東京から鎌倉へ向かう場合
前回と重複する部分もありますが、お許しください。
関連記事:II-8. レインボーブリッジ~お台場~羽田空港 or 鎌倉方面へ移動
東京から鎌倉へ向かう場合の通過場所
- 東京タワーのすぐ近く
- レインボーブリッジ(上)
- お台場
- 羽田空港
- 川崎工業地帯
- つばさ橋
- 横浜ベイブリッジ
- 横浜の街とみなとみらい
- 条件がよければ富士山
- 港を見ながら朝比奈へ向かう
以上のルートを通るなら、東京から鎌倉への移動は見所満載、
ガイディングもお客様も盛り上がる時間が続きます。
バスの通行経路が決められている場合は、それに従わなければいけません。
ツアー前打合せの際には、バスの運行経路も確認し、
もし、山側を通るつまらない経路になっていたら、
見所満載の海側ルートに変更可能かどうかお伺いをたて、
可能ならば変更してもらいましょう。
山側のルートを通ると全然面白くありません。
お客様が可哀想です。
当然、レインボーブリッジは上を通れるようお願いします。
上は高速道路で有料ですから、ガイドが勝手に決めることはできません。
景色が開けた上を通るのと、景色が見えない下を通るのとでは、
雲泥の差がありますが、最終決定はツアー担当者次第となります。
バスの事故が連続して発生して以降、
安全のため運行ルートの直前変更ができなくなりました。
遅くとも前日迄には旅行社とバス会社の間で連絡のうえ、
了解を得なければなりません。
出発するホテルの場所にもよりますが、
東京タワーの近くを通過することが多いので、ご案内をお忘れなく。
東京タワーは、今も観光の主役の一人です。
レインボーブリッジでは、橋自体、海面から橋までの高さ、
お台場の歴史、現在のお台場、目立つ建築など説明内容も満載、
データや数字は、覚えきれなければメモしておきます。
お客様は数字が大好きです、聞かれる前にご案内しましょう。
川崎
羽田を過ぎると、すぐ川崎工業地帯に入り、
日本産業の基盤となる光景が見られます。
グーグルのマップとストリートビューを使って事前予習をし、
つばさ橋から横浜ベイブリッジまでシミュレーションをしましょう。
いい時代になりましたね。
ベストタイミングで綺麗な写真を撮れるようご案内することは、
ガイディングよりも重要です。
実際に見えている構造物や建物群は、
現代日本の産業基盤を支えているものの集合体ですから、
それにまつわる産業などのお話をすると喜ばれます。
鎌倉へ行けば、どうしても歴史や神社仏閣の話になりますし、
ツアー中、京都や奈良では、さらに古い歴史の話が続き、
それが、日本観光のハイライトではありますが、
ゲストは、現代日本についても大変知りたがっています。
この光景は、隠れたサプライズ・ポイントでもあります。
重化学工業関係についてお話できる絶好のスポットで、
世界的に知られているメーカーもあります。
カワサキは、そもそも、自治体の名称なのだと分かるだけでも、
「そ~だったのか!」と言われるほど。
ここに限りませんが、ヲタク的に細かい内容をお話するよりも、
全体の流れを解説すると喜ばれます。
横浜
引続き横浜に入ります。
早めに説明をし、スタンバイできるよう、ご案内します。
それぞれの橋の竣工年、長さ、特徴はマスト情報。
東京から横浜へのルートでは、
左に見える港には、多くの貨物船やクルーズ船、
右はみなとみらいの風景が広がり、ガイディングのハイライトです。
【重要】横浜市についての説明も、お忘れなく!
バスの中で立ち上がったり、移動してはいけない規則ですから、
安全運行上の注意事項は、必ずお伝えします。
しかし、みなさん、綺麗な写真を撮ることに賭けていますから、
そんなことはお構いなし、何を言っても耳に入りません。
ガイドが安全上の注意を言い続けると雰囲気ぶち壊し、
かといって、安全は最優先ですし、
スローダウンできない場所なのに、ゆっくり走ってくれと言われます。
イケナイことは重々承知のうえ、わたしはシートベルト外して、
後方を見てゲストの行動を注視し、本当に危ない行動を個々に注意します。
たとえば、窓を開けて、カメラを窓の外に出して写真を撮るなどはダメです。
事故が起こったり、ケガをされてからでは終わりですから、
そのあたりは、本当に雰囲気と安全優先との狭間で悩む時間となります。
運が良ければ富士山まで見える絶好のロケーション。
そうなると、もう、写真撮影に没頭させておきましょう。
その景色を実際に見ることが、日本へ来た目的のひとつといっても
過言ではないのですから、絶景は充分に堪能していただけるよう、
縁の下の力持ちに徹するのがベストです。
横浜港からは、頻繁に富士山が見えますので、
箱根から東京へ向かう際には、左手、左後方にも氣をつけて、
少しでも富士山が見えているようなら、すかさずご案内します。
フランス人ゲストの感想では、
川崎~横浜の工業地帯と横浜港の2つの大きな橋、
港とみなとみらいの風景は、非常に印象的なようで、
こんな風景があって、これが日本を支える原動力なのかと、
ほんとうに驚いてしまうお客様が沢山います。
リーマンショック以来、日本の景気は下がる一方ですが、
それでも、敗戦後から日本の復興に尽力してくれた世代の方々、
そして現代日本の基盤を築いてくれた方々に想いを馳せつつ、
