ブログの活用法を記事にしました。

14. 【新人】通訳ガイド:道徳観念の違い

オペレーション

道徳観念の違い

信号無視

多くの訪日ゲストは、規則を守ろうとする意識がほとんどなく、
信号無視も悪いことだと思っていません。
車が来ないのだから渡ってもいい、という考え方です。
まぁ、見通しのきく道路で、本当に車が来ないなら、いいですよ。

車がいないのに、信号が赤だからといって律儀に青信号を待つ日本人を、
「アホ」「無能」と思う人は、たくさんいます。

問題は、車がいるのに信号無視をして、スレスレなんとか渡りきって、
「ほらね、上手にできたでしょ!」と謎の自慢をする人がいることです。
時には、本当に危なくて派手にクラクションを鳴らされることもあり、
まさに、心臓がすり減る瞬間のひとつです。

日本では「信号を守る」ことが大事であると、
ハッキリとお伝えする
ことが肝心です。
日本では、交通法規に従うことは当たり前のことですし、
万一、事故になってしまったら、ガイドの責任問題になるだけでなく、
ツアーが止まって、他のお客様に多大な迷惑がかかり、
損害問題にも巻き込まれることになるでしょう。
そういうアホに限って「ガイドが教えてくれなかった」などと言うであろうことは、
容易に想像がつきます。
平気で嘘をつく人は、いっぱいいますからね。
皆が、どれほど不愉快な思いをし、困ることになるか、
「人に迷惑をかけてはいけない」ということを知らしめるべきです。

そういうことをお話すると、厳しいこと言うという人もいますが、
いえいえ、当たり前のことですから。
そもそも、そのようなアホなことをする人がいなければ、
楽しい旅行中に説教めいなことを話す必要もないのあです。
なにしろ、人の頭数が多ければ多いほど、
困ったちゃんの数も増えるものだと覚悟して、
初仕事を受ける前から、対策を講じておくことをお勧めします。
その対策が使われなければ、それに越したことはありません。
くどいようですが、常に、事前に情報をお伝えしておくことが、
ガイドの保身につながります。
「教えてもらっていなかったから、知らなかった」と言われたら、
ガイドの立場はかなり悪くなってしまいますから。

当然、ガイドの責任も追及されますので、
安全な道路の渡り方を事前にご案内しておくことはとても大事です。
ツアーのはじめに、「安全な道路の渡り方」を教えるのです。

日本の道路では、車が左側通行ですから、
右をみて、左を見て、もういちど右をみて安全を確認して渡るのです。
青信号でも点滅したら渡らないことや、逓減点滅のご案内も忘れずに
信号無視に限らず、いかなる局面においても、
「ガイドが言わなかった」と非難されないよう、可能な限り事前対策を講じます。
何か問題が起こったときに、
【だから、言いましたよね!】と注意喚起済みであることを証明できることが肝心です。
大事なことは最低でも2回、時には3回でも繰り返しておけば、
「2回繰り返しましたよね」「3度言いましたよね」などと言うことができます。

【だから、言いましたよね!】というセリフは、ゲストは聞きたくないでしょうが、
こちらも、できれば言いたくありません。
ただ、安全にかかわる問題は、断固とした態度を取らないと、ナメられます。
特に、「どうやらこのガイドは新人かもしれない」と思われるとナメられます。

通訳ガイドは、ほとんどの場合、フリーランスという不安定な立場です。
何か不都合なことが起これば、すぐに外されるリスクがあるのですから、
あらゆる保身対策を講じることを、強くお薦めいたします。

ちょっとしたことでも、「ガイドが言わなかった」と、
ケチを付けるタイミングを狙っている人もいますから、気を付けましょう。

日本人は、何事にもカドをたてないよう、つい「ごめんなさいね」と言い合いますが、
外国人に対しては、よほど注意して言わないといけません。
各言語によってニュアンスは違うでしょうが、
謝罪をしたと受け止められると、ガイドがミスをしたと誤解されます

日本人と各国民性の習慣の違いを、担当言語ごとに今一度確認をし、
「ごめんなさいね」を言う場合でも、軽く使える表現と、
謝罪と受け取られる危険性がある表現とを確認して、使い分けましょう。

信号を守る・守らないをはじめ、「日本人は規律正しい」と彼等が言うとき、
それは、必ずしも褒めているのではなく、
何も考えずに集団で一斉に行動する無能者という意味合いが含まれていることも多いので、
ぬか喜びはしないことです。
もっとも、表面的にはニコニコして、上手に演技することですね。

日本では、「規律正しい」のが当たり前であって、
その規範から外れることは「恥かしい」ことなのだと説明しましょう。

信号がない道路を横断するときは、ガイドが先導しますが、
一人一人も充分に注意するよう、最も安全な行動をとるよう協力をお願いします。
みんなで規律を守ることが苦手な国民性の場合は、
安全は最優先事項であることを繰り返しお伝えするほかありません。
「安全第一」「健康第一」には、誰も逆らえません;最強ワードです!

