バス車内での確認と安全注意事項
バス乗車時は必ずシートベルトを着用
シートベルト着用に関しては、
バス乗車時に、毎回ご案内するよう
規定している旅行社があります。
もし事故が起こり、
シートベルトを付けていない人が
怪我をするとガイドの責任が問われます。
とはいえ、毎度同じ事を繰り返されると、
聞くほうも鬱陶しくて嫌になりますので、
次のようにお話しています。
毎度ご案内するよう規定されており、
その規則は、守らなければいけません。
毎回、同じことを聞くのは、
鬱陶しいと思いますが、
安全のための規則ですので、
ご理解のうえご協力をお願いします。
ガイドの発言は、すべて、
ドライブレコーダーに録音されているそうです。
事故が起こった場合、
シートベルト着用の注意喚起を
行ったか否かの検証材料になるそうですよ。
「いちいち、シートベルト着用するよう
言ったかどうか、分からないでしょう」
とタカをくくる人がいますが、
ドライブレコーダー解析で明らかになります。
誰が検証するのか?と聞く人がいます、
それは、警察ですよ。
走行中に立ち上がったり、車内移動はしない
このようにご案内した直後であっても、
ふと気が付くと、音もなく移動してきて、
ガイド席の隣や、ドライバー席の横まで行って
写真を撮る人が現れることがありますが、
危険なのでやめてもらいます。
このような事態になると、ドライバー様から、
「やめさせてください!」と注意されます。
危ないから座席に戻るようご案内しますが、
「ちょっとくらい、いいじゃないの」とか、
「大丈夫」などとテキトーにあしらわれて、
大抵は問題ないので、
「ほ~ら、大丈夫」という展開になりますが、
事態はエスカレートして、
他のお客様にも伝播感染しますから、
危険を理由に、控えていただきます。
「意地悪」と言う人も中にはいますが、
いかなる時も安全第一です。
そのような場合は、
実際に怪我人が出ていることをお伝えします。
それでも言うことを聞かない人達!
「危険回避のため、ガイドが注意をし、
ドライバー様の警告も訳しました。
この状況で事故になったら、
あなたが怪我をしても、
ご自身で対応してください。
保険判定には日本の法律と規則が
適用されます」と私は言っています。
ここまで言うと、
確かにその場の雰囲気は下がりますが、
安全には代えられません。
実際に、そこまで言わざるを得ない
対応を迫られる場合は、百歩譲って、
そのゲストが大勢の前で恥をかかないよう、
マイクは使わず、しかし大きな声で、
前の座席にいるお客様方には
聞こえるように話します。
綺麗な写真を撮ろうと思ったのに、
邪魔されたと憤慨して、
「感じ悪い」「いちいちうるさい」と
受け止める向きもありますが、
基本的には少数派です。
毎度のことですから、
もうお察しがつくと思いますが、
そういう人達は、困ったちゃんです。
景色を楽しみたいお客様と安全のはざま
訪日旅行ですから、
日本を楽しんでいただくことが、
最大の目的ではありますが、
私達にとって、もっと大事なことは、
何事もなく無事に帰国していただくことです。
テキトーに持ちあげながら、
上手になだめすかしましょう。
日本人の常識では、考えも及ばない
身勝手な屁理屈に太刀打ちできるよう、
なだめすかす方法を普段から考えておき、
担当言語で言えるようにしておきましょう。
欧米人的思考で物事を説明し、
納得させる訓練には、これ。
日本人についての質問に論理的に答える 発信型英語トレーニング
安全優先のために注意喚起をして
言うことをきくのは、日本人くらいです。
魅力的な景色があるからなので、
あまりにも厳しくして、
ツアーの雰囲気が損なわれれば、
本末転倒で、クレームになります。
危険を回避し、安全を最優先しつつ、
楽しい雰囲気を盛り上げるために、
注意をそらすよう別な話題を振るとか、
このこと自体を笑い話にするなど、
様々な対策を考えておくこと。
クレーマー対策
オペレーション編では、
困ったちゃんの例を沢山出していますが、
お客様のほとんどは、
話せばわかる普通の方々です。
大げさに騒ぎ立てて迷惑をまき散らすのは、
