東大寺と春日大社:別々か続けるか問題
朝、バスのドライバー様と打合せする時に、
行程を確認するのは当たり前のことですが、
奈良観光ではまた別な事情の確認事項があります。
・東大寺を参拝したら、いちどバスに戻り、バスで春日大社へ向かう。
・東大寺を参拝したら、そのまま徒歩で春日大社へ向かい、
春日大社参拝後にバスに戻る。
もちろん、ツアー前打合せで、ツアー担当者と詳細を確認します;
行程が【東大寺から春日大社まで徒歩移動】になっている場合、
選択の余地がありません、春日大社でピックアップ確定。
その詳細が規定されていない場合は、ガイドの裁量に任せられます。
大仏殿から春日大社まで必ず歩くと豪語するガイドや、
自分の好みだから歩きたいと主張するTLもいますが、
本来は、その日のお天気やゲストの体力などを
総合的に見て最終判断すべきと思いますが、
基本路線は決めておく必要があります。
東大寺だけ参拝してバスを利用する場合、
バスに何時にどこに来てほしいか、
春日大社まで歩くなら、予定時間はどうなるか、
情報を明確にドライバー様にお伝えする必要があります。
ここまで書いて次のように続けるのは、
誠に申し訳ないことなのですが、
この原則は、南大門横の駐車場を使っていた頃のお話で、
南大門横の駐車場が原則使えなくなってしまったいま、
次のようなオペレーションが現実的かと思います。
東大寺南大門横駐車場は、
ゲストに1名でも後期高齢者がいて、
旅行社がこの駐車場の予約を取っていれば、
今も利用できます。
東大寺参拝後にバスで春日大社へ移動
ゲストの中に後期高齢者か身体障碍者がいて、
南大門横の駐車場を利用できる場合に限定されます。
かつて、繁忙期は、東大寺から春日大社までの道が、
観光バスの行列になり、全く進まないほどの
渋滞が発生していましたが、
今は、奈良公園バスターミナル利用が原則です。
南大門横の駐車場を利用できると、
大変助かりますが、身障者か高齢者、
つまり体力的弱者がいるわけですから、
全体的な状況次第で判断すればよいと考えます。
東大寺から徒歩で春日大社へ移動
奈良公園バスターミナルを利用する場合でも、
南大門まで片道15分かかりますので、
東大寺参拝後は、そのまま春日大社へ歩いて
移動するほうが時間の節約になります。
全く進むことが出来なくても、
道路でバスから降りることはできません。
歩いて移動すればよかった、という事態は、
以前から頻繁に起こっていたのです。
若干の渋滞があっても、ゲストの体力に合わせ、
近くてもバス移動したことも多々ありました。
南大門横の駐車場を使っていた時代の話です。
奈良公園バスターミナル降車~東大寺大仏殿へ
ここでは、奈良公園バスターミナルで降車、
東大寺を参拝し、そのまま徒歩で
春日大社へ向かうことにします。
多くの一般的な団体ツアーの行程は、
東大寺大仏殿参拝に1時間、
春日大社参拝に45分~1時間です。
それに移動時間を加え、約2時間後に
春日大社でバスに戻る計算になります。
もっとも、実際はもう少しかかります。
・これから、東大寺を参拝する。
・バスターミナルから片道15分程度かかる。
・東大寺参拝後はここには戻らない。
・引続き春日大社へ歩いて向かう。
・約2時間後、春日大社参拝後にバスに戻る。
・その間に必要な物は持参すること。
・奈良公園の範囲と面積
・鹿についてのガイディング
・2020年時点で、鹿は約1300頭、
うちオスが約2割。
・鹿がたくさんいるので、匂う。
・下を見て注意しながら、
落とし物を踏まないように歩く。
・襲う鹿もいるので注意する。
・むやみに鹿に触らない。
・動物特有の菌があるので注意。
・食べものを見せない。
・食べ物は、あげないなら見せない。
・与えても良のは販売されている鹿せんべいのみ。
・食物をあげるなら、さっさとあげないと怒る。
・紙を食べられてしまうので、要注意。
・もし、鹿に触ったら、
必ず石鹸で手をよく洗うこと。
・お手洗い利用時は、鹿が入らないよう、
必ず建物入口の扉を閉める。
・東大寺は混雑しているのではぐれないように。
・いつもガイド印が見える場所にいること。
以上を、バス到着する前にお知らせしておくこと。
GoogleMapで確認
京都から日帰りで奈良観光に出掛け、
最初に東大寺大仏殿参拝という行程が多い;
京都から向かう場合、
バスターミナル到着直前に大仏殿の屋根が見えます。
ここまで大きくは見えません。
見えた瞬間にご案内必須ですから、上記の注意事項は、
その前迄にお伝えしていないと間に合いません。
下見に行っても、団体バスで京都から奈良まで、
どの道路を通り、どこから何が見えるか等の
景色までは下見ができませんので、
ドライバー様にご協力をお願いしましょう。
だいたいの目安として、
