神社仏閣におけるゲストの行動
日本を観光するツアーの
ハイライトの大半が神社仏閣です。
宗教施設なのですが、ゲストのほとんどは、
テーマパーク程度にしか思っていませんので、
事前の注意喚起が重要になります。
たとえ実態がかけ離れていても、
神社仏閣の訪問は≪参拝≫といいます。
服装
関連記事:17. 服装と荷物
「ゲストの服装」の項
露出が少なければOKです。
鳥居や山門では一礼、正中を歩かない
全国通訳案内士のライセンスを
首から下げて仕事をしていても、
一礼もせずに鳥居や山門を
取り抜けていくガイドが多すぎます。
日本の全国通訳案内士なら、
たとえ、日本人でなくても、
最低限の礼儀はわきまえてください。
お賽銭
お賽銭に関する色々なゲストの
考え方や反応を記します。
色々な考えの人達がいると
事前に知っておけば、
ココロの準備になるでしょう。
ガイドがお参り
神社仏閣参拝の際、筆者は、
たとえ僅かでもお賽銭を入れ、
ご挨拶とお願いをしています。
大半のゲストは参拝しませんから
「私が団体代表としてご挨拶します」
とお伝えしています。
そのようにハッキリと言わないと、
仕事のついでに、自分のお願い事を
していると勘違いされると困ります。
お邪魔させていただく挨拶と、
最後までつつがなく催行でき、
全員無事に帰国できるよう
お願いしています。
業務だから必要ないという考え方もあり、
どうするかは全く自由です。
お参り
お賽銭の説明とやり方は説明しますが、
やってみましょう、とは私は言いません。
強制的に支払いをさせられたと
受け止められると嫌だからです。
郷にいては郷に従えという精神、
常識のある方々は、
こちらから言わなくても、
「どうすればいいか、教えてください」
と聞いてきますし、このような方々は、
鳥居や山門をくぐるときも、
ガイドと一緒に深く礼をされますし、
説明の通り、真中は歩きません。
お賽銭については、
「お金を払わなければならないのか」
と言ってくる人もいるのです。
はじめて、そう言われた時は衝撃でした。
義務ではありませんし、
教会でも献金を入れるでしょうと言うと、
「そんな人、ほとんどいないよ」
「少なくとも、自分は入れない」
という答えが多くなりました、情けない。
高価なブランド物を沢山持っていても、
献金やお賽銭をケチる人なのだと分かります。
さらに、お賽銭箱を見て、
「かなり儲かるね」と言う人がいるのです。
そういう発想の持主には、
独特や倫理を説いてもムダなので、
「これだけの敷地や建物の維持管理に、
どれほどの費用がかかると思いますか?
それを、コインしか入っていない
お賽銭で賄えると思うの?
ゴミ一つないでしょう、
頻繁に掃除する人がいるからですよ。」
この程度のことは言います。
お賽銭の金額自体が問題ではないとはいえ、
これまでに、1円玉1枚、5円玉1枚を
入れた方を目撃しました。
その方々は、何か真剣にお願い事を
していました。
真剣にご祈祷をお願いする方は、
お賽銭箱にコインを入れるのではなく、
社務所で申し込みをして昇段のうえ、
ご祈祷をしてもらうのです。
そのことも、軽く説明はします。
迷信
目に見えないものを信じるなんて
「日本人は迷信深い」と言う人達が、
必ずといってもいいほど、います。
私は、必ずお参りをしますが、
お参り、お願いごとではなく、
お邪魔をさせていただく挨拶です。
世界中の書籍の中で、
聖書の次ぐベストセラー『星の王子さま』、
その最も大事なメッセージは、
「大切なものは目に見えない」、
それは、どう思うのか?
