嵐山
京都市内から少し遠い嵐山も、
京都観光2日目以降の訪問場所になります。
一般的な団体旅行では、トロッコ列車に乗ったり、
保津川下りをすることはありません。
暖かい季節に、ゲスト抜きで楽しみましょう。
インバウンド団体旅行の行程に嵐山が入る場合、
天龍寺・竹林・渡月橋を渡って戻る程度がほとんどです。
天龍寺の庭園散策に約45~50分、
竹林散策に45~50分必要です。
方丈へ入る場合は、さらに40分程度必要になります。
それほど要らないと思うかもしれませんが、
受付で切符を買う、あるいはクーポンを交換して、
ゲストに配り、靴を脱いで靴棚に置くまでに10分。
帰りも靴を履くのにモタツク。
中に入ってしまうと、急かせられない雰囲気になるからです。
最低でも20分は中にいないと雰囲気的に影響があります。
繁忙期には待ち時間が追加されますので、
さらに余計な時間がかかります。
天龍寺の庭園散策~竹林~帰りに少しフリータイムを設けて、
2時間程度を目安に回さなければいけません。
嵐山の観光バス駐車場
1. いちばん広いのは、京都市嵐山観光駐車場。
2. レストラン嵐山観光バス駐車場(要予約)
3. 天龍寺境内にあるバス駐車場
このうち、どこにバスを停めるかによって、
動線と所要時間が変わってきます。
下見の際には、駐車場からの所要時間も確認してください。
下見ができない場合は、Google Mapで見当つけられます。
さいわい、動線は単純なので助かりますが、
繁忙期には狭い歩道から人があるれるので、
ゲストの安全と迷子予防に氣を配ります。
天龍寺
天龍寺のサイト
天龍寺入口
天龍寺の境内案内
天龍寺法堂(GoogleMapストリートビュー)
⇒うまく表示されない場合は、Google Mapをご覧ください。
法堂はとても立派ですが、別料金が必要なためか、
団体旅行で法堂へ入ることは、まぁありません。
仏教自体にさほど感心があるとは思えない
インバウンドゲストに、そこまでするには、
コスパが悪いとの判断でしょう。
内部は素晴らしく、加山又造の「雲龍図」がありますので、
下見の時に、じっくりと拝観しましょう。
バス到着前にガイディングを終えることは勿論のこと、
実際の動線についても複数回お話します。
- 天龍寺は庭園鑑賞だが、完全に一方通行で
同じ場所は二度と通らない。 - 庭園の反対側から出ると、そこが竹林。
- 先に出口に到着しても、外に出ないで全員集合!
- 休むことなく竹林散策になる。
- バス通りに戻ったら、フリータイムにできるかもしれない。
- バスに戻るのは何時何分くらいで、その間休憩はない。
- お手洗い:庭園入口にあるが、それを過ぎるとない。
- そのお手洗いには、ペーパーがないことが多い。
法堂に向かって右側の通路を進みます。
庫裏の手前を左へ進むと庭園受付。
多くの場合、方丈へも入らないので、
手前を左折して「庭園受付」に向かいます。
天龍寺庭園は完全に一方通行です。
こちらから入り、反対方向から出てしまいますので、
減員証明などが必要な場合は、たとえ時間がかかっても、
絶対にここで書いてもらうこと。
ゲストにも、同じ場所は二度と通らないこと、
反対側から出ることを、繰り返しご案内します。
精進料理:篩月
精進料理「篩月(しげつ)」
美味しい精進料理は、下見の時にぜひどうぞ。
庭園参拝料は別に必要です。
FITで精進料理を試したいゲストにも勧め。
欧米人の対応にも、そこそこ慣れていますし、
畳に座れない人には低い椅子を用意してくれます。
「雪」以外は、事前予約が必要ですが、
ランチなら「雪」で充分楽しめます。
回し者ではありません:念のため。
ゲストをお連れするときは、
必ず事前に電話で確認してください。
見学・散策時の注意
庭園に置かれている竹製の柵は、
立入禁止を示すもので、
当たり前すぎることですが、
触ってはいけません。
ゲストが腰を掛けて破損していまい、
大変な弁償問題と旅行社とガイドの
責任問題になった事件が報告されています。
外国人は、日本人的常識が無く、
昨今は基本的な行儀も悪いので、
いちいち注意しないと、
何をやりだすか分からないのです。
いざ問題が起こると、