東之坂近辺から大仏殿の屋根が見え始めます。
見え隠れしながら、大きく見えるようになり、
輝く鴟尾が見えると、バスターミナル到着直前です。
とはいえ、バスターミナルに入るに一回りしますので、
降車・持物・迷子防止などのご案内については、
今一度、注意喚起してください。
東大寺【ユネスコ世界遺産】
東大寺
多くの団体ツアーでは、
東大寺といっても大仏殿しか行きません。
さて、バスターミナルで全員降車したら、
念のためお手洗いタイムを設けます。
全員揃ったら、出発。
ここよりは、GoogleMapが分かりやすいと思います。
アクセス
バスターミナルから、登大路町の交差点を
東大寺方面へ渡り、直進。
120~130メートルほど進み、
突き当ったら左折(=道なりです)。
1つめ、Noelというお店の角を右折して直進。
250メートルほど直進すると、東大寺境内です。
本来は、南大門から東大寺境内に入るものですが、
このルートでアクセスすると、
境内に入った時点で南大門は後方に見えると言う、
実にマヌケな事態となります。
かといって、南大門から入ろうとすると、
さらに膨大な時間がかかるので仕方ありません。
東大寺境内案内
ガイドは、ゲストの様子に合わせつつ速度を早め、
突き当りの中門まで来たら左折。
迷子が出ていないか確認しながら全員を誘導。
直進し、右手にある入口から入ります。
チケットを購入。
東大寺大仏殿と大仏様に関しては
バスの中で説明を済ませておきますが、
大仏殿と大仏様の大きさに関するデータは、
入場券に記載されていますよ~、
とお伝えすればゲストも安心できます。
頑張ってメモしたい人達がけっこういるからです。
大仏殿
ガイドが入場券を購入し、全員に渡しますが、
ここでは、全員が写真撮影に夢中になります。
ゲストには、この場所にはもう戻らないと
お伝えします。
写真撮影が済んだら、
全員まとまり1列になって改札を通過します。
団体の統制がとれていないと注意されます。
入場券を見せて改札を通ると、中門内側。
ここで、大仏殿を正面から撮影するのに
また時間をとられます。
観相窓の説明をお忘れなく。
ここから大仏殿までの間は撮影続き。
八角灯籠をご案内し、大仏殿内に入ります。
大仏殿内は時計回りに一方通行であることも、
事前にご案内しておきましょう。
堂内は、全員一緒に行動することは、
まぁできませんが、
できるだけ多くのメンバーに、
同じ説明をするよう頑張ります。
入るとすぐに大仏様。
大仏様にご挨拶を済ませたら速やかに左側へ移動。
適当なスペースを見つけ、
ゲストを集めてピンポイントの説明。
ここでは、ガイディングの内容には触れません。
時計まわりに進むと、
建物奥に1/50の大仏殿の模型があります。
かつて、東と西にそびえていた七重塔の高さは100m。
その右横に、鎌倉期に再建された大仏殿の模型と、
江戸に再建された大仏殿の模型がありますので、
比較説明すると興味を示します。
大仏様の後を進むと、大仏様の鼻孔と同じ大きさの空洞がある柱があり、
そこを通り抜けようといつも行列ができていたものですが、
最近は、取りやめになっているもようです。
その先、左手には売店。
時には御朱印を希望する方もいます。
御朱印を知らなくても、
偶然発見して希望する方もいますので、
適宜、通訳をするなどサポート。
売店あたりでは、バラけていますので、
大仏殿参拝後の再集合地点は、
大仏殿出口外が分かりやすいです。
びんずる様の説明。
全員揃ったら帰路方面、
中門まで直進したら左方向へ。
ここから出口までずっと売店が続きますので、
「5分後に奥の出口に集合!」
と言えば10分後に集まる感じです。
その時も、全員が必ずそこに来るのではなく、
外に出ていたり、とんでもない場所に
遠征している人もいますので、
メンバーの動向を気にしつつ全員を集合させます。
東大寺の解説本が数カ国語版で販売されています。
出口から外に出るとすぐに、七重塔の相隣があります。
これは、大仏殿を出たあたりからも見えるので、
「あれは何か?」と聞かれます。
1970年の大阪万博で古川パビリオンで東大寺七重塔が再現され、
その時の相輪だけがこちらに保存されているもの。
南大門へ
中門まで戻ったら南大門へ向かいましょう。
南大門の説明をしてから、春日大社へ向かいます。
手向山八幡宮経由で春日大社へ向かう場合の注意
大仏殿の出口を出るとすぐ左に、
手向山八幡宮の鳥居があります。
南大門横の駐車場を利用できて、
全員が健脚の場合、ここを登り、
山の道を通って春日大社へ向かうこともできます。
その場合、春日大社の正面からではなく、
水谷神社から入ることになりますが。
南大門をくぐらずに大仏殿を参拝し、
そのまま、手向山八幡宮経由で
春日大社へ向かえば、
南大門を全然見ることができません!