と聞いています(まぁ、反語ですが)。
日本人のことを、目に見えないものを
信じてアホみたいとか、
迷信深くてバカみたいと言う人達に限って、
「13」という数字に異常に怯えているのは、
かなり滑稽です。
お守り
日本人は迷信深いだのなんのと
言いまくる人達でも、
お守りを見つけると態度が豹変して
『効果効能』をシツコク聞いてきます。
お守りは、お土産としても優秀です。
小さく軽い、全くかさばらない
現地のオリジナルで、デザインもよく、
素材生地も人気があり、
ご利益付きで、お値段お手頃です。
圧倒的人気は、受験、交通安全、
安産、家内安全、健康長寿。
ゲストには、
ご祈祷済みの神聖なものなので
大切に扱うようお伝えします。
すると、ステイタス感が出るらしくて、
皆さんとても嬉しそうにします。
ほ~ら、やっぱりね・・・となりますよ。
おみくじ
「やめろ」と言っても、
どうしても引きたい人がいるのです。
どうしても引きたい人に限って、
凶を引いてしまうのです。
誰かおみくじを引く人がいると、
全員集合して興味津々で大注目。
吉なら喜び、凶なら落ち込む、
という単純な話ではないこと、
生活のヒント、有益なメッセージと
捉えるよう、全員にお伝えしています。
原則としては、記載内容を訳すわけですが、
一筋縄ではいきません。
私達は、見た瞬間に、吉凶が分かります。
ほとんどの場合、文語体で、
普段見慣れないフォントで印刷されていますので、
「ん~~、神社仏閣では、
こういう文語体の文章が多いし、
続字は現代人には難しいんですよね~。」
とためを作っておきます。そこで、
「失せ物:見つからず」とか
「旅行:凶」など
良くない内容が書かれていたら、
そのまま訳さないこと!!!
【慣れない文語体をやっと読んでる】
体裁で、適当な内容に置き換えるのです。
その場合、ゲストが記念に持ち帰って、
何等かの方法で真実を知ると困るので、
そのゲストが凶のおみくじを持帰らないよう、
ガイドは上手に誘導し、
「おみくじは、ここに結びつけるの、
あなたの願いが届きますように」などと言い、
ガイドがさっさと結んであげてしまいましょう。
ゲストは、そもそも自分では結べませんしね。
上手なフォローが必要、嘘も方便です。
吉、大吉なら、そのままでOK。
御朱印
時間に余裕があれば、是非ご案内し、
御朱印をいただきたい方々には、
説明をしてあげたいとは思うものの、
行程は時間ギリギリで組まれているので、
悩ましいかぎりです。
確かに、日本人が見ても、
素晴らしいと感心する達筆な文字は、
外国のお客様には、相当なインパクト。
御朱印のことを説明して萌える人が出ると、
皆が欲しがると大変なので(時間的に)、
最近は、あまりご案内しないことにしました。
残念ですよね、時間があればお話しできるのに。
しかしながら、
目立つ場所に御朱印の受付があったり、
ガイドが知らないうちに、
長い行列を辿って行って存在を知ってしまい、
ぜひ欲しいと言われたりします。
”萌え”られてしまうと、
ただでさえタイトな時間が
さらに厳しくなるのですが、
神社仏閣の参拝では大事なことなので、
御朱印萌えが出てしまったら、
開き直るほかありません。
もちろん、時計を睨みながら。
ツアーにいた御朱印コレクター
日本では団体旅行の行程の
半分以上が社寺仏閣です。
時には、御朱印のことを知っていて、
御朱印帳を買う人が現れます。
あるツアーでは、偶然なのでしょうが、
16名の団体のうちの5人が、
御朱印集めを毎回行う!
と宣言されたことがありました。
そうなると仕方ありませんので、
すばやく御朱印所をみつけて案内し、
手助けしてあげるほかありません。
最初に御朱印帳を預けて番号をもらい、
帰りに、預けていた御朱印帳を
受け取る方式が増えましたので、
御朱印コレクターがいたら、
手際よくオペレーションします。
くれぐれも、帰りに
取り忘れないように注意!
5名の御朱印コレクターがいたツアーでは、
4名は、ツアーで一番最初の神社で
御朱印帳を買い、それにお願いしました。
この4名は、日本到着後に、
神社仏閣で、祈祷済みの御朱印帳を、
買うべきであることを知っていました。
残りの1名は、そんなことは知らず、
自国から御朱印帳のようなノートを
持参してきました。
ところが、ある場所で、
神社仏閣でご祈祷済みの
”本物の”御朱印帳ではないという理由から、
御朱印を拒否されたのです。
ゲストは御気の毒だし、
お寺様の言い分も最もながら、
嫌な気分になりました。
紙質が毛筆に適していないのは確かです。
その1か所以外では、ゲストが持参した
ノートに書き入れをしていただけました。
外国人だから目をつぶってくれたのでしょう。
御朱印帳が無くても、東大寺大仏殿のように、
1枚づつの書置きタイプを
用意されているところもあります。
書置きタイプの御朱印でも、
日付はその場で入れてくれます。
少なくとも新コロ前までは、そうでした。
ツアーのオペレーション情報は、
一旦これでおしまいになります。
残る1回は、前泊についてお伝えします。
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