空港から出発直後:車内温度確認
食事制限の確認が済んだら、
バス内の空調温度の具合を聞きます。
「暑い・寒いのご希望は、ご遠慮なく、
いつでも言ってくださいね」とご案内。
欧米人は体温が高いので暑がり、
かなり低めの温度設定を希望します。
日本人は体温が低いうえ、
冷え性の女性が多いので、
寒さ対策をしてください。
ガイド席は、強い直射日光にさらされます。
お天気が良ければ寒くはありませんが、
眩しくて目によくありません。
筆者は、必ずサングラスを持参します。
旅の情報とガイディング【適宜】
空港を出発し、食事制限確認が終わったら、
基本的な旅の情報をお伝えしますが、
説明途中であっても、
目立つ建物や景色の説明を優先します。
写真を撮り損ねないよう、
必ず早めにご案内します。
「もうすぐ、右手前方に、
〇〇が見えてきます。
それはカクカクシカジカです」という具合。
しばらく目立つものがなければ、
旅の情報説明に戻ります。
ゲストから「あれは何?」と
聞かれる前にご案内します。
それが最初のうちは、分からなかったり、
タイミングがズレてしまったり、
日本人目線では気にも留めないもので
あったりしますので、実践に入る前には、
Google Mapで充分に予習し、現場では、
ドライバー様に協力をお願いしましょう。
関西空港
関西空港から出発(ツアー開始)
関空を出たら、
スカイゲートブリッジを渡りきるまで、
ノンストップでマシンガントークを炸裂 !!!
関空では、特徴も話すので忙しいのです。
関空の特徴ガイディングは、
マストではありませんがオススメ!
時間的にタイトで、
最初は簡単ではありませんが、
口慣らしの練習にもなりますし、
発車と同時に喋りまくると、
ゲストの信頼を得ることができます!
【皆様は、とても特徴のある空港に
到着したのです!~】
と盛り上げて説明を始めます。
以下の青太文字は重要情報、
次は青文字、時間が許せば全部。
正直なところ、時間的に、
全部は話しきれませんけど。。。
- 関西空港は、大阪湾の沖合5kmに
浮かぶ人工島にある。
今も沈下中であることは言わない!! - 2010年、世界で最も奇妙な18の空港の一つ。
(⇒海上の人工島にあることから) - 第1ターミナルは、1994年完成、
イタリアの建築家レンゾ・ピアノ氏の作品。 - 端から端まで、1.7kmある
世界で最も長い建物。
屋根は飛行機の羽の形で、
空調の風を効果的に流せる。
⇒空港から出発する時に
ターミナルの建物は見えません;
敢えて言う時と、言わない時があります;
その時の雰囲気次第。 - 日本で3番目に利用客が多い。
- 第1ターミナルがの様々な受賞歴:
「Airport of the Year 2009」
で世界第6位。
2004年は9位、2005年は5位、
2006年は4位、2007年は9位、
2008年は6位と上位にあり、
2004年から2009年は常にトップ10内。 - トイレの清潔さでは世界第1位も獲得。
- 2015年には、開港以来、
荷物の紛失(ロストバゲージ)がなく、
荷物の取り扱いを評価する
「バゲッジデリバリー部門」で世界1位。 - 米国土木学会 (ASCE) により、
20世紀の10大プロジェクト
「Monuments of Millennium」の
「空港の設計・開発」部門に選ばれ、
20世紀最高の空港プロジェクトと
認められた。 - 1995年、6400人の犠牲者を出した
阪神神戸大震災の震源地から
20kmしか離れていないが、
空港ビルは一切被害がなかった。
ガラス1枚割れなかった。 - 1998年の台風の際には、
時速200kmの強風でも被害がなかった。
以上の内容を、時間に合わせて
取捨選択しつつ語ってから、
スカイゲートブリッジについて、
以下のアナウンス:
スカイ・ゲート・ブリッジを渡って
陸へ渡ります。
この橋は、
世界最長の鉄道車道併用トラス橋で、
長さは、3750mです。
空港の至近距離にあるため、
吊橋にはできませんでした。
端は、2階構造になっており、
上は6車線の車両道路、
下は、2社の鉄道が走る線路と、
電気・ガス・水道・電話などの
ライフラインが通っています。
前方左手に見えるのは日本で3番目に高い
「りんくうタワーゲートビル、高さ256m」、
陸地側に建っています。
いま、日本で一番高いビルは、
大阪市内の「あべのハルカス」300m、
2番目は横浜のランドマークタワー296m。
横浜のランドマークタワーは、
高さ300メートルで設計発表されたものの、
東京の羽田空港から近いため許可されず、
296メートルになった経緯があります。
2023年、東京都心に高さ325メートルの
ビルが完成しました。
【話してはイケナイこと】
2018年秋の台風で、
タンカーがこの橋に衝突する事故が発生し、
空港が混乱しました;
そのようなことは話さないこと!