ごく一部の困ったちゃん、1人か2人程度。
常に文句タラタラのクレーマーで
あることが多いので要注意です。
自分の思う通りにいかないと、
すべてガイドのせいにするタイプです。
帰国後、ガイドに意地悪されたとか、
何も説明しなかったなど、
様々な作り話をして、
現地のエージェントに報告して、
クレームにする可能性がありますので、
事前対策を講じること。
行動や言動がひどい場合は、
早めにツアー担当者にも連絡しておきます。
今は、SNSで早急にクレーム発信を
する強者もいるそうですから、要注意。
クレーマー、トラブルメーカーについては、
どのような状況で、
何についてどのような態度をとったか、
他のお客様はどうであったかなどを
メモしておき、騒ぎが続くようなら、
早めにエージェントに報告します。
あくまでも、報告です。
我儘が収まったように見えても、
油断できません。
報告書にもコメントすることをお薦めします。
トラブルメーカーは、自分勝手で我儘なので、
ツアー中に、他のお客様からも、
非難されたり、文句を言われると、
それにもキレてしまい、帰国後に、
まとめて、現地のガイドに向けて、
クレームにする人もいるようです。
問題ゲストの言い分を一方的に聞いて、
すべてを、ガイドのせいにする
エージェントもあると聞きました。
恐いですね・・・。
クレーム経験
駆け出しの頃の、筆者のクレーム経験です。
「ガイドが何も説明をせず、
バスの中でず~っと黙っていた」と、
現地エージェントから連絡があったと、
ツアー担当者が驚いて電話してきました。
もしそれが本当なら、
多くの人達から文句が出たでしょうし、
そもそも、ツアー中に、
説明してほしいと要求されるはずです。
その団体の皆様とは最後にお別れするとき、
多くのお客様達から、
たくさん知らないことを教えてもらった、
とコメントしていただいていました;
それが普通です。
私はツアー担当者に、状況を説明しました。
ツアーが終わってしまってから、
バスの中でガイドが、
何も言わずに黙っていたかどうかを
証明できる人はただ1人、ドライバー様です。
そのツアーは、最初から最後まで
同じバス・同じドライバー様でしたので、
そのドライバー様に確かめてほしいと
お願いしました。
その問題ゲスト2人組は、
空港でバスに乗りこんだとき、
「このバス、なんでこんなにひどいの!」
と何度も繰り返したのです。
高級バスではありませんでしたが、ごく普通、
お掃除も行き届いていました。
念のため、すぐに他の皆様に意見を聞いたら、
「何の問題もない、普通です」との反応でした。
他のお客様方とかけ離れた言動をする人は、
要注意人物です。
その問題ゲスト2人組は、
あらゆる場面でトラブルを起こし、
他のお客様全員も何かと迷惑を被り、
みんなから頻繁に非難されていました。
その腹いせに、クレームを出したのでは
ないか?との推測も充分に考えられます。
実際のところは、分かりません。
理不尽なことはたまに発生するようです。
理不尽なクレームを受けた時にそなえて、
反証を用意しておくことが大切です。
訪問地での降車前
訪問箇所に近づいたら、
ガイディングとは別に、
毎回、見学の予定をお伝えします。
貴重品は必ず自分の責任で管理すること。
バスに残しても、ドライバー様は
責任を負えないこと。
見学時間はどのくらいか、
どのくらい歩くか(時間と距離)、
階段・坂道があるのか、
何分後にバスに戻るか、
はぐれた場合、
何時何分にどこに集合するか、
などの情報をお伝えします。
(迷子対策は、「旅の注意事項」の回)
お手洗いタイムとタイミング
特に欧米人のゲストは大量に水を飲むので、
お手洗いがある場所では必ずご案内です。
また旅をして、お腹の調子を崩す人もいます。
ロングドライブの場合、
2時間に1回の休憩は必須なので、それが目安。
但し、そこまで待てそうにもない場合は、
かなり早めにお知らせしていただき、
ドライバー様に、最寄りのパーキングに
入っていただくようお願いします。
しかしながら、高速道路を走行中は、
「最寄り」がかなり遠い場合が多いので、
お客様には、とにかく、