屁理屈の例

信号を守るようにお伝えすると、
「自分の国では歩行者優先である。日本では、そうじゃないのか?」と言い出し、
歩行者が優先されない日本は、遅れてる国だと言わんばかりの雰囲気を
展開する人達が、少なからずいます。
つまり、歩行者優先だから何かあっても保険でカバーされるから、
勝手に好き放題やっても大丈夫と言い張る人達もいます。

日本では、そもそも、危険な目に遭うこと自体が不愉快であり、
他人に不愉快な思いをさせることは、徳の欠如(=悪徳)であり、
社会規則を守らないことを恥かしいと思う社会なのだと、説明しています。

道路の横断は、信号を守って注意深く渡ることが、
結果的には最も効率よく安全なのだと言えば、普通は納得してくれます。

道路では、日本でも、もちろん「歩行者優先」です。
ドライバーも氣を付けて運転はしますが、「安全に絶対」はありません。
また、信号は法律と見做されます。
法律で「渡ってはいけない」と指示されているにもかかわらず、
無理に突破して事故になれば、歩行者も当然問題に問われます。

歩行者優先であることと、信号無視をしてもいいことは、別く別件です。
信号無視は法律違反ですから、やってはいけません。

当たり前のことですが、保険は現地法が適用されますから、
日本では日本の法律が適用され、保険もそれに準じて適用されるはずです。
このことを納得しないゲストも、中にはいます、たいへんですよ。

究極の安全優先の説得

危ないことはやらない、という意識ではなく、
保険が効かないなら損するという意識が先行する残念な人もいるのです。
礼儀正しいゲストも沢山いるのですけどね。
謎の信念を展開するゲストを、上手に説得するために、
語学力のほか、目力やドスをきかせる演技力も必要です。

それでもガイドの目を盗んで、あるいは、
注目されたくて、敢えて信号無視をする人がいます。

ガイドは、ゲストに喜んでいただけるよう、注意事項も柔らかく遠回しに言い、
楽しい気分を下げないようにするものですが、
あまり無謀なことをする人に対しては、私は断固とした対応をします。
それが、イイのか悪いのかは、分かりませんが、
わたしは、必要ならば、「ネジを巻く」ことも必要だと思います。
団体旅行ですから、そのような残念な人のために無駄な時間を
費やすわけにはいかないからです。

断固として、この説明に納得しないゲストへの説明:次の通り。
信号無視が危険な行為であり、法律違反であることは説明しました。
それでも、日本の法律に従えないならば、何があってもすべてアナタの責任です。
繰り返しますが、あなたの旅行保険は日本の法律に基づいて判断されます。
これは団体旅行ですから、誰かが事故にあったりすると、
他の皆様に多大な迷惑がかかります。
ガイドは、本隊を動かすのが基本業務です
ガイドが注意をしたにもかかわらず、それを無視して事故が起これば、
あなたの費用で通訳を雇うなどして対応してもらうことになります。
このような場合は、静かな声で、淡々と事実だけをお話します。

ここまで言わなければならないことは、ふつう、ありません。
また、ここまで言ってしまうと、かなり雰囲気が悪くなりますので、
できるだけ、そんなことはしたくないのですが、場合によっては、仕方ありません。
何かあって「ガイドが注意しなかったのか?」と言われたらアウトですから。

ここまでの事態になると、ガイドがイジワルだとクレームにする可能性もあるので、
気まずい事態が発生したら、とことん気まずい雰囲気になる前に、
いちどツアー担当者に連絡を入れておくことです。

黄色い部分の説明をしたゲストは、手のひらを返したように態度が変わりました。
ガイドが、そのようなことを言っただけではなく、
団体の他の皆様から一斉に攻撃をされたからです。
たいていは、大多数を占めるお客様達が援護射撃をしてくれるものです。

お客様に厳しい内容を話さなければならない場合は、恥をかかせないよう、
他の人達の前では言わないようにするべきですが、
信号無視などの場合は、即刻、事故に繋がりかねないので、待っていられません
全員の前で叱られるような雰囲気になってしまいますが、
「安全のため」と全員の前で言うほかありません。