南大門を見ないとなると、
クレーム対象になると心得ましょう。
東大寺と春日大社、あるいはその間の移動に関してまで、
事前打合せでは、細かく確認を行うことです。
南大門
本来、東大寺の説明は、
ここから始まるものなのですが、
駐車場変更により参拝経路も変わりました。
日本最大の寺院の山門
⇒18本の柱、屋根までの高さ約25m。
南大門に使われている木材だけで、
普通の日本家屋が780軒建つという。
両側の金剛力士像は8.4m、世界最大の仁王像。
運慶と湛慶が69日間で制作(1203年)。
南大門を鑑賞したら、鹿がいるあたりを
通りながら春日大社へ向かいます。
奈良公園
ツアー行程には必ず「奈良公園」と記載があります。
奈良公園は広大で、東大寺も春日大社も興福寺も、
すべて奈良公園内にあることも忘れずにご案内。
「奈良公園に行かなかった」
などと言われないよう注意しましょう。
春日大社【ユネスコ世界遺産】
専用車・徒歩でアクセス
いずれの場合も、国宝館前からスタートします。
車舎を説明、二の鳥居前で、
必要に応じて鳥居と狛犬の説明をしたあと、
一礼して進むと、もう石灯籠がいっぱい。
このあたりも、東大寺ほどではありませんが、
鹿がいっぱい。
石灯籠に貼ってある紙がなぜ破れているのか?
これが氣になる人がいっぱい。
しばらく坂を昇り、南門から入ります。
時間がタップリあるとか、
TLが「行く!」という場合は、
この先の若宮15社巡りのいくつかを
見ることもありますが稀です、
大抵は、そこまでの時間的余裕はありません。
一礼して南門から入ると、
左手に御朱印所とお守り授与所。
藤の簪をつけた巫女さんたちがいますが、
巫女さんの写真撮影は厳禁!
隠し撮りしようと頑張る人もいますので、
よく見張って、粗相のないように。
ツアーによって、御本殿に入る行程と、
入らない行程があります。
入ろうとする人が時々います。
本殿に入らないツアーの場合は、
その旨を説明し、入りたい人は、
別途料金が必要と明言しますと、
たいていはあっさりと諦めます。
ゲストの振る舞いは、どんなことでも
許すのが良いガイドではありません!
間違った行動をしたら説明をして
正してもらうのが、ガイドの務めです。
ましてや神聖な場所で、
おかしな行動をとらないようにしましょう。
数の中には、必ず道徳観念が欠如している人が
いるものですが、自分が担当するツアーの間は、
そのようなことがないようにしたいものです。
幣殿前でご挨拶。
目を引くのは、
樹齢約800~1000年、周囲約8mの大杉ですが、
根元から柏慎が生えており、
直会殿の屋根の穴から空に抜けています。
この近くに扉がありますが、
御本殿を参拝した方の出口で、
入場券が無い人は、入ってはいけません。
「でも、ちょっとだけ」もダメ!!!
