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3. 【新人】通訳ガイド:【業務受注】直接依頼・マッチングサイト・旅行会社

オペレーション

1. ゲストから直接 受注する場合【要注意】

ゲストから直接オファーをいただく場合は、
必ず業務条件を送付します。
契約書に相当するものになりますから、
急なキャンセルなどの際には、
相互で合意した文書が判断基準になります。
雛形を作っておくと便利です。
メールでいいので【文書】で、
同意事項を残し、業務当日は、
スマホで見られるようにしておくか、
印刷して持参します。

業務内容・条件の内容記載

・1日業務とは、1時間の昼食休憩を含む8時間とする。
・8時間を越えた場合は、超過扱いとする。
・超過分は、1時間ごとに追加する。
(30分刻みにする人もいます)
・超過料金は、1日料金÷8時間x1.25、と計算する。
(具体的に、金額を明示)
・ガイドの自宅からミート場所までの交通費は別途。
ゲストのホテル迄の往復交通費実費を記載。
・業務中の交通費、ガイドに要求される入場料、
食事は、ガイド報酬とは別にゲストが負担。
・昼食がゲストと別になる場合は、
別途、〇〇〇〇円の昼食代が加算とする。
・お支払いいただく金額は、ガイド報酬と、
ガイド自宅~ゲストホテルまでの往復交通費
・ガイド料金は、業務当日、
日本円の現金でお支払いいただくこと。

等々、事前の業務規程に明確に記載し、
必ず、日時が記載され、業務規程に
相手が了解した旨が書かれた返信を、
受け取り、受領・保管すること。

ガイド報酬は、通訳案内自体の対価です。
それ以外の、ゲストと一緒に移動する際の
すべての交通費、業務中の食事費用、
宿泊費などは、ゲスト負担となります。
業務確定前に、報酬・費用、支払方法について、
間違いのないよう確認します。

加えて、不可抗力規定キャンセル規定等を
記載したものを送り、お客様の了解を得て、
はじめて業務決定となります。

業務規定文書に記載がない経費は、
ゲストに請求できません。(当たり前)
万一、業務規定文書を送付後、
別途必要経費が発生した場合は、
早急にゲストにお知らせして協議します。
少々の経費ならまだしも、宿泊代や
新幹線料金などが自己負担になれば、
膨大な赤字が生じますので、要注意です。

業務規定文書を作成するには、
かなりの手間暇がかかります。
1度作れば、マイナーチェンジしながら、
ずっと使うことができますから、
直接受注も視野に入れるなら、
今のうちに雛形を作成しておきましょう。

ガイド報酬の確実なお支払い

・業務規定を送信しても、業務成約に
至るかどうかは分かりません。
・納得して業務依頼をいただいても、
ほんとうに来日するかは分かりません。

実際に来日して業務をしても、
問題なくお支払い頂けるかも分かりません。

・もし、お支払いをしていただけないと、
何をしているのか意味不明です。


エージェント様経由の業務なら、
このような問題は発生しませ
ん。

筆者の場合、直の業務も、
かつては、やっていましたが、
メールの連絡を含む事務関係に、
手間暇がかかりすぎるので、やめました。

スマートではありませんが、
朝、ミートした時点でお支払いいただくのも、
リスク回避になります。
実は、朝、お会いした瞬間に、その日の料金を
お支払いくださったお客様がいまして、
なるほどと思い、実践したことがあります。

1日の終わりになると、現金を使い果たして、
ガイドに支払うお金がなくなり、ATMへ行っても、
うまくキャッシングできないこともあるからです。
クレジットカードを限度額まで使ってしまい、
お金を引き出せなくなった人も、実際にいます

ガイド料金の範囲内か否かの判断

業務が成約すれば、来日中の行程について、
ゲストから次々とリクエストが来て、
リサーチ地獄に落ちることもあります。
ある程度は、仕方ありません。
行程が決まっており、ガイドが知識不足なら、
自費で下見や調査をするのは業務範囲です。
行程が未定でも、たとえば、都内1日観光なら、
有名所はすべて問題なくご案内できて当たり前、
問題があったり、不確かな場所については、
自費で下見をして確認するのは当然です。