旅を始めたばかりの時点で、
事故の話などもってのほかです。
もしも聞かれたら答えて軽く流す。
犠牲者は出ていません。
上にも書いた通り、
関空は、現在もなお、沈下中で、
ジャッキアップしていることも言わない!
橋から海への視界が開け、
ゲートタワーを過ぎるまで、
ゲストは写真撮影で大忙しですから、
何も言わずに待ちます。
ほとんどの人は、海が見えると、
写真を撮るのに夢中で、
ガイドの説明なんか耳に入らない人も
多いのですが、
ゲストが聞いていてもいなくても、
説明はするものですし、
ガイドは、ここを助走部分として、
徐々にアクセルを踏んでいくのです!
関西空港から帰国(ツアー終了)
ツアーが京都や大阪で終わり、
関西空港からお客様が帰国するときは、
上記の内容の時系列を逆からお伝えします。
京都や大阪から関西空港までの
景色に不慣れなガイド初心者は、
GPSを使ってスマホかタブレットで
地図を見ながら確認しつつ、
適当なあたりから、ガイディング開始。
ツアー終了後、早朝に関空から出発する場合は、
眠っている人も多く、
完全に帰国モードに突入していますが、
大規模港湾施設、りんくうタワーゲートビル、
スカイ・ゲート・ブリッジをご案内すると、
にわかにシャッターを切りはじめますので、
寝ている人が多くても遠慮せず、
最後のガイディングを展開します。
奈良方面から向かう場合は、
見える景色は違いますが、
晴れて視界が良ければ、
少し手前から、りんくうタワーや
スカイゲートブリッジが見えますので、
お客様が綺麗な写真を撮れるよう
早めにお伝えします。
成田空港
成田空港から出発(ツアー開始)
しばらくの間、単調な景色が続くので、
旅の情報の説明をするにちょうど良いのです。
寝てしまうゲストも多いですが、
気にせず喋り続けます。
旅の情報案内が終わったら、
日本の概略のガイディングを続けます。
幕張を過ぎたら注意し、
早めにディズニーランドをご案内。
1983年開園、年間入場者数1800万人、
シンデレラ城がポイント。
手間にある立派な建物は、
デラックスホテルですなどと言ってると、
【東京】の標識が見えますので、
「いよいよ東京に入りましたよ~」と言い、
葛西臨海公園(遊園地でOK)の
大観覧車が見えたら、
最初の訪問地についての説明を始めるタイミング。
初めての訪問地で迷子を出さないよう、
スムーズに動けるよう、注意事項をお話します。
東京スカイツリーなど、
見えるものはその都度ご案内。
長旅の後で、みんな疲れて、
たとえ聞いていなくても、
最初の訪問地でバスから降りるまで、
マシンガントークを展開します。
必ず、全部シッカリ聞いている人達がいて、
ガイドの語学力を窺っています。
成田空港から帰国(ツアー終了)
成田空港からツアー開始と逆のご案内です。
ターミナル1か2か、出発前にドライバー様と確認。
たぶん、成田から帰国する時のガイディングが、
一番難しいのだと思います。
ゲストの頭には、我が家がイメージされており、
長くつまらない景色が続くわけですからね。
わたしは、成田から、
お客様を見送ったことはありません。
羽田空港
羽田空港から出発(ツアー開始)
【レインボーブリッジの上を通るかどうか】
・業務前打合せ時にツアー担当者と確認、
・当日、羽田出発前にドライバー様とも確認
⇒レインボーブリッジの通行が、上ではなく、
下を通るよう指定されていることがあります。
上は首都高で有料だから、
見境なく経費節約に走るからですが、
上を通らないと景色は全然見えません!
首都高の料金をケチるところではありません!
