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25. 【新人】通訳ガイド:食事制限・好き嫌い問題【切実】

オペレーション

食事制限・好き嫌い問題【切実】

食事は、旅行中のお食事は
大きな楽しみのひとつ
で、
ツアーの中でも重要要因です。
ゲストの食事制限情報は、
現地エージェントから日本側に
伝わっていなかったり、
情報が違っていることが多いので、
空港出発後、早めに食事問題を解決します。

アレルギー、宗教上の理由、
ベジタリアンの方がいれば、
問題食材を聞きます。

【注意】好き嫌いは対象外!!!

バスが出発する前に確認したいのですが、
空港では長くバスを停めていられないので、
走行中に、いろいろ聞かせざるを得ません。

午前中に到着するフライトの場合、
一番最初の食事は、その日の昼食になります。
この場合は、食事制限の連絡をしても、
間に合わないことも多いのですが、
間に合うことありますので、
早急にその日の昼食場所、
夕食場所へ連絡を入れます。
 

食事制限情報が伝わっていない場合の責任

食物制限情報が伝わっていなかったり、
間違っている場合、
日本側の責任だと考えたいが時々いますが、
日本側旅行社が食事制限情報を
伝え忘れたという話は、これまで、
聞いたことがありません。

ゲストにツアーを販売した旅行代理店が、
ツアーの企画旅行社に情報を伝えていないか、
ツアー企画会社が日本に伝えるのを忘れたか、
どちらかで原因のことがほとんどです。
日本のエージェントの営業担当者様は、
あらゆる通信の記録情報の記録を保管しており、
責任の所在は、たいていすぐに明らかになります。
誰のせいで情報が伝わっていないのかの
犯人探しには与しない
こと。

食事制限の最終確認

アレルギー、宗教上の理由、
ベジタリアンにしても、
NG食材NGのレベル
NG調理法などを、詳しく聞きます。

アレルギー

素材レベルでダメなのか、
生/焼く/煮る/蒸す、どれなら大丈夫か

問題食材が出汁に入っている程度は
大丈夫なのか、それもダメなのか

アレルギー素材が別な食材と
同じ場所で調理されただけでもダメなのか

詳細に確認します。
⇒あまりひどいと、食事店様に
受け入れていただけないこともあります。

たとえば、小麦アレルギーだと、天ぷらの衣、
お醤油に入っているレベルもダメなのか、
詳細確認のために頻繁に電話がきます。
会席膳や精進料理の定番、お麩も、要注意。
場合によっては、
小麦粉を使わないパンを探してほしいとか
言われることがありますが、
そんなことをやりだすと、とてもじゃないが、
業務に支障をきたしますので、
そこまでのレベルだと、
ガイドがお店をご案内して、
ゲストご自身に買っていただきます。
そんなことは即決でお伝えしたいところですが、
何しろ相手は「お客様」、
ツアー担当者に相談して、
ガイドは全員のためにいるわけで、
特定の人にだけ付きっ切ることはできない、
そこまですると業務に差し支えるなど、
とにかく、ツアー担当者の力を借りて、
無駄な動きを回避するようにすると無難です。
なんせ我儘客が多いので、
クレーム防衛も常に頭におかないと、
正当なことを言っても、
実際にクレームにされると厄介ですからね。

アレルギーの方には、発作が起こった場合、
薬を持参しているかどうかも確認します。

宗教上の理由

イスラム教では、
NG食材と同じお皿に乗った食品は、
全部ダメなことがあるのですよ。
ほかに、コーシャとか、いろいろありますが、
私はその方面の知識が全くありません。
今は、ネット上に沢山の情報がありますので、
そちらをご参照ください。
面倒な食事制限の場合は、
ツアーの事前打合せのときに、
ツアー担当者と綿密に確認のうえ、
ゲストとも密に連絡を取り、
スムーズな手配と確認を心掛けます。