しかし、明らかにガイド業務の範囲を越える場合は、
別途、相談が必要になります;その例を、挙げます。

都内案内のほかに、
メニュー指定ありのお料教室探しと予約、
墨絵教室探しと予約、挙句のはてに予約変更、
繁忙期の京都の老舗旅館の予約、ハイヤーの手配、
お客様は、老舗旅館に宿泊するが、
ガイド用には1泊1万円以下でのホテル探し、
さらに、その方のビジネス相手との連絡など、
対応すればするほどエスカレートして、
ガイド料金と全く見合わないことに
なってしまったことがありました。

この案件は、東京部分を筆者が、
大阪部分を大阪のガイド友達が担当しており、
2人で相談して、
明らかにガイド業務範囲を越える要求と
判断されると結論付け、
そこまでの業務が必要なら、
別途料金を設定する必要がありますと連絡して、
了解をいただき、それらの業務をしました。
その時は、電話連絡が主でしたので、
ガイド料金よりも安めに設定しました。
いずれにしても、予測よりも手間暇がかかり、
ガイド料金と同じにしておくべきだったと
2人で反省いたしました。

ガイド料金とは、純然たるその日の
通訳案内の報酬のことです。
それ以外に、多くのリクエストや
リサーチが必要な場合は、別途、
事務料金を請求するとお伝えしました。

そんなことにツメをたててと思われるかも
しれませんが、何一つをするにも、
想像以上に膨大な時間がかかりますから、
やってられないわけですよ。

通訳案内料金は、下見をして訪問地を把握し、
スムーズなオペレーションと
ガイディング能力によって構成されます。
行程に知らない場所が含まれている場合、
その下見にかかる費用は、
通訳ガイドが、
自己負担すべき費用
であり、
ゲストに請求すべき経費ではありませんので、
ご注意ください。

新人なら料金のことなど考えずに、
何でもやるべきと考えるのは問題です。
気持ちは分かりますが、いつまでも「新人」レベルに
甘えることになるだけではありません。
確かに、最初の数本は、新人の場合は、
若干、安めの日当が提示されますが、
業務を少しこなしたら、
この業界は、基本的に、同一労働同一賃金です。
もし、低料金で業務を引き受けると、
その料金でOKということになってしまい、
同業者に大変な迷惑がかかります。

通訳ガイドとして長年稼働してきた同業者を
苦境に立たせるようなことは、
絶対になさいませんよう、肝に銘じてください。

「業務の時給は、いくらですか?」

最初のうちは、実績を作ることも大事なので、
ある程度は仕方ないかもしれませんが、
物事は程度問題です。

新人のうちなら、もしドタキャンされて、
お支払いをしていただけないとしても、
ダメージがほぼ無いと割り切れる場合には、
相手次第でやってみてもいいのかもしれません。
私自身は、直接取引FIT業務は、すべて、
知り合いからのご紹介案件でした。

レストランやホテルの予約依頼

レストランやホテルの予約は、
基本的に、ゲストにやってもらうこと。
まず、ホテル・レストラン・車輌などの
手配は、ガイドの業務範疇ではないことを、
お知らせします。
それでも、強く依頼される場合には、
キャンセルの場合どうするのか、
事前に国際送金してもらえるのか、
ゲストの希望のお店に予約を入れても、
実際には気に入らなくても、
ガイドは責任を取れないことなどを伝え、
間違ってもガイドに負担が生じないよう、
万全の対策を講じてください。
「どうしてもお願い!」などと書いてあっても、
ダメモトで書いていることも多いので、
そのあたりに関しても感覚を研ぎ澄ませて、
相手の要求を見極めることです。

私自身は、そうした付随した諸々が生じるものは、
お引受けしません。
また、キャンセルについては、必ず、
日本時間の何月何日の何時までに云々、
と規定し、強調しておかないと、
テキトウにあしらわれかねません。

ドタキャン被害の実例

東京を3日間観光する、女性お1人様客がいました。
最初の2日間は筆者が担当し、何の問題もなく、
公共交通機関利用して都内観光をしました。
2日目の夕方になったら、
「だいたいの動き方がわかったので、
3日目のガイドは要らない」と言い出したのです。

実は、そのお仕事を直接受注した方が、
最初の2日間は都合が悪く、筆者が最初2日を担当し、
このお仕事を受注したご本人が、
最終日だけ担当する予定でした。

2日目の夕方になってから、
「明日のガイドは要らない」と言われても、
もはや100%キャンセル対象なので、
お支払いはしていただかないと困ります、
と私は主張しました。