通訳ガイドとして稼働できる有り難さも実感できる場所でもあります。
箱根方面から鎌倉へ向かう場合
土日祝日に重なるとひどい渋滞になりますので、
早め早め、5分でも早めに行動することです。
ここを逃すと、鎌倉でバスを降りるまでお手洗いはありません。
西湘PA(パーキングエリア) 上り
西湘PA(パーキングエリア) 下り
食事店への連絡など
昼食が鎌倉になっている場合は、適宜、途中からレストランへ連絡を入れます。
渋滞が発生している場合は、その様子もお伝えします。
次に、どの場所を通過したら電話するください、
などと指示されますので、それに従います。
たとえ、ガイディング中でも、
「すみません、レストランへ連絡しないといけないので、
少し失礼しますね」と、食事連絡は優先します。
お客様にとっても、食事は重大事項ですからご理解いただけます。
江の島
江の島が見える少し前から説明をはじめます。
土地感がなければ、スマホかタブレットに地図を出し、
適当な場所から説明を始めます。
自作ガイディング原稿を、ゆっくりと読み上げてかかる時間を計算しておき、
その時間を基に、江の島が見える少し手前から説明をします。
実際に江の島へ行く場合は、詳しい説明をすればいいのですが、
通過地点の風景として見るだけの場合は、
特徴的なこと、面白そうな話題だけ話しています。
ここに限りませんが、実際に行かない場所について詳しく説明すると、
「なぜ、そこへ行かないのか?」と言い出す人が出てくるからです。
しかし、実際に見えているものについては説明が必要ですから適宜調整します。
江の島へ渡る橋の信号が赤なら、ゲストが問題なく写真を撮れますが、
信号が青で渋滞もなくスイスイ通過できてしまうと、
良い写真が撮れず問題となる不思議な場所になりますので、
通過する前に写真を撮りそこねないよう上手にご案内しましょう。
ここも、スローダウンはできません。
江の島への橋を通過したら、すぐに鎌倉の説明に入ります。
そうすることで、江の島の頭を消し、訪問地へと切り替えさせるのです。
行程の順序【箱根方面から鎌倉へ】
箱根~鎌倉~東京へと移動する場合も、行程を確認しましょう。
箱根方面から鎌倉へ入る場合は、普通、大仏や長谷寺が先ですが、
時々、鶴岡八幡宮から始まっていることがあります。
新人社員が、何も考えずに行程を並べるだけだと、
このような怪奇現象が発生します。
それゆえ、ガイドとしても、最終行程は細かく確認し、
ツアー前に担当者とも確認することがとても重要なのです。
そのためには、ロングツアーの経験がなくても、
行程の順番に関する不都合を指摘できる知識が必要です。
それが徹底されないと、実際の現場で困り、お客様の満足度が下がり、
場合によってはガイドの知識が足りないせいだと思われかねません。
経験のあるガイドならば、行程の順番をみた瞬間に、
問題点を指摘して、順番を変更できます。
しつこいほど、バスの安全運航上、
当日の行程の順番変更はできないとお伝えしていますが、
実際は、そこそこファジーです。
もしも、箱根方面から鎌倉に入るのに、
鶴岡八幡宮、長谷寺、大仏、そのあと東京へ移動、
という行程になっていれば、
ドライバー様は、ふつう、変更を申し出ることでしょう。
大仏近辺の駐車場は予約が必要なことがあります。
旅行社が既に駐車場を予約している場合、
時間が変更になれば予約を変更していただかなければなりません。
急な事情で、予約済みの駐車場を使わない場合は、
ペナルティが課されることもあるのです。
早めにツアー担当者に連絡して、予約済みの駐車場の変更の可否、
お支払いなどについて、確認が必要です。
このようなことについては、ツアー前にも必ず確認しておきましょう。
箱根観光のあと鎌倉へ移動の場合
箱根から鎌倉へ向かう場合、箱根のホテルを出発後、
芦ノ湖で遊覧船に乗るなどの箱根観光をしたあと鎌倉へ行く行程が多く、
朝一番に箱根から鎌倉へ直行する行程は珍しいと思います。
箱根で早めにランチをしてから鎌倉へ向かうにしても、
鎌倉到着後にランチをするにしても、鎌倉観光は急ぎ足になりがちです。
食事は、旅の大事なお楽しみですから、
食事時間の短縮は、よほどの事情がない限り控えること。
お客様は楽しみに来ているわけですから、急ぎたくはないわけです。
それに、食事を急がせようとしても、無理です。
なぜならば、「急ぐ」という感覚は、ほとんどのゲストにはありませんから。
急がせるという雰囲気を出さないようにしつつ、効率的に動いてもらう必要があります。
そのような事情もありますので、効率と行程順番は非常に大きく影響します。
鎌倉から東京へ移動
ふつうは、大仏や長谷寺が済み次第、鶴岡八幡宮へ移動して参拝し、
終了後、都内へ向かいます。
この点も、ツアー前打合せで担当者と確認しておきます。
ルート指定が朝比奈になっていても、実際は通れないので逗子から回ります。
この程度のことは、通訳ガイドとしては当然の知識ですが、
このことを知らない旅行社の担当者は少なくありません。
選択の余地のない変更に関しては問題はありませんが、
指定ルートと実際の走行ルートが違わないよう確認しておくのがベストです。
次回は、鶴岡八幡宮へ行きます。
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