「事前に説明がなかった」と言います。
何度も繰り返しているように、
ゲストは屁理屈の達人です。
屁理屈に慣れていないと、歯がたちません。
日本人としては当たり前すぎて、
「いちいち注意する必要がある」
という感覚すらないため、
そのようなアホなことをする人がいるなど、
考えてもみないわけです。
日本人なら「当たり前でしょ!」と言われると、
自分の至らなさを感じ、恥ずかしさで赤面し、
あっさりと引きさがりますが、
多くのインバウンドゲストは、そうはいきません。
平然と「そんなこと、言われなければ分からない」
「なぜ言わなかった」とゲストは言ってきます。
危険回避のために注意事項をアレコレ言うと、
不愉快なことばかり言うと文句をたれる。
最優先すべきことは、ガイドの保身です。
お客様に喜んでいただくオモテナシなどは、
二の次、三の次の発言であり、
おもてなしとは、
ゲストの我儘を認めることではありません。
各種対策を講じてガイド自身を守ることが最優先事項。
あらゆる状況を想定しスキを与えない、ミスを回避し、
ガイドに落ち度はないと確証を示せるようにすること。
行程表を読込み、現場調査をすれば、実現できます。
たとえ嫌な雰囲気になっても、
絶対に言わなければならないことは、
必ず事前にアナウンスしないと、
ガイドの職務怠慢になります。
靴のまま座席にあがる程度のことは、
躊躇なくやってしまいますし、
それを汚いとすら感じない。
一事が万事ですから、常にあちこちを見て、
危なそうな動き、怪しそうな行動があれば、
問題が発生する前に、
失礼のない表現で注意喚起する。
「…このように、しましょうね」など、
肯定的な表現でゲストの失敗を防ぐようにするなど、
これを徹底するほかなさそうです。
どこへ行く場合でも、観光で訪れる場所は、
世界遺産、国宝、文化財ばかりですから、
とにかく触れないように上手くご案内しましょう。
曹源池庭園~百花苑
受付を通るとすぐにお手洗いがあります。
(要:Paper持参)
ここを逃すと、散策終了までお手洗いはありません。
正直なところ、天龍寺の庭園は歩いて通り過ぎるだけです。
それほど面倒なガイディングはありません。
全体として、広大な日本庭園と植物園という認識です。
色々な植物があって、名前を聞かれてもナゾだらけ。
グーグルレンズで頑張るなりすれば、大丈夫。
でも、この現場で、そんな時間的余裕は多分ありません。
すぐに方丈前に広がる曹源池庭園が広がります。
池の対岸が活断層のため、いきなり岩だらけ;
自然の地形をそのまま生かして造営されている。
【決めセリフ】
約700年前の作庭当時の面影をとどめる。
日本初の史跡・特別名勝指定。
作庭は、夢窓礎石。夢窓礎石について短い解説。
曹源池庭園のポイントについての解説本のお薦め。
嵐山全体の地形についても興味深い記述があります。
ここから方丈の前を通り、徐々に奥へ進むのみです。
曹源池庭園部分が終わると、植物園になり、
少しづつ段を上りますが、キツくはありません。
進むにしたがって、様々な樹木がある百花苑。
欧米人も花鳥風月が大好きなので、人氣の場所です。
途中の硯石のような目立つものは説明しましょう。
庭園内は、必ずバラバラになってしまいますが、
先に出口に到着した人は、
外に出ないで全員集合を待つよう、
上の注意事項にも書きましたが、
それでも、勝手に外に出て竹林を歩き始めて、
姿を消す人が後を絶ちません。
迷子を防止するために、一旦集合が必須!
「すぐそこにいた」とかゲストは言いますが、
大勢の観光客でごった返していれば、
「すぐそこ」のどこに誰がいるのか、
判別できないのですよ!
残念ながら、こうした現象は直りません。
要注意です。
竹林-1
天龍寺北門を出たところが竹林の小路で、
いつも観光客でいっぱい。
大河内山荘前から見た竹林
天龍寺北門を出てまず左をご案内しますが、
「少しだけ行って、突き当ったら、
写真だけ撮ったら戻ってくること」といい、
私自身は、天龍寺北門に立ったままスタンバイする時は、
歩きたがらない人が、
勝手にどこかへ行かないように見張るため。
大丈夫そうなら、みんなと一緒に歩きます。
なにしろ人が多い場所なので、迷子対策を万全に!