このゲストは弁護士でした。
筆者に対しては、業務条件を文書で送ってきたし、
キャンセル規定も明確に記載されていたが、
お仕事を直接受注した人は、
業務条件等に関する書類が無い、つまり、
条件など無いのだから払わないという始末。
2日間の楽しかったガイド業務が一気に
台無しになりました。

常識として、前日になってからのキャンセルは、
最低でも80%のお支払いが発生します。
弁護士なら、そのくらいの常識はあるはずで、
卑怯だと思いました。
キャンセル規定の詳細は、エージェント様によりますし、
直接案件なら事前に提示した条件によります。
筆者は、キャンセルは前日(48時間前)から、
100%支払いと規定していました。

それにしても、前日の夕方にドタキャンを決めて、
支払いゼロとは、あまりではないかと交渉の結果、
なんとか半分程度を、お預かりして、
このお仕事を受注した方にお振込みしましたが、
実に後味の悪い案件でした。

業務受注時に、文書で業務規定を送付し、
同意した旨の返信を保存しておけば、
回避できたことでした。

直接依頼案件での 支払い問題

お支払いについて発生する問題のひとつが、
「日本円がなくなってしまった」というケースです。
ATMやコンビニにお連れしても、なぜか、
カードが反応せず、お金を引き出すことが
できないことがあります。

ドルやユーロで支払いしたいという人がいますが、
日本は、政府が通貨発行権を持つ主権国ですから、
通用するのは、日本円です。
TIPは別でしょうが、業務の対価としては、
日本円でお支払いいただかないと困ります。
ま、イザとなれば、ドルでもユーロでも、
仕方ないこともあるでしょうが、
両替で目減りしてソンしないように注意しましょう。

このような事態を防ぐため、お買物など、
現金でのみお支払いする方は、要注意です。
「ここはクレジットカードが使えますよ。
日本は両替所が少ないのですが、
現金ばかり使って大丈夫ですか?」
などとお声かけします。

時には、
「ガイド料の支払いが大丈夫か、心配なんだね」と
ストレートに言う人もいます;その通りですよ。
—そういうコトを言えてしまう神経も、
スゴイですよね、日本人なら言えません。—

日本円の現金が無くて、
お支払いをしてもらえない場合は、
お客様のカードが使えるATMを探し、
現金を引き出してもらうほかありません。
上に書いたように、モタモタするよりは、
ドルでもユーロでもいいから、
いただくのが一番ですが、
その現金すら無いという事も考えられます。
千円どころか、数百円単位でも、
クレジットカードを使いたがる人は要注意です。

そのように、どうしてもダメな場合は、
銀行振込という方法もありますが、
見知らぬ人に、大事な個人情報を伝えるなど、
かなり危険性が高くなりますし、
国際送金の場合は、日本の口座に入金する際に、
2500~3000円の手数料がかかりますので、
その手数料も上乗せする必要がありますが、
このことは、説明しても、理解されません;
—理解したくないわけですよ—
また、そこまでして、送金してくれるかどうかも
分かりません。

郵便為替を使う方法もありますが、
本当にお支払いいただけるかどうかは、
やはり分からないのです。

報酬は、業務当日に、必ず現金でいただくこと。

お客様に評価していただけることは、
とても嬉しく有り難いことです。
担当したお客様からのご紹介で、
お仕事をご紹介していただいても、
日本で通訳ガイドを雇う料金の目安が
全然わかっていない人が多く

業務条件を添付して返信すると、
「なしのつぶて」になることがほとんどです。
そうした連絡等に費やす時間が、無駄すぎるので、
私は、直接案件は、原則やらないことにしました。

怪しいオファーの実例

リピーターになってくださったお客様から
紹介されたという、年配女性からのオファーでした。

3週間の日本旅行を計画している。
日本のあちこちを見たいので、
ずっと通しでガイドを希望するという旨と、
行きたい場所が、色々書かれていました。

そのメールを見た瞬間、
「分かってない」と直感しましたので、
業務条件を添付して返信しました。
ガイド料金の他、交通費・食事・宿泊代等は、
すべてお客様の負担と見て、驚いたのでしょう;
その後は、もちろん、ナシのつぶて、です。

