旅の情報と注意事項(2)
16. スリや置き引きに注意
バックや貴重品を残したまま
席を離れない。
全員一斉に座席を離れない。
ビュッフェなどで、
お料理を取りに行く時など、
必ず荷物に見張りの人を付けること。
日本は安全な国と言われますが、
ツアーで行く場所は有名観光地ばかり;
観光地にはスリ・泥棒がつきものです。
外国人観光客を専門に狙うプロが
外国から出稼ぎに来ており、
1人目が財布等を抜き取り2人目に渡し、
3人目がバイクで逃げるので、
犯人は捕まえられないこと、
ズボンの後ろポケットから
お財布をのぞかせることや、
バックを開けたままにするのは
挑発行為にあたるので止めるよう、
繰り返し注意喚起します。
特に混雑する場所に行く時には、
直前にも繰り返し注意喚起します。
ガイドもゲストの持物に注意して
適宜アドバイスをする。
17. 無法地帯へ行かないこと
団体旅行に参加した場合、
いかがわしい場所へ行かないこと。
無法地帯では、身ぐるみはがされる。
そのような場所で何があっても、
保険は適用になりません。
欧米人には「保険適用になるか否か」
のフレーズが効果的です。
18. バーや居酒屋
テーブル・チャージ、というものがあり、
入店しただけで料金が発生する。
請求は、飲物・料理、サービス料、税金、
テーブルチャージの構成になっているので、
実際には、お支払金額は、
予測よりもかなり高額になることを、
事前にお知らせします。
「お通し」システムのトラブルが多発しています。
【注意】客層次第ですが、バーなどに行ったら、
最低、必ず1人1杯は注文をすること。
こんなことまでは、毎回は言いませんが、
怪しいと思う時にはお伝えしています。
というのは、ホテルのバーに数人で行き、
「私は何も飲まない」と注文しなかったら、
強制的に注文させられたという問題が
起こったからです。
そうすると、日本では・・・とケチ付けますけど、
ホテルでなくても、バーなどに行ったら、
バーではなくてカフェであっても、
飲まなくても何か注文するのが普通です。
自分の国で、そんなことしますかね?
と言ってやりたいけれど、グっと堪える。
(もぅ~・・・)
19. 現金の説明
コイン:1、5、10、50、100、500円。
どれもアラビア数字が書いてあるので、
よく見れば分かる。
5円玉だけ、アラビア数字が無く漢字表示のみ。
⇒「黄色で穴が開いたコインは5円です。」
紙幣の種類は、1000円、2000円、
5000円、10000円。
2000円札は、あまりないので、
お支払い時には常に数字をよく見るようご案内。
すべてのお札についている人物について、
手短に説明できればベスト。
全部言わなくてもいいけれど、
1万円札の福沢諭吉についてはコメントします。
慶応大学というエリート私立大学の創立者。
(客層によっては慶応大学を少し詳しく説明)
作家、教育者、翻訳者、哲学者、政治学者、起業家。
「天は人の上に人をつくらず、
人の下に人をつくらず」の格言で有名。
ツアー途中で現金が追加で必要になったら、
セブンイレブン、郵便局のATM、
銀行のInternational用ATMで現金を引き出せる。
できるだけ東京、京都、大阪など、
都市部にいるうちに済ませること。
地方に移動すると探すのも大変ですし、
そのような時間的余裕もありません。
チェックポイント
食事のときのドリンクのお支払い用に、
ガイドは、細かいお金を用意しておく。
20.消費税:10%
内税表示と外税表示の2種類の表示あり、
わかりにくい。
2種類の数字があれば、お支払いは高い方の金額。
外税表示の金額しか書かれていない場合は、
会計の時に10%割り増しとなる。
⇒会計で10%割増されたら、
それは消費税ですと説明します。
食品は、持ち帰り品だと8%。
但し、その場で飲食すると10%。
*2023年3月時点
21. TIP(お心付け)
日本人にチップを渡すのは失礼との
ウワサが消えません。
日本は、お心付けの国ですし、
現金を贈る習慣がある国です。
冠婚葬祭、祭祀、儀式の際には、
金一封がつきものです。
今でも、菓子折りの中に現金を入れて、
