空港
団体をお迎えする当日朝
バスは空港近くの待機場所に到着します。
フライト到着時刻前に、
ドライバー様に電話して、
以下の内容をお伝えし、確認します:
- ご挨拶
- 行程確認
- 団体バスの乗降場所の確認
- お客様が揃い、
バスへ移動する時に、また連絡する旨。
ウエルカムボードを持って、お客様を待つ
通訳ガイドのほか、添乗員さん、
バスやハイヤーのドライバー様も、
ウエルカムボードをもって、
ゲストを迎えにきます。
同じフライトから、
複数の団体ツアー客が出てきます。
似たようなツアーがいくつもあるため、
違う人が紛れてしまうこともあります;
人数の確認だけでなく、
お客様の氏名を確認すること。
同じフライトから降りて来るのは、
同じ国籍の人達が多いので、
お名前が似ている人、
名字や名前が同じ人がいたりします。
参加するツアー名も、
似通っていますので、
怪しい場合は、ツアー名、
主催する旅行社の名も確認します。
ガイドは、ツアー名が記載された
ウエルカムボードを持って、
お客様を待ちますが、
なんと、自分が参加するツアー名を
知らない人もいます!
ツアー名は全く分からず、
そのツアーを企画した旅行会社名を
言ってくる人もいますので、
旅行会社との事前打合せの際、
必ず、どの国の何という旅行会社が
企画・販売したツアーか、確認します。
フランス人団体の旅行でも、
企画・運営する旅行会社はドイツ
という場合もあるからです。
さらに、自分がツアーを購入した地元の
旅行代理店の名前を言う人もいて、
さすがにそこまでは対応できませんが
名簿と名前を照らし合わせれば分かります。
両替・小銭用意・ミネラルウオーター・お手洗い
到着るお客様が増えてきたら、
他の人達の邪魔にならない場所に移動し、
両替とお手洗いをご案内します。
ツアー開始後、頻繁に両替所に
立ち寄る時間はありません。
両替レートにこだわるなら、
空港で多めの両替をお薦めする。
ホテルで両替できる場合も、
ホテルや商業施設の自動両替機も、
レートは空港より悪くなるとはいえ、
それほど変わりません。
ですが、僅かな違いに文句を
言う人もいるので、対策として、
両替レートは空港がベストとご案内します。
現金の用意
訪日観光客は、
日本の電子マネーは持っていません。
クレジットカードは、
ほとんどの店舗で使えますが、
少額商品は現金払いになりますし、
地方では、今でも現金しか
受付けないお店もありますので、
ある程度の現金は必要です。
コンビニもない地方へ移動する前には、
手持ちの現金を確認し、
足りない人がいたら、
移動前に現金を用意していただきます。
日本では日本円しか通用しない
こともお伝えします。
米ドルなら大丈夫と信じている人、
ユーロが使えないことに驚く人もいます。
根拠が全く理解できませんが、
そう信じてる人が時々います。
まるで、ドルやユーロが使えないので、
途上国であるかのように言う人がいますが、
まったくのお門違い。
日本は、通貨発行権を持つ主権国家ですから、
日本円しか通用しなくて当然です。
実際に、どのくらいの現金を
両替したらいいかと聞かれますので、
高額ツアーか安いツアーか、
フリー食がどのくらいあるか、
お買物やフリータイム、
など必要な状況を考えて、
お知らせする金額を予め予測しておきます。
細かいお金を用意
クレジットカードを使う目安は、
概ね2000円以上とご案内しています。
実際は、1000円程度でも利用可能ですが、
お店にご迷惑です。
なかなか理解してもらえません。
自分さえよければいい、
という感覚の持ち主が多いので、
クレジットカード利用は、
2000円以上が目安と言っています。
手持ちの現金の種類が1万円札だけでは
何かと不便ですから、
ミネラルウオーターを買うなどして、
細かいお金を用意してもらうと便利です。
多くのツアーでは、お水は付きませんので、
お水を買って細かいお金を用意するよう、
お勧めしています。
インセンティブツアーなどでない限り、
ツアーに食事が付いていても、
飲物は各自払いがほとんどですから、
飲物代支払い用などに、
細かい現金があったほうが便利です。
飲物のお支払いに、
みんなが1万円札ばかり出したら、
大変なことになってしまいますから。
小額紙幣と小銭を多めに用意します。
1000円札を500円と100円5枚などに
両替できるようにしておくと便利です。
でも、どうしても困った時にだけ、
両替に応じるようにします。
お手洗いをご案内する際には、
バスにトイレは付いていないことと、
空港から次のお手洗いまでの時間を
お伝えします。
1つめの訪問地へ到着してすぐの場所に、
お手洗いがあるとは限らないからです。
全員集合
だいたい1時間前後で、
全員がゲートから出てきます。
エコノミークラス利用が多いので、
1人目が出てくる迄に40分程かかりますが、
ビジネスやファースト利用の人が
いるかもしれないので、
到着時間にはスタンバイします。
マイルを使うなどして
ビジネスクラスを利用する方は、
かなり早めに出てきます。
ファーストクラス利用者は、
空港スタッフさんに伴われて、
信じられないほど早く出てきます。
ロスバゲ(=ロスト・バゲージ)・バゲージ破損の確認
名簿で確実にゲスト全員を確認したら、
バスへ移動する前に、
ラゲージの破損や
ロストバゲージがないかを確認。
ロスバゲは、すぐ分かりますから、
普通は、ゲストが手続きをしてから
出てくることがほとんどですが、
もし、ロスバゲがあり、
手続きしていなかったら対応します。
スーツケースが破損しているのに、
どうすればいいのか分からないまま、
ゲートから出てきてしまう人もいます。
その場合は、即座に対応が必要です。
このように、キャスターが破損していると、
不便極まりありません!
