白川郷
世界遺産になった白川郷も、
インバウンドのハイライトのひとつです。
平均標高約900m、寒い!
初夏以降は、お天気が良ければ、
日中は寒さとは無縁ですが、
4月上旬はまだ「冬」と言ってもいいほど
日もあり寒いので、白川郷へ行く前には、
暖かな服装を必ず持つようご案内します。
大きなスーツケースを別送する場合、
暖かな服装は手元に残すよう、アナウンス。
靴を脱ぐことも事前にご案内。
白川村
ここは、テーマパークではありません。
実際に生活されている場所に、
お邪魔するわけですから、ゲストには、
守っていただくマナーをお伝えします。
ごみも、各自、持帰ること。
白川郷には、ゴミ箱はありません。
ガイドは、ゴミ収集人ではありません。
やむを得ない場合、
ご迷惑をかけそうな場合は、
ガイドが、ゲストのごみを引き受けざるを
得ないことがあるにしても、
それが当たり前ではありません。
何でもかんでも、ゲストを
甘やかすことが優しさではありません。
自分が出すごみに自分で責任を持つのは
当たり前ですし、それも日本では、
至極当然の習慣であることを伝えるのも、
ガイドの業務のひとつです。
鉄道が通っていないので、アクセスは車のみ。
高山からでも、金沢からでも、
約80km、1時間弱で到着します。
道路工事などによる迂回で、
時間を取られることもありますが、
ふつうは、ほぼ時間通りに進めます。
ガイディング
合掌造りに関しては、
現場で解説するほうが効果的ですが、
ゲストは、合掌造り建築を見るのを、
とても楽しみにしていますので、
バスの中でも、簡単にお話はします。
という特殊産業についての説明には
時間がかかりますので、
すべてバスの中でガイディングを済ませます。
日本昔話に出てくるような合掌造りの家々が、
かつては、火薬工場として機能していたことは、
多くのゲストにとって衝撃のようです。
地政学的要素とともに話すのがオススメ !!!
いまも自作原稿を読み上げています。
カッコ悪くても、情報の言い忘れを
防ぐには、これが一番。
さらに普段使わない用語も続出しますので、
カンペはあったほうが断然便利。
長男しか結婚が許されませんでした;
という話には、
「お~~っっ……」と反応されますよ。
白川郷の説明は濃密になりますので、
こういうときのために、
ガイド席の通路側に高さのある
鞄などを置いてバリケード化し、
ナナメ後ろあたりから、
その内側が見えないようにして、
「いかにも原稿を丸読みしています」
状態が隠れるようにするのです。
見えても問題はないのですが、
常に、カンペを見るようでは、
不信感を持たれるでしょうが、
明らかに間違いを避けるために、
正確を期すために、
ガイドが自分で用意した資料を
見る分には問題ありません。
新型コロナ問題収束後に、
バスの中で距離を取ることになって、
2列目には誰も座れなくなっても、
油断大敵です。
突然、歩いて移動してくる人も、
必ずいるからです。
危ないから走行中に移動するなと言っても、
聞かない人はいます。
アンチョコに頼りたい場合は、
徹底した要塞化をお薦めします。
お薦めの情報サイト
ユネスコのサイト:
世界遺産になった根拠:
説明が長いとゲストが飽きるので、
短いversionを参考にします。
短いビデオも事前準備の参考になります。
ユネスコのサイトのビデオ:
「結」と屋根の茅葺交換を説明するのに超便利。
JNTOのサイト:一般的な観光案内情報
最初のページで、地域と言語を選択できますよ。
綺麗な写真も沢山掲載されています。
公式webですから、ゲストにも、
そのまま紹介できます。
ゲストの国の一般的なガイドブック最低2冊、
Wikipedia、有名な情報サイトもお見逃しなく。
白川郷の駐車場
白川郷観光協会
白川村役場
白川郷の観光バス駐車場「せせらぎ駐車場」
観光バスは、
この「せせらぎ駐車場」に到着します。
駐車場に入ると、
バスが駐車する前に出発時刻を聞かれますので、
必ず出発時刻を決め、
ドライバー様に直前にお伝えします。
バスを降りると、どこからともなく係員が来て、
ゲストのお国と団体の人数を聞かれます。
白川村のインバウンドデータになるのでしょうか?