お渡しすることは、普通に行われています。
普通にお店でお買物をする場合には、
チップは不要です。
タクシーを利用した場合は、義務ではないものの、
若干のお釣は残すものです。
トランクにスーツケース等の荷物を
積んでいただいたら、
1個100~200円を別途渡します。
この程度のことは、事前に説明します。
【困った事例】
普通車タクシーを、某国西洋人が4人で利用。
体格を考えただけでも、
よく乗せてくれたと感心するほど。
920円の料金を、1円玉も5円玉も総動員して
キッカリ渡したら、
運転手さんから不快感を示されたと
言われたことがありました。
そのような場合は、1000円お支払いするものだと、
あらかじめお伝えしてあったでしょ、と言っても、
自分達の都合のいいように解釈してしまう人達。
日本のタクシー運転手は感じが悪い、
と繰り返す始末。
このようなことを聞くと、お里が知れますね。
特に、旅館宿泊では、お心付けは必須ですから、
多めに用意するものです。
お部屋付きの仲居さんには、
ご挨拶をしてお渡しするものです。
そのために、様々な種類のご祝儀袋が、
販売されているのです。
お心付けを渡しても、
すぐには受け取らいのが礼儀のため、
一押ししてお渡しするのですが、
この、やり取りをするという習慣が、
外国人に誤解を与える原因にもなっており、
なかなか難しいところです。
もっとも、団体ツアーでは、
お部屋付きの仲居さんがいるような
旅館に行くことは、ほぼありません。
TIPについて筆者のご案内
ツアーには、基本的なサービス料は
含まれています。
レストランやホテルでは、
基本的なサービス料は含まれています。
何事もなければ、
チップをお支払いする義務はありません。
でも、何か特別に依頼をしたら、
相応にご対応ください。
日本ではTIPはすぐには受け取らない
習慣ですが、結果的には受け取ります。
たとえば、タクシーを利用して、
900円以上なら、1000円渡すことは、
頻繁にあります。
せめて、10円玉や50円玉などは、
残してくださいね。
でも、運転が乱暴だったり、
不愛想ならキッカリでいいですよ。
一般的な店舗、レストランやホテルでは、
チップを普通に受け取られます。
何か特別なお願い事をして応じていただき、
お客様がチップを差し出した際に、
「いいですよ、このくらいのことで~」と
受け取らない方も、まだ沢山おられますが、
そのような場合には、
「お受け取りいただきたい」とお伝えします。
素直に受け取っていただかないと、
日本人にチップを渡すのは失礼
という情報がさらに拡散し、
皆が受け取れなくなってしまい、
習慣が変わってしまいます。
お客様の国の言語で「ありがとう」の言葉を、
ガイドが教えて言ってもらえば、場がなごみます。
ドライバー様へのTIP
関連記事:7. FITのオペレーション【2】
【TIPの認識いろいろ】
サービス料が13%以上のホテルの従業員様は、
慣れた雰囲気でTIPを受け取られます。
サービス料は含まれていますので、
お心付けは頂けません……と言われたことは、
一度たりともありません。
むしろ、渡されるのが当然という雰囲気です。
「お心付けは固くお断りします」
と貼紙している旅館で、
”お心付けを固くお断り”しなければならないほどの
お給料を出されているような雰囲気は、
微塵も感じられません。
22. 写真撮影
珍しいものは写真に撮りたいと思うのは、
ごく自然なことですが、
写真撮影にも注意事項があります。
人物の撮影
和服の方(特に女性)、
京都などで舞妓さん、芸妓さん、
コスプレ中の方(観光客)。
遠くから景色として撮る分には構いませんが、
近くで撮りたい場合は必ず許可を得ること。
ジェスチャーでわかってもらえます。
人によっては肖像権があり、
勝手に写真撮影すること自体が、
法律違反になる場合があります。
許可を得て人物を撮影した場合でも、
絶対にSNSや自分のサイトに掲載しないこと。
たとえ後姿でもダメ。
撮影許可は得ても、
ネット掲載許可までは得ていないはず、
最低限のマナーは守ること。
秋葉原では、
コスプレ女性の撮影は厳禁!