ベジタリアン・ヴィーガン

厳密に植物のみで、動物由来ものは、
食用も一般利用も一切しないヴィーガンと、
卵・乳製品・蜂蜜などは許容する
ベジタリアン(菜食主義)があります。
⇒ほんと、めんどくさい!
過去には、帆立は大丈夫という
ヴィーガンの人もいました。
ややこしいので、本人に確認するのが一番です。
好き嫌いの隠れ蓑にしている人もいますが、
そのように申告されたら、対応せざるを得ません。

食事制限ゲストのお料理が羨ましがられる件

食事制限があるために、結果的に、
その人だけ違った料理が提供されて、
「あっちのほうがいい!」となることも、
結構ありますが、無視でOKです。

【悲報】好き嫌い

団体旅行ですから、好き嫌いには応じられません。
嫌いなものは残す。嫌いなもばかりの場合は、
別途、何か買って食べてもらうほかありません。
団体旅行は、大量発注によって、
価格を抑えているのですから。

生魚対応【好き嫌い非対応の例外】

好き嫌いは対応外とはいえ、大騒ぎされると、
対応せざるを得ない典型的なケースが、生魚。
欧米人もお寿司やお刺身が好きな方も
増えているとはいえ、やはり、
生の魚を食べるなど野蛮だとか、
気持ち悪いと頑なに拒否する人達もいます。

お寿司が入っていたら、ツアー前確認の際に、
生魚がダメな方がいて変更をお願いする場合の
締切日を聞いておきます。

お寿司を食べる予定がある場合は、筆者は、
早めにお知らせをして、グループを2つに分けます:
・普通に、日本人が食べるのと同じで良い人、
・生魚は全部ナシ:野菜・卵・魚は、
すべて調理してもらう人、

【重要】
生魚無しに変更をお願いする場合も、
予算内でお願いすること。

実際にお寿司屋さんで提供されたものを見てから、
ホタテなら生でも良かったとか、
サーモンなら生でもいいから、
食べたいなどと言う人がいますが、
ツアーの予算からは出ません。
食べたいものがあれば、現場で、
自己負担で注文していただくことも、
事前にご案内
します。

生魚対応は、本来は必要ありません。
嫌なら食べないで残していただく、
それでイイのですが、お寿司の場合、
生魚問題は避けて通れません。
生魚が嫌な人は、
「食べる物が無い」と大騒ぎすること必定。
生魚が原因で、ツアーの雰囲気が悪化すると、
本末転倒なので、本来は不要ながら、
私は、例外的に、生魚対応はしています。

食事制限情報をバスの中で聞く

食事制限情報を、バスの中で、
しかも走行中に聞くことになります。
ガイドの近くにいる方とは、
簡単にお話できますが、
座席が遠い場合は、
お客様にリレーでつないでもらい、
ガイド席まで情報が届いたら、
マイクで繰り返して確認を行います。

宗教上の理由による食事制限を隠すゲスト

ひとつの団体に、少人数の
異なる宗教の方が混じっている場合、
たとえば、キリスト教徒が大多数の
ヨーロッパ人の団体に、
イスラム教徒が若干名混じっている場合、
自分達の宗教を知られたくないと
思う方々もいるようなのです。

筆者の経験(ホントにもう・・・)

あるとき、イスラム教徒と思しき3姉妹が、
団体に参加していました。
全員に向けて宗教上の理由による
食事制限についても確認したところ、
何も言いませんでした。
そんなハズはないと思ったので、
全員に対して、
「出されるものは何でも食べられますか?」と
聞いたら、全員がOKでした。
その団体は人数が多かったので、
「食事制限は一切ありませんね?」と
念を押して確認しました。
≪どうも、怪しい≫と思いつつも、
全員、何でも食べられると言う以上、
『貴女方、豚肉も大丈夫?』などとは、
絶対に言ってはいけません!