困ったちゃん続出箇所なので、
しっかり見張りましょう。
下手すると、ガイドの責任になりますし、
エスカレートして旅行社様の名前まで
聞かれたら目も当てられません。
砂ずりの藤:樹齢約800年。
毎年、170cmほどまで房が垂れ下がる。
毎年、どのくらい伸びたかのサイズリストがあります
この近くからは、金属製の灯籠が続く
慶賀門を出ると、ユネスコも称賛する
自然の緑の中に映える朱色の回廊。
この西回廊を直進、内侍門の階段を降り、
酒殿・竃殿を左に見て、坂道を下ります。
時間があれば、貴賓館から右折し、
一言主神社あたりを少し見る、
さらに時間があれば水谷神社方面まで行く。
いずれの場合も、貴賓館へ戻り、坂を下り、
船戸神社で交通安全祈願の説明などをして終了。
バスに戻る前に、お手洗いをご案内。
お手洗い建物の手前には、両替機があります。
水谷神社方面からアクセス
東大寺の手向山八幡宮経由で
山の道を通ってきた場合は、
水谷神社から春日大社境内に入ります。
この場合は、すべて逆方向から進んで
バス駐車場へ向かいますが、
逆方向は、マヌケ感が拭いきれません。
興福寺
興福寺
行程に興福寺参拝が入るツアーがあります。
筆者の経験では、かなり数は少ないうえ、
そのほとんどが「興福寺散策」という内容。
境内が広く、色々な建物があります。
団体での立ち寄りは、ほとんどが「無料ゾーン」のみ。
興味深いものは有料なので、ビミョウです。
五重塔と東金堂
中金堂
猿沢池と五重塔
猿沢池方面へご案内してもいいでしょう。
2018年落慶の中金堂は実に立派ですが、
団体で参拝することは、ほぼ無いでしょうから、
下見に行ったら、ゆっくりと堪能しましょう。
無料ゾーン部分のみの散策でも、
国宝館はご案内します。
料金を払っても行く人は少数派ですが。
国宝館の見学が含まれているツアーもあります。
興福寺の国宝館はコンパクトですが、
国宝を含む傑作が沢山あります。
内部は、ほとんどお寺さん状態なので、
静かに見学するようご案内します。
興福寺から近鉄奈良駅方面
興福寺散策のあと、その近辺や
近鉄奈良駅近辺でランチの場合は、
徒歩移動のほうが気持ちもよく、
時間的にも効率よく動けます。
近鉄奈良駅周辺
興福寺境内から、
ひがしむき商店街へ抜けることができます。
ひがしむき商店街
近鉄奈良駅により近い、
小西さくら通りも、要チェックです。
小西さくら通り
奈良でのランチは、
<ひがしむき商店街>や<小西さくら通り>に集中します。
奈良でフリー・ランチの場合も、このあたりをご案内することになります。
ちょっとしたショッピングも楽しめるので、
下見の際に、一通りチェックしておくと便利です。
小西さくら通り~ひがしむき商店街~
興福寺境内の通路も、一通り歩いてみること。
念のため、ならまちも、
自分の足で歩いて下見をしておくと万全です。
大雑把でも、重要場所を把握しておくと、
後々、役に立ちます。
新しい店舗や施設が増えても、
基本はそれほど変わりませんから。
JR奈良駅周辺
団体ツアーでJR奈良駅周辺に来る場合は、
JALホテルでのランチくらいのものでしょう。
バスは、概ね駅前広場に駐車できるようです。
今後、どうなるか分かりませんので、
毎度確認が必要です。
奈良観光のポイントはアクセスと順番
とりわけ、アクセスについて
事前に理解しておくことです。
京都から日帰りで奈良観光をする場合、
最初が東大寺になるとお伝えしました。
そうしないと、スムーズに動けないからです。
東大寺南大門横の駐車場に入るには、
春日大社方面から来ると右折できません。
今も、後期高齢者がいるなどで、南大門横駐車場を使う場合、
必ずバスは左車線に入っている必要があります。
先に、春日大社へ行ってしまうと、右折できないからです。
いまは、奈良公園バスターミナルができ、
ここでは乗降しかできませんが、それでもやはり、
春日大社方面からきて右折すると、そこからまた
大きく回ってこなければいけないという無駄が生じます。
京都から奈良へ移動して観光する順番としては、
1.東大寺
2.春日大社
3.興福寺
これが、スタンダードです。
奈良観光が公共交通利用の場合
本当にイヤですが、そういうこともあります。
酷い場合は、近鉄なら駅から、
東大寺、春日大社、ランチ、興福寺、
「徒歩移動」と指示されたツアーがありました。
そのツアーは、東京始まりでした。
格安ツアーですから、都内観光も公共交通利用で、
東京フリーキップ、1600円の1日乗車券を
買うことになっていました。
都内観光は、個別にキップを買えば、
1人1000円ほどで回れることが判明。
そこで、その残り分で、
奈良市内のバス乗り放題の1日乗車券を
買ってもいいか聞いて許可を受け、
近鉄奈良駅~東大寺/春日大社 往復は、
バスで移動できました。
東大寺~春日大社までも路線バスで移動
したこともありました。
「ホントは、全部徒歩だったのですよ~」と
ゲストの皆さんにお知らせしたら、
みなさん、固まってしまい、次に、
そんなことはあり得ないと怒っていました。
奈良市内にはタクシーは極めて少なく、
アテにできません。
FITでタクシーを考える場合は、要注意です。
*** *** ***
次回は、奈良観光第2弾、法隆寺へ行きます。
コメント