報告できるようにしておきます。

通訳ガイドの業務範囲以外のことは、
やんわりと、しかし、
キッパリとお断りしていいのです。
満面の笑みで、
「それは、私のお仕事ではありませんわよ~」。
これで何の問題もないはずです。
たとえば、ガイドにゴミを持って来て、
「これ捨てて」などは、論外。
例外はありますが、ゴミ捨ては、
ガイドの業務ではありませんし、
ドライバー様の業務でもありません。
たまに、お考え違いしている方には、
教えて差し上げましょう🤣

行程管理

行程に示されている時間割には、
ゲストの奔放な行動、迷子、
道路の渋滞等もすべて含まれています。
つまり、迷子などが出て、
捜索に余計な時間を使っても、
病人を薬局へ連れて行っても、
時間超過しないように、
1日の行程を遂行する必要があります。

通訳案内士の初心者はもちろん、
それなりに場数をこなしていても、
タイトな時間と奔放なゲストの行動を、
どう制御していくかが大問題。
時間管理の悩みは尽きません

【円滑なツアーに不可欠な要素】
・入念な事前準備
・的確なオペレーション
・効率的な動線に関する知識と情報
・常日頃からの情報収集
・危険予知センサーと対策テレパシー

実際に、現地を下見していても、
業務当日、団体を引率してその現場へ行くと、
予想外の事態となっていることもあり、
冷汗をかいたことは何度もありました。

ガイド業務前の下見は不可欠ですが、
ガイド目線による確認が重要です。
自分が知らないところへ、
ゲストをご案内することはできません

下見のときは、大勢のゲストを
引率しているつもりで歩き、
要所要所でガイディング内容を話し、
時間を計測しながら動線を確認し、
全体のシミュレーションをします。

【ゲストの色々な行動パターン】
・真面目にガイドの話を聞いて指示に従う
・ガイドに寄り添って何でも聞く
・ガイドの話など聞いていない
・自分に都合の良い部分だけを聞く
・勝手にどこかへ消える
・アサッテをながめて意味不明
・理解力が弱くて状況を把握できない
・別な人に付いていって迷子になる
・失物を探して自分も行方不明になる
団体ツアーには、色々な人達が混在して、
特殊な人間模様が展開されます。

体調不良問題は、普通に発生します。
何事もなくツアーが終わるのは稀。

それでも、契約時間を守って、
ツアーを催行しなければいけません。

そのためには、スムーズに動線を誘導
するオペレーションが不可欠です。

これからお話することは、筆者が実践中の方法で、
ひとつの例でしかありません。
ひとつひとつ業務を丁寧にこなしながら、
ご自身のやり方を確立する一助にしてください。

ツアー中は、様々な不測の事態に見舞われます。
怪我や病気は、比較的頻繁に発生いたします。
適宜、私が遭遇した
「不測の事態」事例もご紹介いたします。
ゲストが怪我をして、
人生で初めて救急車に同乗しました。
ゲストが急性心不全になった時は、
こちらのほうが心不全になりそうでした。

ゲストの体調問題だけではなく、
通訳案内士自身が体調不良になり
降板せざるを得ないこともあります。
どんなに普段から氣を付けていても、
人間ですから色々あります。
声が出なくなったベテラン・ガイドさんの
ピンチヒッターをしたこともあります。
インフルエンザで降板を余儀なくされた時には、
<驚きの>事態が展開されました。

次回は、ツアーリーダーについて、お話します。
9. 【新人】通訳ガイド:ツアー・リーダー(TL)

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