人種差別になってしまいます。
全員、何でも食べるとは言っていたのに、
やはり、懸念していた問題が発生しました。
ある日の昼食のメインが豚肉でした。
3人とも、豚肉だけでなく、
同じお皿に乗っていた野菜も
すべて残して、一切手を付けず、
「食べるものがない」と文句を言いに来ました。
ツアー開始時に、
「食事制限はなく、何でも食べられる」と
確認しましたよね?
と言うと、
「日本人は魚しか食べないはず。
日本で肉を食べるなんて思わなかった」
と屁理屈を言ってきた

冗談ではありません!
たとえば、神戸牛は、
日本料理の代表として世界的に有名です!

これには、他のお客様達も呆れてしまい、
「そんなこと、あるわけないでしょ!」と、大顰蹙。

この3姉妹は、我儘がひどくて、
それまでに、他のお客様にも迷惑をかけており、
みんな、ウンザリしていたのでした。
さらに、誰も何も聞いてもいないのに、
豚肉を食べないのは、宗教上の理由ではない
とまで言い始めたのです。
(自ら、告白してるようなものですが)
しかも、「豚肉は食べられない」とはいわず、
【これは食べない】と言うなど、ナカナカでした。
「豚肉がダメでも、
野菜は食べられるでしょう」と言うと、
言葉が続かず静かになりました。
結局、お料理だけではなく、
別のお皿にあったパンにも、
一切手を付けませんでした。
このようなことは、食材に対して失礼です。
団体旅行なのだから、
単なる好き嫌いには対応できないと、
既に説明済であることも確認しました。

【重要】
このような場合、こちらから、
「あなたは、イスラム教徒ですか?」などとは、
決して言わないこと。

「豚肉は食べられない」ではなく、
「これは食べない」と言っただけなのです。
他のお客様達が言う通り、おそらく、
自分達の宗教を知られたくなかったのでしょう。
絶対に、深入りしないこと。

団体の他のお客様は、
嘘を付いたことに対して怒ったのです。
けして宗教で差別したのではありません。

【問題】
宗教上の理由による食事制限を隠すと、
このように、
食事を抜くことになりかねないのです。
皆の前で言いにくくても、
ガイドには打ち明けましょう;
とはいっても、結局バレますけどね。
特に、格安ツアーの参加者は、
できるだけお金を使わないように頑張ります。
この問題の時も、何かを買って、
食べようともしませんでした。
余計なお金は使いたくないからです。
それなのに、食事をしていないから、
お腹がすいたと言われても本当に困ります。

このような場合も、エージェント担当者には、
早めに一報しておくべきです。
トラブルメーカーほど、メールやSNSなどで、
速攻で、しかも自分に都合よく編集して、
クレーム発信しますので、早めの対策が必要です。

ご都合主義の人達は、自分の都合に合わせて、
話を作って言い出す場合がありますので、
あらかじめ、自分と日本の旅行社の立場を
守る体勢を作っておくことは大事です。

その後にも、同じような出来事に遭遇しました。
そのツアーは、日本までの航空運賃を、
考えただけでもペイするような、
超格安ツアーでした。
格安ツアーの参加者ほど、
「こんなに高いお金を払っているのに」と
言う確率が高くなります。
破格であっても、
そこは、アンタッチャブルです。

宗教上の理由による食事制限を隠し、
問題の食材が提供されると、
想像力に満ちた屁理屈をこねる人達が
いるので、要注意。
宗教上の理由による食事対応をすると、
ご案内しているのですから、

是非、正直に申し出ていただき、
お食事は、皆で楽しくいただきましょう。

好き嫌い問題対応

パンがないとダメ

日本では和食を食べることが多いため、
パンよりもお米の出番が多くなりますが、
毎回「絶対にパンが欲しい」と言って、
大騒ぎする人も中にはいます。
好き嫌いには対応できませんから、
適宜、パンを買ってもらいます。
但し、外で買った食材を、
食事店に持ち込むことはできません。
それでも文句を言いたてて大騒ぎする
人達に対しては、コッソリと隠れて、
パン屑を散らかさないように食べるよう
厳重注意で対応したことがありました。
残念ながら、だらしない人達でしたから、
おそらくバレたと思います。