安全問題は、ほんとうに大事ですが、
旅行に来ているお客様は、浮足立っていますから、周りが見えません。
高揚感を維持させつつも、安全な行動を毎度説明・実行することが肝要です。
道路を渡るときは、信号を守り、青になって安全を確かめたら渡る、
ということまで日本経験として、エンタテイメントにでもする気持ちで誘導します。
アホちゃいまんの、と、自分でもツッコミ入れたくなります。

そのうち、
「ねえねえ、赤信号の間は待って、青信号になってから道を渡りましたよ。」
などと、報告をしに来る人が増えます。
優しいガイドなら、ヨイショするのだと思うし、それが普通でしょうが、
私は、「あたりまえですわ」としか言いません。
まぁ、あんまりイイ感じではないのでしょうが、印象を強めるためです。

手洗い

ほとんどのゲストは、食事前など普通に手洗いをしますが、
食事前でさえ、手を洗ったらよいかどうか悩む人達がいます。
私がみつければ、即刻、
「悩む問題ではないので、洗ってきてください、汚いから」と言うのみです。
そのうち、ミキコが見ているから洗ってきたほうがよさそうだ、とか、
手を洗っていないことがバレると、また「汚い」と言われるな、とか、
言っているのが聞こえてくるようになります。

これもそのうち、
「ねえねえ、ちゃんと、手を洗ってきたよ!」と報告に来るようになります。
これにも、「あたりまえです」と言うだけです。
あるとき、そっけない返事が冷たいと言ったゲストがいました。
私はその方に言いました:
幼稚園児でもあるまいし、「手を洗ったよ」、と言われて、
「すごいわね~」と言ったら、それこそバカにしてると思いませんか? と問うと、
確かにそうだと納得してくれ、それを他のゲストにまで伝えに行きました。

外でイロイロなことをした手を洗いもせず、その手でパンを掴んで食べるのに、
手を洗わないとがんばる方には、
「あなたは、ごみ、黴菌、ウイルス、全部一緒に食べるのですか?」
と聞いたことがありました。すると、
「自分は免疫が強いから、そんなの平気」
「このくらいでは、死なないし、ビョウキにもならない」と謎の自慢をされました。
まぁ、それをヨシとするのなら、仕方ないことです。
注意はしました、でも、どうしても手を洗いたくないのなら、それは自由です。
私は、携帯用の紙石鹸と、ペーパータオルを何枚か持ち歩いています。

ごみ

空港からバスで出発する時にご案内する「旅の注意事項」のところでお話しますが、
ごみは、持ち帰りが基本です。

ごみを捨てられる場所、分別について、必ずご案内します。
分別は、ピクトグラムが付いているので、一目瞭然です。

注意事項としては、ペットボトルなら、中味を洗面所などで捨ててから、空瓶を捨てる。
(信じられませんが、水が入ったまま捨てる人がいるのです)
紙コップも、中にコーヒーなどが入ったまま捨てる人がいます。
とにかく、水分はすべて洗面所などに流して捨て、
その「カラ」だけを捨てるよう、ご案内します。(疲れます)

いままでに、たった1人ですが、私にゴミを持って来て捨ててくれと言い放った人がいました。
もちろん、即刻、却下です。
その方は、「自分でゴミを持っているのが嫌だ」と言いました。
私は、「ゴミ捨ては、ガイドの仕事ではありません。」と答えました。
ちなみに、バスのドライバー様の仕事でもありません。

そのゴミとは、ジュースの空缶1個でした。
その方は、それでも続けて「缶たったの1個ですよ」と言うので、
「たった1個の缶を持つのも嫌なのですか?誰が飲んだカラなの?」と聞くと黙りましたが、
懲りずに「植木の端に置くのはどうかな?」と言い、
私は、もちろん「ダメ」お答えしました。

問題は、このようなことを、「やりすぎだ」と言う仲間もいることです。
そのくらい代わりに捨ててあげてもいいではないか、と。
ガイドは、全員に平等でなければなりません。
その後、全員のゴミを引き受けることなど、できるハズがありません。
そもそも、ゴミ捨ては個人の責任で行うのは当たり前だと思います。

日本では、ゴミ箱がなければ、持ち帰りが基本です。

そのような無理難題を言い張る方からは、黄色人種に対する人種差別が感じられます。

バスを降りる時にも、ゴミを残してはいけません。
パーキングエリア、駐車場などのゴミ箱は、指示通りに分別し、
そのあとバスの中ででたゴミはすべて持って降りて、
ホテルの部屋の屑籠に捨てるようよう、ご案内します。

列車で移動する場合は、デッキのゴミ箱はすぐ満杯になるので、
ホームに降りてから、大きなゴミ箱を利用するようご案内します。

次回は、ガイドの語学力と、人気の話題について、です。
15. 【新人】通訳ガイド:通訳ガイドの語学力【不測の事態と通訳】

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