早めのリクエストをお願いします。
パーキングエリアなどで一旦止まると、
20分後に発車と言えば、
良くて、25分後の発車になります。
時間ギリギリまで呑気に買物する人は、
必ずいますので、15分経過したら
様子を見て声をかけ始め、
20分後には人数確認できるようにします。
SAでの休憩時間が30分以上になると、
行程に問題が生じます。
バスを降りる前に、必ずご案内することは、
コーヒー等カップ類のバス車内への持ち込みは、
原則遠慮していただくことです。
それでも無視して、
並々とコーヒーが入ったカップを手に
戻ってくる人もいます。
車内にこぼされると困ってしまいます。
彼等は必ず「大丈夫」と言いますが、
もちろんアテになりません。
ダラシナイ人は、何をやってもダメなので、
カップになみなみと入っていたら、
せめて、1/3は外で飲んでもらいます。
原則、車内での飲物は、
蓋が閉まるペットボトルのみ。
あまり厳しくして文句が出ても困るので、
百歩譲って、カップの中味半分で譲歩。
バスの出発合図
ツアーの指揮命令者は通訳案内士です。
既にお話しましたように、通訳ガイドが、
「お願いします」と言ってはじめて、
バスは動くのです。
問題は、ガイドがお願いをしていないのに、
動き出すバスのドライバー様が、
たまにいることです。
全員着席してシートベルト着用した後なら、
仕方ないとしても(それでも基本はダメ)、
上の棚に荷物を載せている人がいたり、
まだ着席していない人がいるのに
動かれると困ります、危険ですから。
その場合は、危ないので、
「まだ着席していないお客様がいます」とか、
「まだシートベルト着用してない方が
いるので待ってください」などと言い、
確認ができてから、
出発の合図を出すように持って行きます。
ベテランのドライバー様は、
ガイドの指示無しには、出発なさいません。
駐停車:微妙な場合
時には、路駐禁止を知りつつ、
乗降をお願いしてしまう場合があるのです。。。
ダメなことは百も承知ですが。
それは、どのような場合かと言うと、
観光箇所の最寄り駐車場が、
徒歩15分~20分とあまりにも遠く、
その通りに動いていたら、
行程をこなしきれない時などです。
そのようなことをする場合は、
お客様に、事情を説明します。
降車は、全員が降りないと、
バスは動けませんから、問題ありません。
問題は、そういう場所から乗車するときです。
そもそも止まっていられないので、
お客様に注意喚起しつつ、
ドライバー様も、
全員の着席とシートベルトを確認してから
動きたいのはヤマヤマながら、
それができない状態で、
動かざるを得ないこともありますので、
このあたりに関しては、
まぁ微妙というほかありません。
ホントは、イケナイことなですが、
どうしようもないこともある場合、
やらざるを得ないこともあるのが現実。
もっと言うと、実は、それが、
デフォルトになっている場所があります。
複雑で微妙としか言いようがありません。
その他
最近では滅多にありませんが、万が一、
ドライバー様が怖くて、困るような場合、
(所謂、その筋系と思われる方)
ツアー催行に支障が出そうな場合は、
ドライバー様から聞こえない場所から
ツアー担当者に連絡します。
また、筆者が経験したことでは、
都内の道をよく知らないドライバー様に
当たったことがありました。
浅草から都心に戻る時、お客様から、
もう一度スカイツリーが見たいと言われ、
「もう一度、スカイツリーが見える
道を通ってください」とお願いしたら、
なんと!、道順が分からないから、
教えて欲しいと言われ、驚きました。
そのすぐ後に、バスを降りてから、
ツアー担当者に連絡を入れました。
そのドライバー様は、その日の夕方にも、
あり得ない道を走り、呆れてしまいました。
その翌日からは、ドライバー様交代。
ツアーに支障が出ますからねぇ、
道順が分からないようでは。
次回は、食事制限についてです。
25. 【新人】通訳ガイド:食事制限・好き嫌い問題【切実
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