箱根の天気と服装・持物
初夏から初秋までは、都内と変わらない温度のこともありますが、
やはり、箱根は山ですから、服装の寒さ対策、
山の天気は変わりやすいので、雨具持参をお薦めするなどの情報は、
移動前日までにお伝えします。
大きなスーツケースを別送する場合は、別送前にお伝えし、
暖かい服が、別送中のスーツケースの中……ということがないよう、
荷物を分けるときに手違いのないよう、念を押してご案内します。
天気予報を聞いてくる人も沢山いますが、
山の細かい天気は、お天気予報では対応しきれません。
芦ノ湖湖面にガスがかかったり、
大涌谷へ行く道が濃霧に覆われることは頻繁にあります。
箱根観光
団体ツアーの箱根観光は、半日程度がほとんどです。
- 【必須】芦ノ湖遊覧船か海賊船で芦ノ湖クルーズ。
- 駒ヶ岳ロープウェイに乗り、駒ヶ岳山頂からの展望と少し散策
- 箱根ロープウェイに乗り、パノラマと大涌谷見学
大涌谷は、火山ガスの観測濃度により、行けるかどうか分かりません。
行程に入ってたら、大涌谷火山ガスの観測情報をチェックし、
アクセスできない場合の対応をツアー担当者と打合せしておきます。
箱根町:大涌谷の火山ガス情報:
あとは、箱根神社、箱根関所跡、成川美術館、が主な見学場所になります。
芦ノ湖クルーズ
箱根観光のハイライトは、芦ノ湖クルーズ。
芦ノ湖には、小田急電鉄系の海賊船と、
西武鉄道系の芦ノ湖遊覧船が就航しています。
芦ノ湖遊覧船・海賊船の料金
インバウンドの場合は、10%の手数料バックがあります。
クーポン券で精算する場合でも、書類に記載するだけの時も、
10%の手数料を現金で渡されることがあります。
封筒に入れてくれますが、その場で金額を確認のうえ、
ガイドがツアー代表者として、手数料受取りの領収書にサインします。
この時、旅行社の住所・電話番号が必要になりますので、
ツアー担当者のお名刺を必ず持っておくと、何かと便利です。
この現金は、各旅行社の書式に従って精算書に記入+入金します。
悟られてもいけません。
FITの場合は、すぐ隣でお客様がじ~~っと見ていることが多いので、
窓口の方に、目立たないようにお願いするなどして、
ソツなく振る舞いましょう。
10%手数料バックは、「入金」として施設名と共に経理記録に記載します。
入金の場合は伝票がありませんので、忘れないように。
芦ノ湖遊覧船(双胴船)
団体ツアーでは、こちらに乗船することのほうが圧倒的に多いです。
見た目はシンプルですが、特徴は安定していること、
船室周囲がすべて窓になっており景色がよいこと、
船内が見渡せるので、大人数でもグループを把握しやすいこと。
芦ノ湖遊覧船のサイト:
海賊船の方がよかった…と言う人が出てきたら、
全面ガラスで外の景色が見えやすいことなどを強調します。
お天気がよければ、多くのゲストが一番上のデッキに出て楽しみます。
下船時刻・下船場所
下船時刻を言っていても忘れる人もいますし、
英語のアナウンスがかかりますが、分からない人もいます。
デッキに船内放送用のマイクがあります。
通訳ガイドは、自分のグループのお客様への呼びかけとして、
このマイクをお借りすることができるようです。
(わたしは、やったことがありません)
≪ナントカツアーの皆様、あと何分で下船します、出口へ集合してください。≫
と、各担当言語で呼びかけできます。
下船前に必ず全員集合を確認。
下船後は、出発前にお手洗のご案内をお忘れなく。
芦ノ湖遊覧船のルートに注意
自分達が乗る予定の船の出発・到着時刻だけではなく、
どのルートを辿るかも事前に確認します。
理由は、毎回同じルートとは限らないからです。
お客様には、いくつ目のストップといっても、よく分かりませんし、
そもそも氣にもしていませんから、
わたしは、下船時刻の5分前集合にしています。
船の中は自由でOK。
英語でアナウンスが入りますので助かります。
その程度の英語も分からない他言語国籍のゲストの場合は、
ゲストについて回って説明をしてあげると、優しいとはいえ、
ずっとゲストに付いていなくても、
箱根神社の鳥居、龍宮電、プリンスホテル、九頭竜神社の鳥居など、
有名スポットをお知らせすれば大丈夫です。
多くのガイドは、しばしの休息タイムにしています。
行程の確認、必要に応じて食事店などへの電話確認、
スキマ時間を利用して報告書の書き込み時間に使えます。
繁忙期には仲間や知り合いと一緒になり、
ガイド同士でお話したり、情報交換する時間にもなります。
海賊船
団体ツアーで海賊船に乗る割合は少なめな感じです。