航空会社にクレーム申請できなくなります!
ロスバゲも、スーツケース破損も、
空港にいるうちに、
当該航空会社へ連絡します:
よく分からなければ、
空港のインフォメーションで、
連絡先を教えてもらえます。
ロスバゲやバゲージ破損の確認をし、
必要な手続きをしておかないと、
ガイドの業務怠慢として、
クレームになります!
No Showの可能性がある場合
No show:来るはずの人が現れないこと。
No showの疑いがある場合は、
まずツアー担当者に連絡。
その人が予定のフライトに乗ったかどうか、
分かることもあります。
その情報もない場合は、
空港のインフォメーションで、
no showの疑いがある旨を説明すると、
当該フライトの乗客が通過する入管区域に、
まだ人がいるかどうかを、
問い合わせてくれます。
そこにはもう誰もいないと言われたら、
再びツアー担当者に連絡し、
指示に従います。
この場合も、ガイドが勝手に
判断して動いてはいけません。
1人のためにいつまでも待って、
行程に支障をきたす事態は、
避けなければなりませんが、
必ず、ツアー担当者から、
「もう、待たずに出発するように」
との指示を受けてから出発します。
このような事態が発生したら、
バスのドライバー様にも即、連絡します。
別なフライトで到着している可能性、
1日遅れで到着する可能性もありますから、
慌てて、ホテルの部屋を
キャンセルすべきではありません!
ツアー担当者と相談・確認のうえ、
指示に従います。
そもそも、ホテルのキャンセル等は、
旅行社側が行うことで、ガイドが
勝手にすることではありません。
減員分となるその日のお食事については、
早めに食事場所に連絡をします。
直前キャンセルで請求金額は同じでも、
食材を無駄にすべきではありません。
あまりにも直前で、
キャンセル連絡が間に合わないとか、
既にお食事が用意されている場合は、
食欲旺盛な方々に食べていただきます。
空港ターミナルから出発
出発前の注意
出発前に、貴重品やカメラ、
薬等が手元にあるか、注意喚起。
最初の訪問地でバス駐車場があれば、
荷物室にあるスーツケースを出して、
必要な物を取り出せますが、
バスが駐車場に停められるとは限りません。
道路で一時停止しての乗降になる場合、
バスの荷物室を開けてスーツケースを探し、
外に出して必要な物を取り出すことは、
ほぼ無理です。
そういう時に限って、
問題のスーツケースはずっと奥にあり、
手前の荷物をすべて降ろさないと
取れないことが多いものです。
それでも、ゲストは、
カメラを諦められませんから、
ただでさえタイトな行程に遅れが生じ、
さらに全体に迷惑をかけることになります。
そのようなことが起こらないよう、
事前に注意喚起が必要です。
そのような不注意な人は、
毎度問題を起こす傾向がありますよ。
団体バス乗り場へ出発
全員揃い、上記事項がすべてOKなら、
「これから、バス駐車場へ向かいます」と、
ドライバー様に電話して、
団体バス乗降場所へ向かいます。
自分達のバスの色や模様が分かると、
遠目からでも目安が付いて便利です。
スムーズな移動
空港からバス駐車場までの導線、
誘導の仕方などから、
ゲストはガイドを観察しており、
慣れている人か、新人か、
頼りになる人かどうかを
見極めようとしています。
実際に、
「この人の経験はどれくらいだろう?」と
話しているのが聞こえます。
事前に空港を下見し、トイレ、両替所、
コンビニの場所等を把握しておき、
知り尽くしているように振る舞います。
効率的な導線でスムーズに誘導します。
空港ターミナルからバスまでの誘導が、
ゲストにとっては「最初の移動」で、
信頼感を与える第1歩になります。
これが、第1関門です。
空港ターミナルから団体専用バス駐車場まで
空港ターミナルから
団体専用バス駐車場までの動線は、
必ず事前に確認しておくこと。
成田空港
お客様が全員揃い、
トイレや両替が終わりそうな頃、
ドライバー様に連絡をして、
移動開始をお願いします。
バス待機場所から団体バス駐車場まで
10~15分ほどかかりますので、
成田空港では、少し早めに電話します。
全員で団体バス駐車場へ移動し、
係員にバス会社名を告げ、
指示された場所でバスを待ちます。
成田空港のP1団体バス駐車場は、
5分を過ぎると料金が発生します💦
5分以内で出発できる団体なんて、