直でお仕事を引き受ける場合は、
業務条件、不可抗力、キャンセル規定等を
明確にして、確認・了解のうえ、
損害を被らないよう、充分注意すること。

マッチングサイト

最近は、マッチングサイトが、
タケノコのように出てているようです。
スキマ時間活用ガイドなどは、
新人の訓練向けに使えるかもしれません。

浅草だけ1時間半のオファーなど、
人バカにしているのかと思いますが、
これも、時代の流れなのでしょう。

ほとんどのマッチングサイトは、
ガイドライセンスの有無を限定していません。
2018年以降、無資格者でも、
有償で通訳案内ができるようになった弊害で、
ノンライ=無資格者も多く登録するためか、
報酬は、お話にならないほどの低料金です。
頻繁にお仕事があるわけではない。
ガイドの質よりも、低料金をウリにしている。
時間の切り売りが多いようですから、
それらを承知のうえ、メリットがあるとすれば、
練習としての使い道だけでしょう。

交通費も計算すると、かなり厳しい条件どころか、
赤字になりかねないケースもありそうです。
有資格者が、そんなことをすべきではありません。

旅行会社の業務

エージェントを経由すれば、
ゲストは高めの料金を払い、
仲介手数料が差し引かれるわけですが、
手配関係は、すべてやってくれます。
途中で困ったことがあれば、
担当者に電話で相談もできますし、
ガイド料金は問題なくお支払いただけます。

大手旅行会社のお仕事をすれば、
確かな実績になります。

新人ガイドは、最初は低料金で
始めることが多いのですが、
ある程度の業務をこなすと、
格上げになり、レギュラー入りできます。
確実に業務ができれば、リピートに繋がります。
新人がいきなり団体ツアーを任されることは、
普通はありません。
新人ガイドは、<比較的簡単な>案件を、
安めの料金で引き受けて、スタートします。
まず、FITの実績を積み上げることが肝心。
実績は、どの旅行社のお仕事をしたかも、
評価の対象になります。

主要旅行会社様のお仕事ができるよう、
確実に案件を積み上げる。

FITの今後と団体ツアー

観光地では、英語の説明が充実してきました。
GPSを使って自由に歩く外国人は増えており、
様々な情報もスマホがあれば、
簡単に調べられるようになりました。
無料の通訳アプリ、翻訳アプリもあります。
それらのツールを使いこなせる人達は、
ガイドは雇わなくなるでしょう。

それでもガイドを雇う富裕層は、
難しいリクエストを沢山出してくるので、
超ベテランでないと務まりません。

筆者の好みは、圧倒的に団体ツアー業務ですね。
理由は、FITだと、ず~~~~っと、
ゲストと一緒にいなければなりません。
女性同士なら、トイレまで一緒、
ドアの前で待たれるのも、何だかね~。。。
手洗い、お化粧直し、電話をするのから何から、
いちいち、じ~~~っと見られっぱなし。
ゲストが親近感を持ってくれているのは、
とても有難いことなのですが、疲れます。
団体ツアーなら、必ずフリータイムがあるので、
その時ひ、1人で一息つけるからです。
個人ゲストが好きなガイドもいますし、それぞれです。

職業として稼ぐためには、
ロングツアーを受ける本数がカギ
となります。
団体ツアーは、短くて1週間、長ければ2週間、
あるいはそれ以上ですから、
ツアー1本でも、
ある程度、まとまった収入を確保できます。

もっとも、予算が厳しい超格安ツアーの場合は、
ガイドは細切れにアサインされることもあります。

東京圏のガイドが、東京~鎌倉~箱根まで案内し、
箱根観光の後、小田原から新幹線に乗せて終了。
新幹線の中は、ガイドも添乗員も無し。
関西圏のガイドが、京都や奈良観光を担当。
また次へ移動する列車に乗せて終了。
移動先で、次のガイドが引き受けて、、、
という形式のツアーがあります。
細かく、ガイドの宿泊代や移動費用を節約して、
低価格のツアーを実現するからです。
こういうショボイ業務は、嫌ですね~~
でも、ここには新人が入り込む余地があります!!!

このような事情から、英語ガイドが
箱根の山を越えるには10年かかると言われます。
とはいえ、何等かのタイミングや事情により、
新人がロングツアーを引受けることもあります。

いつ、お仕事をすることになるか分からないのに、
自宅から遠い場所まで、下見をしてしまった方は、
旅行社に、下見実績もアピールしてください。
すぐにはお仕事に結びつかなくても、
チャンスは突然やってくるのです。
その時に、対応できるかどうかも、大きなカギです。

4. 【新人】通訳ガイド:ガイディング原稿作成

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