色々な行動

鍋物

新型コロナの影響から、
鍋物の提供は激減すると思いますが、
忘れた頃に復活するかもしれないので、
お伝えしておきます。
鍋物は珍しいので、みんな盛り上がって、
人の話が耳に入らなくなりますので、
食べ方、調理法をご案内したほかに、
見回りします。

具材は必ず調理して火を通して食べる
と言っても、何しろ話を聞いていませんから、
予期せぬ事態も起こります。
食中毒になれば大問題ですから、
お客様の協力をお願いします。

きのこ

鍋に入れる具材の「生きのこ」を、
そのまま食べてしまう人達がいます。

それは、鍋に入れて【調理】して
食べるものと説明しても、
「キノコはいつも生で食べるから平気!」といい、
制止しようとすると、かえってエスカレートして、
どんどん生で食べてしまった人達がいて、
こちらの胃が痛くなったことがありましたが、
何事も起こらなくて本当に安堵しました。
そのようなことにならないよう、
頑張りましょう💦

すきやきの卵

生卵は、気持ち悪いから嫌がる人達が
いることは、よく知られています。
一方で、日本式の食べ方を説明すれば、
せっかくだからやってみると人もいるし、
やっぱり嫌という人もいます。
ここで、必ず聞かれることは、
「火を通して食べるから、
鍋に入れてもいいよね?」
という質問です。

駆け出しの頃は、何の疑いもなく、
好きなようにどうぞ、と言いました。
通常は、鍋が煮えてきたら卵を割り入れますね。
ところが、ある時、すき焼きの具材が、
沢山入った鍋の中に、
卵を殻のまま入れてしまった人達がいました。
その後も、何人か同じことをしました。
個鍋ではなく、4人で1つの鍋のときでした。

不衛生だと言うと、
「なんで?沸騰させるのだから大丈夫。
これでゆで卵になるから問題ない」と言う。
想像だにしない出来事でしたので、
唖然としてしまい、言葉が出ませんでした。

それ以降は、卵を煮たい人は、殻を割って、
中味だけ入れてくださいと言っています。

「そんなの、当たり前でしょ」と言ってくれる
普通の人達のほうが多いのですが、
「え?そう? このまま入れようと思ってた」
と言う人も、やはりいるのです。

鍋物の場合の調理に関しては、
全体によく目を光らせましょう。

ちゃんと火を通さずに食べてしまい、
お腹でも壊されたら、
ガイドの責任も問われるうえに、
ツアー催行に支障が出ます。

宿坊・旅館に宿泊の場合

旅館や宿坊では、朝食も和食になります。
旅館でも、朝食がビュッフェなら問題ありません。
そのことを事前にお知らせして、
朝食にパンを食べたい人がいるか、
聞くことにしています。
「せっかく日本に来たのだから、
いいよ、朝から和食をたべてみよう!」と
言うのです、みんな、とりあえずは。
ところが、翌日になると、殆どの人は、
意見が変わってしまっているわけです。
旅館や宿坊に泊まる日の朝、
バスが停められそうな所にある
パン屋さんを調べておき
、必要なら、
当日朝にドライバー様にお願いして、
立ち寄っていただいています。

そんなことまでする「必要」は、ありません。
でも、団体のゲストの大多数が、
翌日の朝からブーたれるのが分かるので、
対策として実施しています。

もちろん、持込み食材を、
食事会場に持って来て食べるのは厳禁、
各自のお部屋で食べるようにご案内します。
宿坊に停まると、コーヒーや紅茶、
ジュースなどもありません
から、
それらの情報も詳しく
事前にお伝えしておきます。

やっと、食事制限確認が終わりました。
まだ、空港からバスが出たばかりです。
次回は、空港から出発直後の
ご案内について、お話します。
26. 【新人】通訳ガイド:空港から出発後【バスの中】

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