レインボーブリッジの上を走って、
良い景色が見えるかどうかにより、
お客様の満足度は天と地ほど違います。
羽田からは都内に向かうことが多く、
出発直後に、まず、大井競馬場;
観覧席の上のほうと照明しか見えませんが、
まぁ分かります。
すぐに、お台場~レインボーブリッジ~、
レインボーブリッジを渡りながら台場と、
橋から見える景色として東京タワー、
晴れていれば見える東京スカイツリーなど、
見える景色に応じてガイディングします。
レインボーブリッジを降りると、
すぐに、間近に見える東京タワーを、
再度ご案内とことになりますから、
旅の情報をご案内する余裕は、
ほとんどありません。
適宜、合間にお話ししないと間に合いません。
食事制限情報の確認は、
空港出発早めに頑張っても、
食事店様に連絡する時間的余裕は、
なかなか取れません。
目立つもの、特異な場所が続くので、
そのご案内が優先、仕方ありませんね~💦
羽田空港から帰国(ツアー終了)
羽田から出発するときと逆です。
羽田から出発する場合は、
早めの到着がお薦めです。
自動チェックイン機の不具合は、日常茶飯事。
チェックインが始まっていなくて、
列に並べる状態ではなくても、
別な団体がスタンバイしていると、
それだけで数十人分後になります。
自動チェックイン機がうまく作動しない場合、
座席変更希望者は、カウンターで
お願いすることになります。
当然、早い者勝ちですから、
空港到着が遅くなったために、
希望が叶わなかったと言われると、
最後にクレーム状態になりかねません。
空港到着が早すぎると文句を言う人も、
もちろんいます。
不測の事態に備えて早く到着します;
時間が余るかもしれませんが、
ご理解いただきたいと、
バスの中でお伝えしておきます。
ああ言えばこう言う、
最後まで色々な文句を言われ続けますが、
優先事項は何かを常に考えることです。
空港でのチェックイン(帰国)
ドライバー様との精算が残っている場合は、
最後のお支払い直後に、封筒を戻していただき、
到着前に残高と領収書の確認を終える。
バスはあまり便利な場所には停められません。
関空は、かなり手前か、かなり向こう側に
なることが多い。
羽田は、いつも混んでいて、団体バスは、
降車に時間がかかるので、
端っこになりがちです。
チェックインカウンター、
出発予定時刻(定刻か変更か)、
搭乗ゲートなどは、スマホで調べられます。
お客様が勝手に動いて、
バラバラになるのが嫌なので、
チェックインカウンター情報は、
敢えてお知らせしません。
【ガイドに付いて来てください】でOKですが、
ターミナルに入ると、
お客様も掲示板をみて情報は分かります。
空港到着前には、
「くれぐれも忘れ物がないよう」アナウンス。
ゲストが全員バスから降りたら、
棚の上、座席の間、前の座席のネットの中、
座席と座席の間など、忘れ物がないかどうか、
注意深くかつ手早く確認します。
普通は、ドライバー様も確認をします。
全員でドライバー様にお礼を申し上げ、
バスをお見送りします。
⇒と言っても、さっさとターミナルに
入ってしまう人達がいますので、
【ガイドを待ってね】とお願いします。
カウンターでチェックインのあとは、
ガイドによってオペレーションは色々です。
そこでバラしてしまうガイドも、
たくさんいるようです。
TLさんが付いていないツアーの場合、
私は、手続が終わった人から名簿をチェックし、
一か所にまとまって待機していただき、
最後の団体行動として、
セキュリティ・ゾーン入口まで一緒に行き、
最後のお見送りをしています。
お買物などをしたくて早く行きたい人、
ファーストクラスやビジネスクラスなどで、
手続きが早く済むので先に行きたい人は、
出国手続き前にガイドのところへ寄って、
名簿確認の協力をお願いし、
必ず全員の様子を把握しています。
セキュリティゲート近くに、
ペットボトルの水を捨てたり、
空容器を捨てるゴミ箱があります。
セキュリティゾーンに入ってしまえば、
出国ゲートは案内済みですし、
もう、ガイドがすることはありませんが、
お客様が見えなくなるまで
お見送りするのは日本の文化ですし、
全員が無事にゲートをくぐるのを確認すると、
安心して肩の荷を降ろすことができます。
例外的に、繁忙期で、
おびただしい人数が並んでいる場合は、
途中で失礼してしまうこともあります。
お別れするときは、
まぁ色々なご挨拶やらをいたします。
団体ツアーに参加するゲストのほとんどは、
一生に一回の日本への旅行ですから、
たしかに、一期一会、、、ですが、
「じゃ、また、あの世でね!」
と言うお客様もいました。
世の中は意外と狭い。
あの世では、どれほどの数の皆様と再会して、
想い出話ができるでしょうか。
団体旅行では、日本到着時の空港と、
出発時の空港が違うのが普通です。
成田、羽田、関空の離発着がほとんどです。
次回から2回ほど、旅の情報・注意事項をリストアップします。
27. 【新人】通訳ガイド:旅の情報と注意事項(1)
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