駐車場の最前列に停められると便利ですが、
繁忙期には、信じられないほど
多くのバスが駐車してしまっており、
駐車場のなかでも、遠くの不便な場所に
停めざるを得ないこともあります。
駐車場到着後【バスを降りる前の必須案内事項】
- バスを降りる前に、
最終集合時刻と集合場所を確認。 - 白川郷の場合、散策後はバスに集合。
- 集合時刻は、実際のバス出発の10分前にする。
遅れる人がいるから。 - ここで、お手洗いタイム:
前方に見える建物(1軒しかありません) - 終わったら、お手洗い前に集合。
- 橋でも河原でもなく「ここ!!!」と言う。
- それでも、あっち、こっち、
ヘンな場所に散らばってまとまらない。 - ガイドは地図を取りに行くので
勝手に出発しないこと!!
駐車場到着後
2つめのお手洗い
観光案内所の建物内のお手洗いは、
とても混雑し、女性用は、
なかなか行列が進みません。
混雑がひどいときは、
観光案内所に向かって右手、
道路を渡った「げんきな野菜直売所」の
右側のお手洗いも利用可能な場合があります。
ただ、往復の時間もかかりますので、
それほどの混雑でない場合は、
一か所にまとめたほうが早い。
地図を取りに行く
お手洗いを前を通り過ぎると、
観光案内所があります。
窓口前に、各国語の地図がありますので、
人数分いただきます。
窓口で切手の販売もしていますが、
このような場所で、
絵葉書を出せますよ~などと言うと、
我も我もと殺到して、
異常に時間を喰うリスクがあり、
ただでさえ短い制限時間が短いので、
切手のご案内は私はしません。
もし、「どうしてもここから
絵葉書を出したい」というゲストが
いる場合にのみ対応すればいいでしょう。
でも、実際に、いつも切手の種類が
揃っているかどうかも不明です。
出発前の注意
お手洗い前に集合といっても、
必ず橋のほうで写真を撮っていたり、
河原へ降りていく人もいますので、
必ず全員集合を確認します。
こういうつまらないことで時間が
無駄になるのは、ホント悩みの種。
- 地図を渡しながら全員いることを確認。
- 地図は1人1枚
カップルに1枚ではなく、1人1枚。 - そうしないと、本当に迷った時に困る。
- 地図を見ながら、
現在地と、これから回る場所を説明。 - いまいちど、集合場所と集合時刻を確認。
⇒珍しい場所に来ると、
人の話が耳に入りませんので、
大事なことは2~3回繰り返さないと、
何か起こった際、ガイドの責任になります。 - ガイドの携帯電話番号が記載された
迷子カードを持っているかも確認。
白川郷の行程
合掌造りの家を1軒見学、
あとはフリータイムで、バスに集合。
【最も一般的な回り方の例】
- まず、全員一緒に合掌造りの家を見学。
- そのあとはフリータイムで、
何時何分にバスに集合等と確認。 - ゆえに、合掌造り家の見学前は、
お店に寄らないこと! - 効率よく見学できないと、
フリータイムが減るよ!と伝える。 - このようにご案内すると、たいていは従う。
合掌造りの家を2軒以上見学するのは、
ほとんどFITです。
ランチタイムが入っている場合は、
ツアー前連絡時に、せせらぎ駐車場到着時、
その後の時間も指定されて、
何度か連絡を入れることになるはずです;
食事店様が知りたいのは、
実際にその団体が入店する予定時刻ですから、
忘れずに指定時刻・指定場所から連絡を入れます。
やっと出発
であい橋を渡りきるのに、
これまた異常に時間がかかるのです。
理由は簡単で、この吊橋の上が
写真撮影会場になるからです。
人がいなくなる瞬間を待つ人がいますが、
そんなヒマはありませんので、
上手く言い聞かせて、先に進めます。
対岸に到着してすぐ左側に秋葉神社があります;
せめてガイドはご挨拶はしてください。
鳥居をくぐるときも一礼。
このような態度は、意外と見られています。
もっとも、見られているか否かの問題ではなく、
お邪魔をさせていただくのですから、
入口に神社があれば、ご挨拶するのは当然。
すぐに、合掌造りの集落が広がっています。
秋葉神社から直進してすぐ右側に、
「放水銃」がありますのでご案内。
そのような場所で、消防訓練放水の
絵葉書を見せると、
すかさずその写真を撮ろうとする人が
続々とカメラを構えますが、
その絵葉書は著作権が設定されているので
撮影ができないことを説明。
展望台の売店で買ったものです。
JNTOのサイト紹介はOKですが、
そこに掲載されている写真の撮影は、
著作権侵害になります。
直進するとすぐに白川郷の
メインストリートと交差します。
ここでは、和田家へ行きますので、
メインストリートに出たら左折。
メインストリート
白川郷のメインストリート
それなりに車輌も通行しますので、
交通安全に注意とご案内しても、
どうしても、横ひろがりになってしまうので、
ガイドがマメに見張り、
「車が来るので、端に寄ってください~」
などの注意喚起も必要です。
和田家に到着する前に、
トイレに行きたいという人が出たら、
メインストリートを左折してから
250mほど歩いた右側に公衆トイレがあります。
このような情報も、
駐車場で配布した地図に記載されていますが、
ゲストは、そんな細かいことはいちいち見ません。
途中、神田家を示す矢印などを見ながらさらに歩く。
和田家は、橋からいちばん遠くにあります。
合掌造りの家見学
どの合掌造りの家に行くか?