人がいなくなる瞬間に写真を撮りたい気持ちは分かりますが、
早朝でもない限り、そんな瞬間は訪れません。
上の竹林の、右橋にある案内。
天龍寺北門前に全員揃ったら、天龍寺北門を背に右側へ進みます。
すぐにお墓が見えてきて、いろいろ聞かれます。
お墓は盛り上がる話題の一つですから、
「あ~~時間ない!、
そんなこと話しているバアイじゃないのよ」
となりますが、できる限り質問に応えましょう。
その場での説明や失意応答はとても大切で、
あとで、バスの中で話しても、
ゲストはもう忘れています。
そのあたりで、お墓関係のことを聞かれ、
説明するのに10分程度費やしてもいいように、
時間計算をしておくのです。
天龍寺北門から200mほど歩くと突き当ります;
その左手が野宮神社。
時間に余裕があれば寄ってもいいでしょうが、
ゲストの多くは、神社仏閣はお腹いっぱい状態ですし、
ここも、いつも大勢の人で混雑していますので、
軽いご案内だけで済ませています。
といっても、このあたりの地点では、
もはや前後に長~く散らばった状態になっていますから、
イヤフォンマイクを付けていても、アテになりません。
竹林-2
天龍寺北口から竹林を左へ進み、
行き止まりを左折、
少し進んだところから左の道を、
道なりに進むと川に出られます。
天龍寺~渡月橋という行程なら、
こちらのルートが効率的。
渡月橋を渡って戻り、
嵐電の駅周辺でフリータイムも可能。
嵯峨野 竹林の散策路
竹林散策は、ハイライト!
もし本当に時間があるのなら、
上の竹林-1のルートを利用し、
野宮神社前を通り過ぎて約100m直進した右側、
嵯峨野竹林の散策路へお連れすると大変喜ばれます。
竹林の散策路といっても、一般道路ではなく、
2015年に整備された竹林路公園のような場所で、
それはそれは素晴らしい竹林が整備されているのに、
意外と人が少ないので、思う存分綺麗な写真を撮れます。
朝9時から夕方17時まで、無料。
ネットで検索すれば、動画もいくつかupされています。
一般的な団体ならば、天龍寺の庭園は早めに終わらせ、
こちらの竹林の散策路へ「追加サービス」案内するほうが、
よほど満足度が上がるだろうと思いますが、
さらに30分の余裕が必要になります。
そのような竹林は、二度と見ることはないでしょう。
そこへ行ったら、野宮神社まで戻り、
バス通り(府道29号)までは道なりに進みます。
途中、標識も出ていますので助かります。
バス通りへ出るところで全員を待って再出発。
バス通りへ出る地点は、いつも混雑しており、
車の往来も激しいので、安全に注意。
ソフトクリームを食べ歩きしている人も多く、
汚されないよう、注意喚起お願いします。
全員を確認したら、みんな一緒に天龍寺方面へ向かいます。
- 天龍寺正門前に到着したら、フリータイム宣言。
- バスの場所:天龍寺敷地内駐車場の中、など。
- 集合時間は、何時何分。
- 筋向いは嵐山駅で、お手洗い利用可能。
- 桂川の方面へ行き、渡月橋を渡って景色を見る。
- 主な商業施設をご案内
人力車
ここに限りませんが、
人力車体験が入っているツアーがあります。
人力車が入っている場合は、
旅行社の説明を受けたあと、
人力車の会社の担当者様に連絡を入れ、
詳しい手順について事前確認をします。
前後の行程についてもお伝えし、
予定時間にすべてがスムーズに動くよう、
当日も逐一連絡をとりあっていれば、
うまく催行できます。
嵐山の風景の特徴
春は桜、秋は錦のように鮮やかな紅葉で有名な景勝地。
ここは活断層地帯で、40度という山の急な傾斜が、
木々を立体的に見せるため、より美しく見えるのだという。
お買物にしか興味のない人達は一定数いるものです。
ご案内をしても、フリーにしてしまうと、
渡月橋も渡らないどころか、川辺にすら行かず、
ショッピングだけで終わってしまう人が多いので、
ガイドが全員と一緒に渡月橋を渡り、
戻ってきてからフリータイムにするのも一案です。
*** *** ***
京都観光もそろそろ終わりです。
次回は、錦市場などの繁華街について少し触れたいと思います。
詳しい方は、た~~~くさんいるでしょう。
ここでは、インバウンド団体旅行の一般的行程の場合の
歩き方、動線をレビューします。
コメント