最近は、個人情報保護の観点から、
人物撮影は、どんどん厳しくなっています。
トラブルが起こらないよう、
事前に注意事項をご案内します。
和服姿の方へガイドからお願いする
和服姿の方や、七五三の時期に和服姿の
子供達を見ると、ゲストは大騒ぎします。
もう、他の事など目に入らないし、
何を言っても、耳に届かない。
お宮参り、七五三の子供達と
ご両親様全員が和服だと、
狂喜乱舞的になります。
そのような場合は、ガイドが自己紹介をし、
ドコソコの国の皆様で、
いま日本を旅行中ですなどと手短いに言い、
撮影許可をお願いすれば、
たいていは、心良く応じてくださいます。
和服姿の日本人と写真を撮ることができれば、
それは、本当に素晴らしい想い出になりますし、
それはそれは、本当に大喜びします。
団体みんな揃ってお礼を言いましょう。
神社参拝中に、結婚式に遭遇すれば、
全員が止まって動かなくなってしまいます。
勝手に写真を撮るななどと言っても、
全然耳に入りません!
ゲストにとっては、願ってもない
素敵な想い出になりますので、
数分間諦めて黙って見物につきあえば、
結婚式に関する質問が沢山きます。
土日に神社へ行く場合は、
それを覚悟して早めに動きましょう。
挙式のご家族様の邪魔にならないよう、
適宜誘導します。
旅館や宿坊の大浴場など
当たり前ですが、
脱衣場も大浴場も撮影禁止です。
「撮影禁止の表示がない」という
屁理屈に屈してはいけません !!!
こんなことまで注意しなければいけません。
「ガイドから何も言われなかった」となれば、
これもまたガイドの責任になるからです。
社寺仏閣・美術館・博物館
撮影禁止と書かれた場所での撮影は厳禁。
注意しないと問題発生になります。
しかし、撮影禁止のアナウンスをすると、
ブーイングが起こります。
規則とはいえ「減るもんじゃあるまいし」
などと屁理屈をこね、
はるばる日本まで来たのだから、
あらゆるものを撮影しないと
ソンだと考えてしまい、
こっそり撮影してしまう人がいると、
ガイドが注意を受けます。
社寺仏閣では、
≪正面から仏像などを撮影することは非礼≫
ということに関しても、
なかなか理解されません。
倫理観の欠落でしょうか。
高いツアー料金を払っているんだ!と
頑張る人まで現れます。。。
昨今のヨーロッパでは、
正面から写真を撮るので何の問題もない、
と言い張る人が増えました。
とはいえ、宗教施設は、
祈りを捧げる神聖な場所であることを、
忘れてはいけません。
私達は、本来は宗教儀式を行うところに、
お邪魔をさせていただいているのであり、
参拝される方々の邪魔をしてはいけない、
それが最低限のマナーであると、
たとえ無駄でもお伝えすることも
通訳案内士の任務です。
日本人のことを、
あたりかまわず写真を撮りまくるバカと批判し、
自分達も同じことをしているとは思わず、
「高いお金を払って遠くから来たのだから当然」と、
屁理屈をこねる人も少なくありませんが、
規則は規則、誰もが守らなければいけません。
写真撮影厳禁・要注意
神社仏閣での写真撮影には、
本当に氣を付けなければなりません。
写真撮影が本当に厳しい施設
三十三間堂など、
撮影禁止の規則が厳しいところでは、
規則を破るゲストがいると、
ガイドの住所氏名、旅行会社、
ツアー担当者の連絡先まで聞かれ、
処罰の対象になることがあります。
実際、そのような事件が発生しています。
ゲストの規則破りはガイドの責任とされ、
出切り禁止になったガイドもいるそうなので、
要注意です!!!
写真撮影規則が厳しい施設に行く際には、
必ず、直前にその旨を通知します。
まとめ
必要な情報を必要な場面で、
漏れなくお伝えできるよう、
ツアー行程と照らし合わせながら、
オペレーションをします。
必ず、聞いてない人がいるので、
重要事項は繰り返してご案内します。
最近は、認知症気味のゲストも
明らかに増えてきています。
難しいのは、必ずしも年齢と症状が
一致していないことです。
認知症のようには見えなくても、
数日一緒に動いてみて、
認知症気味と気づくゲストもいます。
そのような人がいたら、
できるだけ目を離さないこと。
フリータイム前には、
注意事項を重ねてお伝えしたり、
可能なら、見えるような場所にいて
離れた所から見守るとか、
寄り添ってあげたいところですが、
限度があります。
筆者は、トラブルを起こしそうな
認知症気味の人がいると思ったら、
問題が発生していなくても、念のため、
旅行会社のツアー担当者に連絡しています。
次回は、見学場所到着前のご案内についてです。
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