行程に「和田家見学」とあれば、
和田家さんに行かなければなりません。
『合掌造りの家見学』とだけあるならば、
神田家さんでも、長瀬家さんでも、
いいはずですが、
必ず担当者に事前に確認しましょう。
訪問先の合掌造りの家が閉館の場合
行程に「和田家見学」と書かれていても、
ちょうどツアーの白川郷訪問日に、
和田家さんで行事があったりして、
見学不可日に当たることもありますので、
それも含めて事前の確認が大事です。
閉館日と重なったりすると、
そのことを大袈裟に騒ぎ立てて、
ツアーを引っかき回す困ったちゃんも、
時々います。
ツアーの事前準備段階で、白川郷訪問日に、
見学予定施設が閉館と分かったら、
すぐに、ツアー担当者に連絡し、指示を仰ぎます。
ガイドが独断で勝手な決断をしてはいけません。
⇒何があっても、ガイドの責任にならないよう、
慎重に行動すること。
【共通注意事項】
家の構造上、中二階があったり、場
所によっては天井が低いので、
頭をぶつけないように。
足元が滑りがちなので、慌てずに歩くこと。
階段はとても急なので、
ゆっくり注意して昇り降りすること。
階段の幅は狭く1人しか通れないので、
お互いに譲り合うこと。
和田家【重要文化財】
上左の写真の手前に、
「和田家」の標識が出ています。
上右が和田家の入口:靴を脱いで
棚に入れる方法をゲストに説明。
続々とゲストが来ると、
だいたい前の人がやるのを見ているので、
そこそこ大丈夫そうと思ったら、
ガイドはチケットを購入。
いまのところ、日本語以外は英語のみ。
和田家
スリッパ
スリッパを履きますが、スリッパに
慣れていない欧米人ゲストは、
滑るので嫌がる人もいます。
安全第一ですから、そのあたりは適宜。
館内の混雑具合にもよりますが、
先に2階を見学するよう促されます。
2階へ
事前に、階段が急なこと、
足元が滑るので注意すること、
頭をぶつけないように注意すること、
必ず手摺りを掴み、急がずに、
慎重に昇り降りするようご案内。
ここで、危ないからとスリッパを
脱ぐ人も沢山います。
和田家の2階でも、養蚕をしていた様子と、
屋根の造りを見ることができます。
囲炉裏上の格子部分には
近づかないこと!
展示されている養蚕、農作業道具、雪対策道具、
屋根組などについて説明します。
2階を見たら降りますが、
また注意しながら、ゆっくり降ります。
【チェックポイント】
囲炉裏の奥にあるガラスケース内の
「硝石」をお見逃しなく!
小さいので見落としがちですが、
これこそが、白川郷を語るうえで、
最も大事な産業製品なのです。
和田家さんで使われていた、
様々な塗物のお膳や食器の展示。
和室には、たいへん立派な仏壇と神棚があります。
皇族方ご訪問時の写真も飾られています。
実際に、神棚と仏壇を拝見しながら、
神道と仏教の説明ができます!
