業務前の前泊について
オペレーション編の最終回になりました。
今回は、業務オペレーションではなく、ガイドの前泊についてお話します。
前泊ホテルの決め方
朝に到着する団体を空港でお迎えしてツアーを始める場合、空港近くに前泊します。
前泊料金は、各旅行会社ごとに予算が決まっています。
前泊ホテルのことなど氣にならない方は、この記事は読み飛ばしてください。
ガイドが前泊するホテルの予約は:
- 旅行会社の手配に任せる⇒旅行社の手間が1つ減る
- 予算を聞き、その範囲内でガイドが自分で手配する
予算に関係なく、旅行社が手配するホテルの宿泊しか認めないところもあります。
私は、予算を聞いて自分で予約しています。
理由は簡単で、ツアー直前は、少しでも快適に過ごしたいからです。
業務前泊の快適性は、モチベーションにも初日の疲れにも大きく影響するからです。
通常は、3月末~4月は超繁忙期で、1年前にはアサインをいただきます。
わたしは、アサインをいただいたらすぐ、前泊ホテルを予約しています。
ツアーがキャンセルになる場合、少なくとも、1か月前には連絡がありますので、
その時点で、ホテル予約もキャンセルします。【キャンセル規定に注意】
翌日のバス手配、食事店、ホテルなどの最終確認をはじめ、
前泊するなら、ガイドの交通費、宿泊費など、精算業務も始まるからです。
直接、空港へ行く場合
自宅から直接空港へ向かう場合は、通常よりかなり早めに出発します。
もし、利用する鉄道路線が人身事故にでも巻き込まれれば、1時間は足止めされます。
ヨーロッパから日本に朝に到着するフライトは、早めに到着することが多く、
極端な場合は、1時間も早く到着することもありました。
オーディオガイド利用の場合は、空港で引き取ることもあります。
窓口に行列ができていたり、到着フロアから離れていることもありますので、
その時間的余裕も加算します。
- 空港には、1時間前には到着する
- オーディオガイド引取りの場合は、さらに時間的余裕を計算する。
- 朝の到着便は、予定より早まることが多い。
- 利用する鉄道路線の不具合や事故が起こった場合の時間ロスも計算する。
成田空港
よほど成田の近くに住んでいるガイドでない限り、
朝に成田到着のツアーなら、都内在住者もほとんど前泊になるでしょう。
成田空港近辺のホテルはどこも前時代的なホテルのほうが多い印象です。
新しいホテルは、成田空港ではなく成田駅近辺に多いので、あまり関係ありません。
成田空港近辺のホテルなら、旅行会社が指定する予算で宿泊できます。
繁忙期は若干値上がりし、予算を越えることもあります。
予算超過分は、もちろん自己負担になりますが、たいした差額ではありません。
わたしが定宿にしているホテルなら、持ち出し分は1000円前後です。
この場合は、領収書は、分けて発行していただきます:
予算の金額で旅行社宛、超過分はガイド宛に、2分割して発行していただきます。
このようなことをお願いする場合は、事前にメールで事情を説明しておくと、
スムーズにC/Iできます。
普通の空港近くのホテルなら、多くの通訳ガイドが同じようなことをしていますから、
会社宛とガイド宛の領収書発行には、対応していただけるはずです。
成田⇔ホテルのシャトルバス
どのホテルも、空港からシャトルバスで行けますが、コストカットの影響で、
複数のホテルが同じシャトルバスを使うケースも出てきました。
空港から、ホテルへ向かうときは、若干遅れても問題ありませんが、
朝にホテルから空港へ向かうシャトルバスは、かなり混雑します。
可能であれば、予約をすることをお薦めします。
予約システムではなくても、チェックインのとき、
翌日利用予定のシャトルバスの時間を聞かれたら、状況を確認します。
混雑が予測されると告げられたら、迷わず1本早い便に乗りましょう。
羽田空港
上記の通り、朝の到着便でお客様をお迎えする場合、
住んでいる場所によっては、前泊するほうが確実な人も多いのではないでしょうか。
わたしも、そうしています。
東京からツアーが始まる場合、2日目は公共交通利用日に設定されていることがよくあります。
公共交通利用日は「地獄の1日」、脚が棒になるほど肉体的に辛い1日となります。
参考記事:31. 公共交通機関利用【電車・地下鉄・路線バス】
健脚さを誇るお客様方も、参ってしまうほどくたびれ果てます。
もちろん、体力に自信があり、早朝から夜遅くまで連日超絶に稼働しても、
全然平気!という向きは頼もしい限りで、それなら全然問題ありません。
長いツアーの初日に疲労困憊し、疲れがとれないまま2日目に突入し、
地獄の公共交通機関利用日となれば、目も当てられません。
羽田空港近辺には、シャトルバス・サービス付きのビジネスホテルが沢山あります。
エネルギー節約、体力温存、既に空港近くにいるという安心感を考慮すると、
わたしの場合は、前泊は必要経費です(首都圏とはいえド田舎住まいゆえ)。
ガイドによっては、旅行社に事情を説明して前泊費用を出してくれるよう、
交渉する人もいるようですが、お薦めしません。
それでなくても、ツアーは、ギリギリの予算で組まれているのに、
自宅から羽田まで遠いから前泊の宿泊代を出してもらえないか、などと言われれば、
アサインが遠のく可能性が高くなります。
1万円程度のことでアサインが減るとなると、得策ではないでしょう。
羽田空港なら、朝10時頃迄の到着便なら、自己負担して前泊しています。
朝も、落ち着いて、オペレーションの確認や、ガイディング原稿を見たりできます。
関西空港
大阪や京都のガイドは、おそらく前泊対象外でしょう。
それ以外のガイド、たとえば首都圏在住のガイドが関空からツアーを始める場合は、
前泊対象となります。