特別船室がありますが、一般の団体ツアーでは利用しません。
アトラクション的な楽しさはありますが、
双胴船に比べると、お客様がどこにいるのか把握しにくい印象です。
箱根海賊船のサイト:
FITの富裕層ゲストでも、手配は普通船室になっていることがほとんど。
多くの団体客で混みあう場合、
ゲストが追加料金を払って特別船室に乗ることもあります。
そんなときは、ガイドも自己負担で対応しましょう。
この程度のことは、いちいちツアー担当者に聞いたりせず、
500円なら、領収書をいただいて経費すればいいだけの話です。
乗船時間問題
湖尻から乗船し、箱根園で降りる場合、団体バスは、箱根園のバス駐車場に回送。
この場合、乗船時間がたったの15分だけなので、
お客様の行程表に、「乗船時間15分」と記載がない場合、
クレームになることがあります。
「こんなにすぐに降りるとは思わなかった!」というわけです。
これも、旅行会社の管轄であり、ガイドはどうにもできません。
その場になってから、「たったの15分だけで、どういうこと?!」と
言われて雰囲気が下がると困るので、
事前にお伝えしておくようにしています。
事前に言えば言ったで、やはり、同じことも言われるわけです。
箱根観光当日に、その日の行程の概略をお話するとき、
それとなく、乗船時間をお伝えするようにしています。
この時点で、ゲストから反応がなければ、そのまま。
逆に、「え~~、なんでたったの15分だけなのぉ!!!」と
文句が出れば、対策を取るようにしています。
乗船時間の変更が不可能な場合
箱根園で降りたあと、駒ヶ岳ロープウェイに乗る場合は、
乗船時間がたったの15分でお客様が不満でも、行程変更できません。
「ここで降りないと、駒ヶ岳ロープウェイへ行けないので」
と言うほかありません。
乗船時間を変更できる可能性
おおっぴらにお伝えするのはビミョウですが、言ってしまいます。
理由は、お客様の満足度に大きく関係するからです。
芦ノ湖遊覧船の場合、団体15名以上なら、
湖尻~箱根園までの料金が、1人、710円。
湖尻~箱根関所跡or元箱根までが、1人、920円。
差額は210円で、ここから多分、10%インバウンド割引があります。
まぁ、いずれにしてもざっと1人200円です。
乗船時間が短いとブーイングが出ているとツアー担当者に連絡し、
了解をいただければ、箱根園では降りず、
関所跡か元箱根までクルーズ時間を延長していただけます。
ざっと1人200円くらいでクレームを避けられるのなら、
致し方ないと決断をしてくれるかどうか、という問題です。
具体例
湖尻から乗船して箱根園で下船。
箱根園から専用車で箱根関所跡まで移動し、
箱根関所跡のホテルでランチ。
皆様、この行程を、どう思われますか?
これは、シリーズツアーで、初めて担当したとき、
とても穏やかだったお客様全員が、アホか!!と激怒しました。
お客様は、ネットで情報収集していたり、
GPSでルートを辿っていたりしますので、誤魔化しはできません。
そのツアーに関しては、もはやお客様からクレームがなくても、
わたしが、ツアー前に担当者に相談し、ご了解をいただいて、
船には最低でも30分は乗るようにアレンジしています。
1人200円の追加で、お客様の満足度は天と地ほどに変わるのです!
この件については、毎度、ガイド報告書に記載していますが、
これまでのところ、一向に改善されません。
悪天候の場合
悪天候で船が運行しないこともあります。
箱根では、前の日から、また当日も常にお天気をチェックし、
行程通りに催行できない場合の代案を必ず考えておくことが重要です。
最近は、濃霧でも多少ならば船は動くことのほうが多い印象です。
一方、お客様から、何も見えないなら船には乗らないと言われたり、
全員一致で、船には乗らないということもあります。
全員一致で何かを主張されたら、相応の対応が必要となります。
わたしの経験では、濃霧のため、全員が乗船を辞退し、
その日は、本当にお天気が悪かったので、
少しでも早く当日のホテルへ行って休みたいという希望でした。
その場合も、すぐツアー担当者に連絡をし、
できるだけ早く、可能な限り適切な代案を考え、ご提案します。
もっとも、船には乗らない、でも、ランチは箱根になっている、
という場合は、空いた時間にどこかへ行くのが妥当です。
それについては、次回にお話します。
次回は、駒ヶ岳ロープウェイ、箱根ロープウェイについてお話します。
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