奥の客間を拝見したらそのまま戻ると、
お茶をいただいて一服できる場所があります;
ゲストの皆様にお薦めします。
存分にフリータイムを楽しみたいために、
お茶は飲まず行ってしまう人もいれば、
ガイドとおしゃべりしながらの
一服を楽しむ人もいます。
まったりと座り込んでしまう人も
少なくありません。
ほどほどで切り上げ、出発します。
和田家さん以外でも、ほぼ同じ感じです。
神田家さんでは、囲炉裏横から、
硝石を作った場所を少し見られます。
和田家見学後
和田家さんのお玄関を出て、
目の前にある小さな建物は、
昔使っていたお手洗いの建物。
ここに溜められたモノも、
硝石を作る貴重な材料になっていました。
ガイドと一緒にくる人と、
自由に歩きたい人を分けますが、
ガイドと一緒に歩く!という人は稀。
一緒に歩きたいと希望して一緒にいても、
すぐに、離れてしまうのが常です。
ずっとガイドにくっついている人達は、
不安感が多めなので、離れる時には、
バス駐車場までの道順をお伝えします。
和田家から裏道散策
和田家さんの旧お手洗いの建物から
小川沿いに歩ける小径あります。
公道ではないので、googleの
ストリートビューは出てきませんが、
航空写真を比較しながら、
地図を拡大して確認してください。
白川郷の地図:荻町合掌造り集落
小路を辿り、普通の道路に行き着いたら、
道なりに歩き、右側奥に神田家、
左手に長瀬家を見て150mほど進むと明善寺。
鐘楼門が目を引くので、
時間があれば少し見学できますが、
殆どの団体ツアーでは、
郷土館に入る余裕はありません、
その角を右折、すぐにメインストリートに出るので、
道を渡り、であい橋方面へ進みます。
公共交通機関:長距離バス利用の場合
団体旅行でも、
最終的な参加者数が少ない場合、
高山~白川郷~金沢は、
一般の長距離バス利用になることがあります。
その場合、発着する場所が、
こちらのバスターミナル
最も利用される路線バス:濃尾バス
荷物預け
大きなスーツケースは別送しても、
1泊か2泊分の荷物は持っているので、
その荷物を預ける必要があります。
バスターミナル内にコインロッカーがありますが、
必ず空いているとは限りません。
バスターミナルのコインロッカーがダメなら、
バスターミナルの建物の左奥にある
荷物預所へ行き、全部をまとめて預けます。
預ける個数を確認して支払いをすませ、
引換証を受け取ります。
ここから白川郷のスタンダードな散策を
始める場合、和田家までは比較的近く。
終わったら、明善寺からメインストリートを回り、
バスターミナルへ、
かなり時間に余裕を持って戻ります。
預けた荷物を引き取るにも、
混雑するので、意外と時間がかかります。
バスの出発前にお手洗いへ寄りますが、
行列で待ち時間がかなりかかります。
荷物預所
白川郷バスターミナル内のコインロッカー
バスターミナル近くの荷物預所
城山展望閣
合掌造り家屋の集まる荻町集落を
一望できる絶好の場所のひとつで、
よく見られる白川郷全体の写真は、
ここから撮影されているもの。
但しここは私有地です。
無料開放されていますが、お水の1本、
絵葉書1枚でも買うようにしましょう。
以前は、かなり自由に団体バスも
入っていたらしいのですが、今は、
こちらの食事店様を利用するバスのみ、
アクセス可能です。
このことを知らないTLが、
是が非でも展望台へ行く!、
と頑張る人がいますが、無理。
展望台アクセスの件については、
数年前から上記のようになり、
旅行社のツアー担当者様から、
LTの我儘は聞けない旨を、
きちんといい聞かせるよう、
キツク云われたことがありました。
ここでの昼食内容は、なかなかビミョウですが、
ここから見える白川郷の景色に、
ゲストさん達は大喜びします。
土日祝日は、展望台行きシャトルバスが
運行されているようですが、
データは不安定のようなので、要確認。
展望台行きシャトルバス
*** *** ***
白川郷では、合掌造りの写真を
撮るだけでは、片手落ちです。
このブログでは、ガイディングについては
触れませんが、白川郷では、
地理・気候・歴史、合掌造りの家の素材や構造、
硝石製造、「結」と呼ばれる村の助け合いシステムなど、
濃密に説明すべきことが沢山あります。
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次は、白川郷から金沢へ向かいます。
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