関西空港近くのホテル【立地と交通】
旅行社にお任せすると、スカイゲートブリッジを渡ったりんくうタウン駅から徒歩、
または、シャトルバスで移動するビジネスホテルが手配されます。
自分で手配する場合でも、旅行社から指示される予算内で決めようとすると、
だいたい、そのあたりに落ち着きます。
ただ、朝にホテルから空港へ行くシャトルバス・サービスは、そこそこあるが、
前日の夕方、空港や最寄り駅からホテルまでのシャトルバスがないとか、
あっても、きわめて少ないこともありますので、事前に確認する必要があります。
前泊ホテルが、最寄り駅から離れており、雨に降られると、結局はタクシー利用になりますが、
前泊の場合のタクシー利用の費用は、旅行社からは出ません、自己負担です。
到着便と、ホテルから出発するシャトルバスの時間がかけ離れていることもあります。
そんなホテルに限って、りんくうタウン駅まで徒歩10分も歩く場所にある。
シャトルバスでも、電車利用でも、ホテルから空港まで移動だけで30分、
やはり、フライト到着予定時刻の1時間前には、スタンバイしたいものです。
りんくうタウンから関西空港までのタクシー利用
万が一、シャトルバスを逃してしまったり、電車の時間もうまくいかず、
りんくうタウン駅近辺から関西空港までタクシーを利用することになれば、
約5km、4000円近くかかるようです。
また、すぐにタクシーが来るとも限りません。
下手すれば、空港から向かいます・・・などと言われることもあるようです。
そうなると迎車料金がいくら追加になるか分かりませんが、
様々な理由から、陸地から関空へのタクシー利用は、お薦めいたしません。
関西空港近くのホテル【施設】
≪残念系≫ホテルが多い印象です。
新しいホテルもありますが、駅から遠く雨が降ればタクシー(当然、りんくうタウン駅から)。
シャトルバスは朝だけ、というホテルもあります。
旅行社が手配する残念系ホテルに泊まり、情けないと感じれば、テンション急降下です。
あるとき、旅行社手配の≪残念系≫ホテルに前泊して、翌日、朝食会場へ行ったら、
某国の団体客で大混雑、ビュッフェ台はカオスと化しており、
テーブルには様々なものがこぼれ、床にまで食材が落ちている有様でした。
即座にお部屋に戻り、C/Oして空港に移動して朝食を取ったのですが、
それはそれで、空港ターミナル内で余計な移動に時間をとられ、
結局は好きなものも食べられず、ガッカリ状態で業務開始となってしまったのでした。
朝食会場がカオス状態でも、そこで食べようとされるならば、
洋服を汚されないよう、細心の注意を払わなければなりません。
こちらが最大限に注意しても、相手あってのことですから、何ともいえませんが。
たとえば、山盛りのお皿を持ち、お皿から油物がはみだし、手もベトベト、
ロクに前も見ずに横の人と話しながら歩けばどうなるか、容易に予想できます。
ツアー初日、気持ちよく元気いっぱいでお客様をお迎えすべく服装を整えて、
そんな目に遭ったら、目も当てられません。
残念系ホテルに前泊する場合、そのようなリスクには充分注意されますように。
空港内のホテル
関西空港内にあるホテルは1軒だけで高額です。
時期によっては、旅行社の前泊予算の倍以上の価格になります。
それでも、私は、数年前から、そのホテルを前泊定宿にしています。
自己負担額は、2019年時点で、6000~8000円ほどになってしまいますが、
他を節約しても、譲れないポイントになってしまいました。
関東から関空まで行くだけでも、移動に疲れます。
京都や新大阪までなら何ともありませんが、関空までとなると疲れを感じます。
空港内のホテルなら、交通機関を利用しなくても、既に空港にいるわけです。
雨が降っても濡れずにターミナルへ行けますし、
フライトが着陸してから部屋を出ても、余裕で間に合います。
最近は、お客様を迎える前に、イヤホンガイドの受取りがありますから、
少しは早めに行きますが、差額を自己負担する価値があると私は思います。
快適に過ごせるため、モチベーションをupできます。
それでなくても、実際にツアーが始まれば発生するであろう、不測の事態にそなえて、
体力と氣力を温存したいからです。
これは、わたしの我儘の一環であり、けして、そのホテル様の回し者ではありません。
けして、推奨しているわけではありません、参考程度にとどめてください。
朝食
朝食はいつも決まったものを食べており、それを楽しみにしていますが、
いいホテルのレベルの高いビュッフェならば、思い切ってそれを楽しみます。
一方、朝食会場とお部屋の往復にも、意外と時間がかかります。
レストランが混んでいると、待ち時間がかかることもあります。
また、関空内のホテルの朝食ビュッフェに関しては、コスパが疑問ですし、
空港に宿泊している時間は貴重ですから、
私の場合は、食べたいものを予め揃えておいて、朝はお部屋で食べています。
そのほうが圧倒的に効率的です。
その翌日からは、そんなことはできません。
お部屋と朝食会場との往復にも毎度時間を使わなければなりません。
少しでも長く、快適なお部屋でゆっくり過ごす時間のほうが貴重です。
業務マニュアルのようなものですから、全然面白くありませんのに、
ここまで読んでいただきまして、ありがとうございました。
まだ、掲載すべき情報が沢山あり、どこに、どう入れたものか考え中です。
年末に少しは見直しをして、リライトしたいと考えております。
2021年、松が明けましたら、導線編を始めたいと思います。
エラそうにお話していても、実は、自分でも、できていないことが、
けっこうあります。
皆様と一緒に成長したいと思います。
ご指摘、ご意見など、いつでもお待ちしております。
コメント