限られてると思いますがね。
2020年の春から、コロナ禍により、
団体バス駐車場の運用が、
変更になっているようですので、
業務開始前に、確認してください。
羽田空港
羽田空港では、
フライト到着時刻を少し過ぎた頃に、
バスは駐車場に到着し待機しています。
ドライバー様に、
「これからバスに向かいます」と
電話すれば、団体が到着する頃には、
荷物室をあけてご用意くださいます。
国際線ターミナルは、成田に比べると、
とてもコンパクトなので助かります。
関西空港
関西空港では、
団体バスの駐車時間は30分迄。
バスは少し離れた場所に
待機していることが多いので、
ターミナルから出発する直前、
出発の目途が付いたところで電話して、
団体バス駐車場への移動をお願いします。
フライトによって、北か南かは、
朝の打合せ時に確認しておきます。
バス乗車
ドライバー様は、スーツケースを
トランクに積み込んでくださいますが、
「これはガイドのです」と言えば、
いちばん最後に積んでくれます。
⇒ホテル到着時に、ガイドの荷物を、
一番先に降ろすことができます。
2日目以降は、バス配車時間少し前に
配車予定場所でドライバー様とご挨拶し、
その日の打合せをします。
【参考】
12. 行程の確認【2】
13. バス乗降~訪問場所~アクセス
21. 貸切バス
予期せぬ行程順番変更
フライト到着が遅れたり、
渋滞がひどいと分かった場合、
急遽、行程の順番を変更する
必要が出ることもあります。
ツアー担当者にすぐ連絡が付けば
よいのですが、連絡が付かない場合は、
事情の分かる方に事態を説明し、
臨機応変に対応します。
万一事故になった場合、
行程の順番変更を原因にされると
大問題になりますので、
工程変更は必ずツアー担当者に連絡し、
了解が必要ですが、
連絡が付かないからといって、
ずっと待っているわけにはいきません。
その場合は、ドライバー様と相談のうえ、
最良の決断してツアーを進めますが、
できるだけ早めにツアー担当者に連絡し、
その後の行程の確認もします。
やっと、バスに乗りました。
次回は、空港の駐車場から出発します。
23. 【新人】通訳ガイド:空港から出発【専用バス】
コメント
wifiをレンタルしたい、またはSIMを買いたいというお客様はどのように対応されますか?
タイトな時間の中できることが限られていますので、ご回答いただければと思います。
こんにちは。
来日後にSIMを買いたいと言われたことは、ありません(今のところ)。
wifiをレンタルしたい方は、お客様ご自身で出発前に手配済で空港で受取るか、ホテルに送ってもらっています。
各ツアーに、必ず1~3名、ポケットwifiを手配済の方がいます。
その方々については、帰りには返却のお手伝いもします。
主な施設にはフリーwifiがありますし、バスもwifi搭載が殆んどです。
地方でwifi無しのバスになる場合は、「残念、wifiがある施設まで我慢してね」とお伝えしています。
YouTubeやNetflixを見ていないと氣が済まない人達からは、
「今日のバスにはWifiが無いからガイドの話を聞いた」と言われたこともありました。
因みに、私自身は、VPNは設定しても、Free Wifiは使いません。
ツアーの長さや性質に応じて、ギガ放題にするか、ポケットWifiを持参します(必ず国産!の端末)。
お客様が来日してからSIMを買いたいと言われても、ツアーの行程上、そのような時間的余裕はありません。
よほど、近くで時間がかからずにSIMを買える環境にない限り、団体なら諦めてもらうほかないと思います。
対策としては、あらかじめ、旅行社にwifi搭載バスの手配をお願いしておくことです。
日中の多くを過ごすバスにwifiがあればOK!と、お客様は納得されています。
ホテルには必ずあるわけですし、レストランでもwifiが使える所がかなり増えましたので、
バスにwifiがあれば、問題ないと思います。
新幹線や特急の中は諦めてもらいます。そもそも、トンネル内や山がちな地形の所は、
圏外になってしまうので、どうにもなりません。
ネットが繋がらない所では、景色を楽しんでくださいと言えば、「そうですよね~」と言われますし、
バスならガイドの話を聞いてもらえばいいと思います。
このことは、後ほど、記事に追加しておきますね。
ご指摘ありがとうございます。